表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の嫁になりたくて ( ̄∇ ̄*)ゞ  作者: 千海
1 失意の森
11/267

閑話 果ての島にて



「ねぇお姉ちゃん」


 スミレ色の髪をツインテールにした少女が、膝の上に広げた絵本から顔を上げて呟いた。眠そうな目で、先ほどから忙しく部屋の中を動き回っている自身の姉に視線を合わせる。


「なによ?」


 白い三角巾を頭にのせた姉とおぼしき人物は、少女と同じスミレ色のポニーテールを揺らしながら振り返る。その顔はハッキリと「迷惑だ」と告げていたが、邪険な態度ながらもちゃんと返答をよこすあたりに姉妹愛を思わせる。


「三つ数えるうちに星が流れたらオフロ掃除代わってくれる?」

「はぁ?なに馬鹿な事いってんの?」

「代わってくれる?」

「昼間なんだから流れ星なんか見えないわよ」

「代わって…」

「あぁもうっ!うっとうしい!!」


 そう叫んだ姉は妹の首根っこをつかむとずるずると窓際まで引きずっていき、曇り始めた空が見える位置に少女の顔を突き出した。


「さっさと数えなさい!絶対見えないんだから!」

「見えたらオフロ掃除…」

「いくらでも代わってあげるわよ!ほら、早く数える!私はあんたと違って暇じゃないの!!」


 妹は姉の目の見えない位置で眠そうな目をさらに細くし、小さな口の端をわずかに上げた。


「いーち」


 開いた窓から、ふわりと柔らかい風が部屋の中へ運ばれる。


「にー」


 何かの光が見上げる至空に瞬いたと思った瞬間。


「さーん」


 猛烈な勢いで赤い尾を引く流星の一群が、薄雲を纏った空に広がった。


  ・

  ・

  ・

  ・

  ・


 姉:ぽかーー( ゜Д゜)ーーん...




「じゃあオフロ掃除よろしく」


 少女は隣に立つ姉にそう伝えると短い足で定位置に戻り、未だ固まったままの彼女の後ろ姿を相変わらず眠そうな目で伺いながら、小さく漏らす。


「お姉ちゃんは釣りやすい…(´m`)」

………えぇ。

流星が落ちたシーンを別の誰かが見ていたというのを書きたかったがための閑話です。

後悔はしていない…のです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ