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勇者の嫁になりたくて ( ̄∇ ̄*)ゞ  作者: 千海
20 賢王国ラーグネシア
199/267

20−1



『ご主人、ここで何をしている』

「えぇと、正直、私もそこは、よくわかっていないんですケドも…」

『壊すか?』

「うえぇっ!?いや、それはもう少し待ってみましょうか…!」


 からりとした石床に冷たさは感じるけれど、この時期、気候はまだ温かく、夜もさほど冷え込まない。

 頑丈そうな格子の向こうに不意に現れたパーシーくんは、ぱさり、ぱさりと尾を打って実につまらなそうである。

 ちょうど真向かいの牢に入った強面のおじさんは、どこからともなく現れたお犬さまの姿を見留め、凭(もた)れた壁から「…そんなばかな」と、ズルっと体を滑らせた。


「あのー…ところでパシーヴァさん、こっち側に来られたりとか…」


 凌げる温度と思っていても、肌寒いのは否めない。


——お犬さまの体温を少し分けて貰えるならば、ちょっとラッキーかもしれない。


 そんな風に思って言えば、愚問だな、とでも言うように。「ふん」と鼻息を吐きながら太い金属の格子をすり抜け、彼はこちらにやってきた。

 正面の奥の方では「…うそだろ」という声が掠れて、思い切り両目を擦る動きが暗に感じられるが…。


 *.・*わぁ、毛玉さんモッフモフ♪安心するわー…この毛並み*.・*


 と。

 やっぱりなんだかんだと言って、結局、心細かったのか…と。

 魔獣さまの毛並みを掻いてフと息を吐いてしまった私。

 名前をベルリナ・ラコットという、ごく普通の18歳。


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 あ。いえ。

 獄中から失礼します。

 念のため語っておけば、誰かに怪我をさせたとか、法を破った訳でもない…です。

 どんな理由か定かじゃないが、実際こうして捕まったりとか。結構進んだ文明じゃん?とか思っていればこうだから。

 でもまぁ、この時代の権力者サマ。場所によってはマジ横暴…なのを忘れきってた私も悪い。


 そんな感じで、複雑な心境ながら事態を受け入れちゃった私は、結構前からよくある感じの異世界転生者。体年齢(とし)の割にお利口なのは、過去の記憶があるから…です☆

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