11−1
「おじいちゃ「クライスさまっ!!」……」
町の門をくぐろうと勇者パーティが進んだ所で、その壁に背中を預けた二人の子供が声を出す。
紺色のローブを羽織った男の子の声に被せて、白い外套のフードを払ったチェリーブロンド?のお嬢様。
——えっ…あれっ…えぇええぇ!?
正直どっちに驚こうかと迷った所なんですが。
タタッと駆け出し、黒髪の勇者様へと抱きついた美少女様へ、心の中でもの申す。
——ライスさんの娘だから、って!!ずるいですっ、その抱擁…!!!
パーティ・メンバーの身内かつ幼い頃からの顔見知り。
また大きくなったんだな、と無表情に微笑をたたえて優しく返す勇者な彼も、いつもと違って良い感じ♪
——すごく久しぶりに見ましたよ…勇者様のマジ微笑……
いつもならこの辺で天にも昇る気持ちになるけど、痛い所を引きずっている今の私はちょっと泣きそう。
*.・*あの笑顔を引き出すのって、実は一生無理だったりして…*.・*
そんな思いにかられた私。
名前をベルリナ・ラコットという、ごく普通の18歳。
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えぇ、はい、わかってるんです。
所詮私は“追っかけ”だって。
ちょーっと前世(むかし)の記憶を持って異世界転生したってだけで、たいした事ない凡女なくらい…ちゃんとわかっているんです。
※凡女:平凡な女子、な雰囲気でどうぞ。