15−1
「…ベル殿、その面妖な装備は何でござろうか?」
「あ、はい。これですね。今回のダンジョン用に引っ張り出してみたんですけど…まぁ、ビジュアルは面妖ですが、遺物らしいので効果は間違いなしですよ」
「…遺物なの?」
「えぇ。ばっちり毒無効化アイテムです」
レプスさんの言う通り、面妖っちゃ面妖だけど、前の世界の防毒面(ガスマスク)にそっくりなこのアイテムは、目的地である大空洞で強い味方になる予定。
ソロルくんが訝しげな目で尚もこちらをチラチラするが、ちょっと鬱陶しいなと思えば、見事な脳内変換で後は空気と化すだけだ。
今日も大変麗しい愛しの勇者様の目を、初っ端から見事に奪ったこの装備。
あっ。そういやこの手の攻めは今まで試してなかったな!なんだ、やり方次第によれば、愛しい人の視線というのは存外すぐに奪えるものか。
*.・*いやいや、待ちなよ、ベルさんよ。乙女の奇行はむしろ引く…!*.・*
と、寸での所で引き返し、やっぱりササッと陰に隠れた追っかけな女子の私は。
名前をベルリナ・ラコットという、ごく普通の18歳。
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「逆に怖いから出て来なよ!?ってか、結構本気で怖いから!頼みます出て来て下さい!!」
いつも通りのポジションで物陰からジッと見てたら、ソロルくんが急に叫んで、「もう、仕方ないなぁ…( ´△`)」と、のっそり通路に出た私だが。
実はこことは違う世界(とこ)からの記憶持ちの転生者。
外身は若いが中身は熟したレディだったりする訳です。