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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第九章 王国へ
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第92話「混ぜるな危険」


前回のあらすじ……。


担当:ジャミル・ハワード

クカカカッ!

ルネとアークがいい感じになってンなァ!

こりゃァくっ付くのも時間の問題かァ?


まァそりゃァいいが、話し合った結果、なンか王国へ行く事になった。

そりゃァ色んな意味でやべェから、俺ァ断ってンだがアイツら無理やり俺を拉致りやがった!

まァ、俺の心配が杞憂だといいンだが……。


ンな感じで港へ行ったら、見覚えのある船が……。

つか、ありゃァ間違いなく疾風の翼だぜェ。



――ハックル・港――



「お前は……真っ白!!」

 俺は相変わらず真っ白いスーツを着込んだハリスに向かって言った。


「真っ白いうなっ! 俺の名はハリスだ! ハ・リ・ス!」

 港に停泊していた大量の空駆船団は、疾風の翼の船だった。

 ホント、毎回毎回妙な縁があるな……。


「そっちこそ会っていきなり破壊魔と詐欺師呼ばわりかよ……」

「船ぶっ壊したのは事実だろうが。騎士団の艦隊が来るとかホラ吹いたし」

 ハリスがむっとした顔で反論する。


「それこの前も聞いたんだけど……アンタ達そんな事したの?」

 リナはあの場にいなかったから知らないだろうな。

 前回は切羽詰まってたし。


「いやまあ……色々と語弊があるようなないような……」

「いや絶対そっちが悪い」

 ハリスは主張を曲げない


「ンだとゴルァ! 先に誘拐しやがったのァそっちだろうがァ!」

 俺を阻止のけジャミルが睨みつける。

 こうして見るとタダの不良……。


「そうだそうだ~だいたい何話前の話し引きずってるのよ~! しつこいっちゅ~の!!」

 お、ルネも援護射撃!

 って何話前とか言うなし!!


「それだけお前らが俺達に与えた打撃はでかかったんだよ!」

 ハリスも引かない……。

 っていうかこれは早く止めないと収拾がつかなくなりそうだ……。


「おい、その辺で――」

「――そうだ!!」

 ルネが突然大声をあげた。


「なんだ?」

 俺は言った。


「ねぇねぇ! あんたたちの船にあたし達乗せてくれないかな? ちょっくら王国までさぁ~」

 ルネがそう言ってハリスに媚びた。

 なるほど……その手があったか。


 そうすれば移動代もタダ!!

 さすがルネ……あざとい!


「おいおい、俺達に運び屋やれって言ってんの?」

 ハリスは心底めんどくさそうな顔をした。


「それいいわね。お願い」

 お、リナも乗ってきた。


「まあ、俺らも丁度王国に行くトコだったが……まあ乗せてやっても――」

「団長! こんなとこにいやがったんですか! さあさ、サボってないで船の修理手伝ってくださいよ!」

 そう言って後ろからやってきたのは……確か副団長のアイリだ。


「うげっ! アイリ! お前いつから――」

「はいはい言い訳はいいですからとっとと来てください」

 アイリはセミロングの赤毛を揺らし、ハリスをずるずると強制的に連行していった。


「ちょっとちょっと~! まだ話は終わってないんだってば~!」

 ルネがあわてて追いかける。


「こら~! 人が話してるのにスルーするなぁ~!!」

 ルネはアイリの前に立ちふさがる。


「お前はっ、確か幽霊船の時の……」

 アイリはあの時の事を思い出したようだ。


「で……あたいら疾風の翼に何の用だ」

 ようやく話す気になったらしい。


「いや実はな、コイツら隣のセトラエストまで載せてけってなぁ……」

 ハリスがめんどくさそうに説明する。


「何……アタイらを定期船代わりに利用しようってか?」

 キッ! と顔つきが鋭くなった。

 うわ……なんか怒ってる!

 やばいやばい。


「あァ!? この前は助けてやっただろーがァ、どーせテメェらもそっちまで行く予定なんだろ? 乗せてってくれるぐれェいいだろーがァ」

 ガンつけてる!

 完全に喧嘩腰だよオイ!!


「ふん……なんだ? アタイと一戦交えようってのかい?」

 アイリが背中のボウガンをチラリとみる。


「ほォ……火の粉レベルの挑発に乗って来るたァ、随分とストレス溜まってンのなァ、まァ? そう言う単純なヤツァ嫌いじゃねェけどよォ」

 ニィっとジャミルは笑い腰の拳銃に手を掛ける。


 ちょ、なんだよこいつら相性最悪じゃねぇぇかぁぁ!!

 混ぜるな危険だよ!!


「ああいや待て待て待て! アイリっ! べ、別に乗せてくくらいいーじゃねーか! コイツらにはその……世話になった事だし?」

「一旦待て、とりあえず落ち着けジャミル! 別にこいつらに頼らなくても定期船借りるくらいの金はあるんだし、わざわざ揉める事はねーって! な?」


 ハリスと俺があわてて止める。

 この時ばかりは俺達は以心伝心出来ていた気がする。


「(オイ、ここは俺が引く。船には乗せてやるから、お前はウチの爆弾アイリを解除してくれ)」

 ハリスが小声で言う。


「(いやいや、俺達が引くって。定期船探すから、むしろこっちの爆弾ジャミルをなんとかしてくれ!)」

 俺も小声で返す。


「(おいおい冗談言うなよ。そっちの爆弾もう爆発寸前だって。もう解除するには爆弾処理班呼ばないと駄目だって! 素人が手付けていいモンじゃねーぞ!)」

「(いやむしろそっちの爆弾の方がヤバい。もうアレは駄目だろ。遠くに行って捨ててくるしかない)」


「(捨ててくるって何する気だぁぁーー!? 第一あれが爆発したら俺達もタダじゃ済まん。恐らく半径30km圏内は火の海だろう。なんとしても解除しなければ)」

「(核爆弾かよ!? どんだけ厄介な代物持ってんだあんたはぁぁーー!?)」


「(だがアレはまだ臨界点に達していない……今ならまだ何とかなる!)」

「(ホ……本当だろうな……)」


「(ああ。間違いない。だからここは俺が引こう。解除は……任せたぞ)」

「(……分かった)」


 双方の相談によって、ハリスは乗船を許可し、俺が核爆弾アイリの怒りを解除する事になった。


「殺ンのかァ? あァ!?」

「上等だ!! いつでもかかってきな!!」

 2つの爆弾が今まさに爆発しようとする時!!


「待てアイリ! 俺はやっぱり乗船を許可する事にした」

 ハリスがそう結果だけ告げる。


「団長!! しかし!」

「(俺の出番は終わりだ! 後はめんどくさいから任せたぞ少年!)」


「(待って! つーかこのままあんたが説得すればいいんじゃ……)」

「(いやその辺はそっちで頑張って)」


「(ちょ、ハリスてめぇ!! 逃げる気か!!)」

「(きこえませーん)」


「(こいつ……後でぶっ殺す)」

「(おいおい! こっちで新たな火種作ってどうすんだ! なんで爆弾処理班が新たな爆弾抱えてんだよ! それじゃ爆弾処理犯じゃねーか!!)」


「(誰が上手いこと言えって言ったんだよ!? ……まあ分かったよ。しょうがないから今から核爆弾の解除に向かうよチクショー!)」

「まあまあ落ち着けって。乗せてくぐらいいいじゃねーか」

 最初はあえてベタな落ち着かせ方で様子を見る。


「貴様……アタイら疾風の翼をナメてんのかい?」

 やっぱケンカ腰だぁぁ!

 こういう奴は……やっぱ正攻法じゃきついな。


「いやいやナメてねーよ。むしろあの疾風の翼の艦内を拝めるなんて願ってもない好機!!」

「…………は?」

 なんか訳わかんない事を言ってる気がするが……ええいどうにでもなれ!!


「実は俺達……疾風の翼のファンなんです!!」

「ファ……ン?」

 ポカーンと動作を停止するアイリ。

 まあそうなるのは分かるんだけどさ!!


「そうなんです!! こうなればむしろ王国に行く事の方がむしろついでと言ってもいいです! そのわずかな間だけでもいいんです!! どうか、どうか艦内を拝見させていただければ……」

 俺は両手を交えて力説した。

 我ながら俺は何を言っているのだろうかと真剣に問いたい。


「な……あ、アタイらの船は見世物じゃないんだよ! ファンがいるとは……その、知らなかったが……」

 顔を赤くして、目を逸らしながら言った。


「「(し、信じた…………)」」

 俺とハリスの心がまたしても通じ合った。


「もちろんタダでとは言いません。先ほど船の修理がどうとか言ってましたね? 私達でよければ、お手伝いしましょう!」

「そ……それは助かるが……」

 むー、まだ押しが足りないのか?

 いや、ここは少し引いてみようか?


「それでも駄目というのであれば……そうですね……今度は、紅蓮の覇王の方にでも行ってみるかもしれませんね」

「ま、待て、あそこは止めた方がいいと思うな、うん。分かった。そこまで言うならアタイも鬼じゃない。乗せてやっても……いいさ」

 勝ったぁぁ!!

 アーク・シュナイザー、核爆弾の解除に成功しました!!


「(すげぇ……よくもまああんな説得の仕方で通ったモンだな……)」

「(思い知ったか! 俺の説得力!!)」


「(いやまあ、団長命令だ! と言えば一発だったんだがな)」

「(テメぇぇぇぇぇーーーー!! やっぱ遊んでやがったなぁぁーーー!!!)」

 やはり新たな火種が生まれたのであった。


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