17−1
「やぁ!久しぶりだね、ベルリナちゃん☆」
「お久しぶりです、フォスフォさん」
「今日はどんなご入用かな?」
「はい。えぇと、可能なだけ魔薬を譲って欲しいのと、素材を買って欲しい、です」
「りょーかいだよ。じゃあ、ちょっと在庫見て来るから、売りたいやつ机に乗せといて♪」
初っ端から飛ばした態度の店長さんとの会話を見遣り、何やら隣で逡巡している様子が滲む勇者様。
差し当たって物理的にも軽そうに見えるけど、あの小柄さで仕事の腕は“ずば抜けて”良いんですから!と。相当不安な様子を見せる無言のままの勇者な人に、大丈夫、大丈夫です、と心で語る。
今し方、暖簾の奥にお消えになったショタ寄りな店主殿は、あれでいて成人済みで超偏屈な調合師。いつぞやの依頼状の発行主様なのである。
その昔、ちょっとしたご縁があって知り合いになったのだけど…。
——まぁ、今はそんな話は置いときまして。
と。
やはり未だに不安が残るお隣さまをチラ見して。
*.・*あぁ…勇者様…!そんなお顔も相変わらず素敵ですっ!!!*.・*
と、逆にテンションが上がった私。
名前をベルリナ・ラコットという、ごく普通の18歳。
・
・
・
・
・
いえ。
実を言うならば、ちょーっとばかりオカシイ所があるんですけど。
きっとこちらの世界でも「ヤバい」と言われる“記憶持ち”にして、こことは違う世界(トコ)からの転生者だったりだとか。
それ以外は変哲の無い只の乙女なんですけどね…と。
ちょっぴり遠くに黄昏れたのは……まぁ、そういう流れです。