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「久しぶり。変わったアイテム欲しいんだけど持ってない?」
「おぉ、イシュじゃないですか!ずいぶん久しぶりですね。丁度良かった。とてもいいのがありますよ」
「いつも助かるよ。アレ起動してくれる?こっちも起動するから」
「はいはーい。少々お待ちをー」
鞄から聞こえた呼び出し音に答えてみれば、懐かしい声がして、最後に見た彼の姿を思い出す。魔法の世界で超過技術(オーバー・テクノロジー)というのも妙な話だが、現代では再現できない優れた機能を有する遺物(眼鏡)を身につけた、一見、細身の優男。
それなりに整った面立ちを薄鼠(うすねず)と藤色で彩った、吹けば飛んでしまいそうな儚さを滲ませる男(やつ)なのだが……実際は強かで、とんだ策略家なのである。
*.・*商人とか天職だと思うわー*.・*
「10代で独り立ち」という商工ギルド界における偉業を成し遂げた幼なじみの彼を思って、思わず顔を緩ませた私。
名前をベルリナ・ラコットという、ごく普通の18歳。
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ごめんなさい。
ちょっと嘘、偽りが入りました。
ぱっと見、どこにでも居そうな容姿・性格の、ごくごく普通の女子なのですが…。
実は私、異世界からの転生者。記憶ももちろんございます。