18−1
「お客さん、もしかして、花祭りが目的で?」
村の入り口付近にあった旅人用の宿屋にて、チェックインのため氏名やら何泊するかを記していれば。カウンターに立つ若女将から何気無しに問い掛けられた。
「…えっと、花祭り?」
な疑問系にて話題の元を尋ねてみれば、活力のある村長さんが「村おこし、してやるぞー!」と。十年前から取り組んでいる、年に一度のイベントだそう。
この村を通る冒険者等を手厚い感じで持て成して、年に一度こういうイベントやってますんで!どうぞ道行く方々にPRをお願いします!!と。前の世界の感覚からして、たぶん、おそらく、そんな感じに地道に努力を続けたら。ここ数年、噂を聞いた旅行客が順調に増えてきて、そろそろ軌道にのるような雰囲気だとか。
「お客さん、若いから。もしかしたらそうかな〜って思ったのよね」
と。
違うと聞いて、「へぇ、一人旅」と断定されると切ないが。
もしよかったら参加してって、とチケットをくれた女将は。
*.・*だが、やはり良い人かもしれない…!!*.・*
と、現金にも思った私。
名前をベルリナ・ラコットという、ごく普通の18歳。
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あっ、はい、です。
段々周りが凄い事になっていくけど、まぁ、本人の目立ち度的にまだ普通のラインというか。
そんな私は転生者にして、世界二つ分の知識を持つ、とか…。程度としては“なんちゃって”でも、意外とイケたりするのかなー?と。自分のカードの知力を眺め、思ってみたりもするけれど。
特殊スキルの存在以外、まだまだ普通女(ふつじょ)でしかないな、とか。改めて思い返してみたりします。