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勇者の嫁になりたくて ( ̄∇ ̄*)ゞ  作者: 千海
16 水の都パルシュフェルダ
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16−7



 そうして着いた船着き場には、たくさん観光客が居て。けれど何故かそれに並ばぬ勇者様が居たりして。ここに来るまでの話の流れじゃ、貸し切りの舟を借りるといった雰囲気だったのだけど…どうしたことか彼が進んだ先というのに、船頭さんが乗ってない空のゴンドラがあったりで。近くに居座るおじさんと二、三、問答した後に、コインを手渡すその人がこっちへと手を挙げた。


——あぁ!なるほど!船頭さんは個人で雇うタイプですかね!?


 確かにフリーな雰囲気の素敵女子やら男子やら。ある一角に見目麗しい感じの人がどうやら並んでいるようだけど。さり気なく彼、彼女等がオールで自身をアピールしてるが、そこから選ぶ感じが無くて逆に疑問に思ってしまう。

 近くへ行けば行ったらで「手を」と言われ差し出して、まさかそのままエスコートされ乗せられるとは驚愕だったが、そのまま近くのおじさんからオールを貰ったその人が、何の気もなく船着き場を蹴った気配を感じ取り…。


——……はあぁああっ!!!!!?


「まっ、まさかゆ…じゃなくて、クライスさん!こっ、舟とか漕げるんですかっ…!?」


 な声を上げちゃった私というのは、たぶん何も悪くない、と思うんです。が。


「昔やった事があるから大丈夫だと思うんだが」


 と、さらっと言われた日には、です。


——…“勇者”に舟を漕がせる私……君は一体何者だい………?


 とか。意識がトリップしかけたとして、仕方ない事じゃないのかな、とね。

 でもまぁ、うっかり「勇者様!」とか言っちゃうかもしれないですし、船上に二人きりとか安全牌な所かな、とも。そういう意味でのチョイスならグッジョブな話ですよね、と“いいご身分だ”と思いながらもそんな事を考える。

 免許っぽいのは大丈夫かな?と少し心配になったのだけど、すぐに広い水路に出たら大丈夫っぽいことが見て取れた。


「なるほど〜。街の人達は気軽に舟を使うんですね」


 よく観察してみれば、観光客を乗せる用と私用の舟に違いがあって、使う水路(ルート)も別々に用意されている様だ。勇者様が借りた舟はどちらかといえば私用の方で、川幅が広いメイン水路を通る事はできないけれど、街の人が楽しむ分の通なルートを行ける雰囲気。そこを堂々と選んだ辺り、これは水路も知ってるクチか?と。たった二回の訪問なのに、水の都のマスター率とか半端無くないですか…?と思わなくもないけれど。


「見たいものがあったなら停めるから、遠慮なく言ってくれ」


 と、後ろのお人が語るので。

 ハイ!と手を挙げ元気よく。


「水竜の刻印を探しに行きたいです!」


 と。

 船頭をする勇者な人を、ミステリーハントに連れ出した。

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