表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第八章 遺跡探索
87/110

第87話「連携って重要」



前回のあらすじ……。


担当:アーク・シュナイザー

俺達は全く連携の取れてない動きで奇跡的に遺跡内部へと侵入した。

……適当って言うなよ……これしか言う事ないんだってマジで。



――バスキルト遺跡内部・1階層――



「……入れたな」

 俺はとりあえず歩きながら信じられない現実を口にしてみる。


「あァ、一時はどうなる事かと思ったがなァ」

 ジャミルは両腕を後頭部で組みながら歩く。


 俺達は何とか遺跡に侵入して、ひたすら最下層を目指していた。

 先頭はルネで、ここは暗いのでさすがに松明を焚いた。


 リード情報によると、遺跡にはまだ騎士団はいないみたいだし、魔物にだけ注意して進めば良いだろう。

 現在は金属のレンガで出来たような作りの壁の狭い廊下みたいな部分を一列に並んでいる。

 いや金属な時点でレンガではないがこの際それはスルーしてくれ。


「っていうか~、あれリナのせいだよね~」

 ルネがリナを睨みながら言った。

 おいおいこれ以上火種を撒き散らすんじゃねーって……。


「偶然。ジミーの運が悪かっただけ」

 リナは目を閉じながら全てをの責任を運命に投げつけた。


「ジミーじゃねェ!! つーか明らかテメーのノーコンが招いた悲劇だろォがァァ!!」

 あれはノーコンとはまた違うような……と思ったがあえてスルー。


「ジミー」

「ンだよォ」

「返事した……認めた証拠」

 リナがほくそ笑んだ。


「ンだよこいつよォォォ!! しばくぞゴルァァ!!」

 さすがにこのままほっといても不毛な争いが続きそうなので仲裁に入る。


「ジャミル……その辺にしとけって……こいつはこういう奴なんだ……諦めろ」

「そ~そ~。言うだけ無駄無駄~。ま、過ぎた事をとやかく言ってもしょうがないって~」

 ニコニコとルネがあくまで事態を収集しようとするが……。


 最初に焚きつけたのお前じゃねぇか……。

 俺とジャミルは今この瞬間だけ以心伝心した。


「はぁ」

「ハァ」

 お互いを見てため息をついた。


「?」

 ルネはキョトンとした顔を作り、


「……」

 リナはクスリと笑った。 

 なんだか全てリナの手の上で踊っているような気がした……。



――遺跡内部・二階層――



「へぇへぇ……ほうほう……ここは古代ダール文明の遺跡みたいだね~……」

 ルネが道中壁や部屋などを見ながらつぶやいた。

 その瞳はまるで遊園地にいる小学生のように輝いていた。

 そう言えば、ルネはこの前いなかったから遺跡に連れてくるのはこれが初めてだっけな。


「ンなモン見ただけで分かるモンなのかァ?」

 ジャミルがルネの後ろを歩きながらもっともな疑問をぶつける。


「ダール文明のメタルレンガは特徴的だからね~。同じメタルレンガの文明の中でもここは一際レンガのサイズが大きいし、特殊な研磨法でホラ、表面がこんなにサラッサラ! だからダール文明産の金属陶器とかはものすっごい値が張るんだよっ!! こ~んくらいの壺でもざっと8万Jは下らないねっ!! しかもダール陶器はとっても繊細で割れやすいからね! なおさら希少価値が高くって、持って帰る時はね、布をこうやって――」


「――だァァァッ! もうウゼェっつーのォッ!! 誰がそこまで聞いたンだよッ!!」

 こんなところでルネがいきなり遺跡について語りだした!

 でもペラペラと遺跡について語るあたりようやくトレジャーハンターとしての信ぴょう性が増してきたな……。


 ちょっと前まではマジでコソ泥かと思ったけど……。

 でも実際持ってるものが盗品ばっかだし……まだコソ泥疑惑は晴れてないがな。

 こいつマジでいつか騎士団に捕まるんじゃないだろうか、冤罪じゃなく。


 あ、俺もそういや追われてるっけ。


「そういや、ルネ。お前なんでコソ泥……もといトレジャーハンターになんかになったんだ?」

 俺は左手に持つ松明越しにルネを向いて、前々から気になっていた事をなんとなく聞いてみた。


「むぅ~っ。まだコソ泥とか言うか……こんなにもそれっぽい事言ってるのに……」

 ルネはジト目で睨んだ後う~んと考え出した。


「『それっぽい事』って……そういう紛らわしい事言うからコソ泥容疑は晴れないんだよ! いやまあ最大の原因は盗品だけどな!」

「失礼な! これは宝物を悪しき所有者から奪還しただけだよ!」


「殆ど泥棒の言い訳じゃねぇか!」

「トレジャーをハントする……それが私達トレジャーハンターの――」


「お前もういいから盗賊団入れよ……」

「あたしの決め台詞邪魔するな~っ!」


「決め台詞だったのか!?」

「今作った」


「作るな! ……じゃなくてっ! なんでこういう話になるんだよッ! ショートコントしてるんじゃないんだぞ!?」

「そう言えばそ~だね」


「……これだからお前との会話は不毛なんだ……泣きたい……」

「よしよし」


「うぜー」

「それで? なんでお前はトレジャーハンターになろうと思ったんだ?」


「あはははは! あたしってばお宝大好きだからねぇ~!!」

「不純だな!! なんかきっかけみたいなのは無いのか!?」


「さあね~、さ、話してないで急ご!」

 ったく……と言ってニコっと笑ってからルネは先頭を速足で歩きだした。

 まったく……想像通り過ぎてつまらん……。


 ……それとも、もしかして言いたくないだけなのかもな。


 (その……あたしにも色々、特殊な事情があるから……さ)

 

 無人島(そう言えばジルドはサリー島って言ってたっけ)での二人っきりの夜の時、ルネが一瞬だけ零した言葉。

 思えば、普段のルネはおちゃらけているだけで、あれが素顔だったのかもしれないな……。



「ん……足音……みんな! 魔物かもッ!!」

 先頭を進んでいたルネが突然叫んだ。


「マジか!?」

 俺は反応して腰からダガーを抜く。


「退屈してたところだァ! 丁度いいぜェ!」

 ジャミルは不敵に笑い2丁拳銃を取り出す。


「めんどいわね。速攻片付けるわよ」

 リナはテンション低めに槍を取り出す。


「ガアアァァァァッ!!!」

 角から出て来たのは、おなじみトカゲ型の魔物ゼークルトだ!

 数は2体。

 大きさ的に、この前みたいな急激な暴走はしてないみたいだな。


「クカカッ! 上等だゴルァ!! 掛って来いやァァァ!!」

 ジャミルが如何に退屈してたか分かる……。

 まあいい、蹴散らすだけだ!!


「ガアアァァァ!!」

 ゼークルトは威嚇のつもりか吠えてきた。

 うおおお恐ぇ!


 なんてな。

 ふざけている場合ではないので攻撃を仕掛ける。

 俺はダガーを逆手に構え、距離を縮める。


「凍っちまいなァ! アイスバレット!」

 2発の氷の弾丸がゼークルトAを凍らせる。

 ゼークルトは右足が凍り、動きが鈍くなる。



「ナイスだ! クロスエッジッ!!」

 俺はそのゼークルトの硬いウロコを砕くべく、正面から十字に切り裂く。

 効果はあったようで、数個のウロコが宙を舞ったが、すぐに反撃があった。


 ゼークルトの左腕の爪が俺を捉える!

 ――当たるかよ!


 俺は素早く身を引いてそれをかわす。


「アーク後ろッ!」

 ルネの声。


 後ろ!?

 俺の背後から噛みついて来ようとするB!

 卑怯だ!

 でもなぁ――


「当たらんねぇんだよッ!」

 俺は宙返りで攻撃をかわすと同時に脳天を斬りつける!


「ガャアァァ!」

 効いたぞこれは!


「旋風脚ッ!」

 続いて俺の後ろから来たルネの、風を纏った回し蹴りが炸裂!

 Bは前方に吹っ飛んだ!


「うおおお!!」

 俺は今の内にBにトドメを指すべく追い打ちに入ろうとした。


「ガァァァァ!!」

 おっと!

 Aが右側から突っ込んで来る!

 体当たりか!?


 俺は咄嗟に右ダガーを凪ぐが、ツメで弾かれた!

 力強いッ!?


 が、体当たりを止める事は出来た。


「グガァァ!」

 まだ続く攻撃に咄嗟に左ダガーを盾にして防ぐ。

 両手のツメがダガーに集中しギリギリを金属が擦れ合う音がする。

 くそ・・・押し負けそうだ!


「どいてッ!! くらえぇッ!!」

 リナが炎の槍を片手に突っ込んできた!

 俺は咄嗟に防御を解き、その一瞬の隙を、


「痺れてろォ! サンダーバレット!」

 ジャミルが援護してくれた!

 俺は一時後退し、体制を立てなおした。


「はッ!」

 リナは炎の槍を横に振り、ゼークルトAを燃え上がらせた。


「ガアアアァァァ!」

「リナッ! あれ行くよ!!」

 ルネがリナに合図を送った。


「……ん」

 コクコクとリナは頷く。


「灼熱の炎よ。我が手に宿り自在に姿を変えよ――トリッキーファイア!!」 

 リナの手から放たれた赤色の炎はゼークルトではないあらぬ方向へ飛んでいく。

 しかし、外した訳ではない。


 同時にルネは一気にゼークルトへと飛び、丁度リナの炎とルネのブーツが混じり合い、ルネのブーツに轟々と燃える炎が灯った。

 その勢いのままルネはゼークルトAに跳び蹴り!


「突撃紅蓮脚ッ!!」

 ゴオォォ、とゼークルトAは燃え尽きやがて倒れた。


「よしジャミル! Bは俺らの獲物だ!! やるぞ!!」

「おゥよッ! 漢の連携ってのを見せてやるぜェッ!」

 俺とジャミルは互いに確認し、俺はBに向かって走り一気に距離を詰める。


「そォら凍れェ! アイスバレットッ!」

 俺の背中を追いこして飛んだ2発の凍弾がゼークルトに直撃。


「クロスエッジッ!」

 凍って動けないところを俺が攻撃。

 ここまではさっきと同じだ。


「電撃行くぜェ! サンダーバレット!」

 ジャミルの攻撃。

 雷弾は俺の背中に向かって飛ぶ!


 俺は右ダガーをBの肩に突き刺し、それを軸に宙返り!

 すると、俺がいなくなると同時に雷弾はゼークルトに突き刺さり、電撃で動きを封じる。

 ジャミルは一気に距離を詰め、2丁拳銃を零距離で放つ。


「砕け散れ! バァーストバレットォ!!」

 無属性高威力の弾丸をまともに受け、反動で俺の方に吹っ飛ぶB。

 俺は吹っ飛ぶ速度で威力が増加した状態で、新技を披露した。


「エクスエッジ!!」

 左右同時に刃を動かし、X字に切り裂く!


「ガ、ァ……」

 技が完璧に決まり、ゼークルト2体は物言わぬ屍と化した。



「クッカッカ! 相手にならんぜェ!!」

「調子乗りすぎ」

 リナが1秒で切り返す。


「ンだとゴルァ!!」

「ま~ま~! にしてもさぁ~、こんなにうまくいくとは思ってなかったよ~!」

 実は「せっかく四人いンだから連携を組んで戦ってみたら強ェンじゃね?」

 というジャミルの意見を元に、二組に分かれて考えていたのだ。


「そっちは突っ込んで蹴るだけ。こっちは合わせるの大変」

「リナお前容赦ねぇな……」

 素直なのは結構だがこうもストレートに言われてもなぁ……。

 そんな感じで、俺らは遺跡の最深部へと向かって行った。  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ