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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第七章 ジルド過去編
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第69話「ガルディア神話」

前回のあらすじ……。


担当:アーク・シュナイザー。

ジルドの話によると、親父は昔記憶喪失だったらしい。

全く知らなかったぜ。

ひょんなことから家に招かれることになったウチの親父はジルドの奥さんに遭遇する。

って、ジルド結婚してたのかぁぁぁーーー!!

なんか意外!!

で、記憶について話していくうちに鑑定士の仕事をすることになったらしい。

なるほど……そういう過程があったんだな。

……そう言えば、ここまで聞いて俺は親父の過去についてあまりに知らない事が多いって事に気付いた。

記憶喪失以前の親父について非常に興味があるが、今となっては知る術はなかった。



――現在:アーク視点――



「……そんなに、おっさん結婚してたの意外?」

 ジルドは明らかに不満そうな顔で俺を見る。


「いやぁ……まあな……。子供は居るのか?」

 完全に脱線するが、聞いてみた。


「息子が1人な。年は……おぉ、ちょうどアークの一つ下だな。今はミストルーンでギルドやってるって聞いてたけど」

 へぇ……おっさんの息子ねぇ。

 会ってみたいもんだ。


「話を戻すけど……いいか?」

 ジルドの顔が真剣になる。


「……ここから先は、色々と後戻り出来ねぇ。……本当にいいんだな?」

 唾を呑む。

 なんだ改まって……。

 心なしか動悸が激しくなって来た。

 だが……決意は変わらない。


「いい。続けてくれ」

「分かった」



――10年前・NC2099年・帝都・城下町周辺――



「ふぃ~。ここが帝都か……7年前と随分変わったじゃねーか」

 ラインが帝都に行ってから1年後。


 オレ、ジルド・クロームドは仕事の都合で帝都へ来ていた。

 7年前……確か、24歳の頃、一度帝都へ来た事があった。


 その時に比べると、古代文明がふんだんに取り入れられていて少し驚いた。


「あいつの家は……ここか……」

 送られてきた地図を頼りに来たが、なんとも帝都らしくないところに辿り着いた。

 木造一階建ての家が数軒並び、石で出来た通路を子供が走って通り過ぎてゆく。

 振り返れば巨大な城や高層建築物が見えるのに、ここだけそんな文明とはかけ離れていた。


 これじゃあその辺の村と大差ないな……。


 そんな事を考えながら、家の前へ着く。

 ここは帝都でも外れの方だったが、ラインの家はさらにその奥だった。


 ……一般的な木造の一軒家で、これといって特徴は無いが、鑑定士(クリアラー)として働いてるからもう少しマシな家でもいいんじゃないか?


「おぉ、ジルドか? 待ってたぜ!」

 そんな事を考えていたら、後ろから声をかけられた。


「ラインじゃねえか! 久しぶりだなおい」

 軽い挨拶をして、家の中に入る。


「悪いな。ホントならこちらが行くつもりだったんだが……」

「イヤイヤ、いいっていいって。その分だと、お仕事上手くいってんの?」

 ……しかし、少し見ない間に随分大人っぽくなってんな。

 いや、既に30のオッサンだけど、記憶喪失の事もあって出会った当初は年より若く……というか子供っぽく見えたからそう感じるんだろうな。


「ああ、今は無事、鑑定士(クリアラー)として働いてるよ」

「しっかし、あん時は驚いたぜ。まさか本当に見ただけで鑑定結果を当てられるなんてな」

 これが才能……ってヤツかね。

 記憶を失っても、体に染みついた才能だけは消えなかったって事か。


「いやむしろ俺がびっくりしたよ。実際、鑑定する時はちゃんと専用の道具を使ってるけどな。間違いがあっちゃ許されん仕事だし」

 それもそうだな。


「そう言えば、記憶は戻ったのか? あれから」

「いや、全然。別に、戻らなくてもいい気もしてきたけどな」

 そう言って、ラインは目をそらす。


「まったく、なんていい加減な……」

 ラインの目線を辿っていると、子供用の服がベランダに干してあった。


「……子供、いるのか?」

「ああ。今年でちょうど8歳になるかな。アークってんだ」

 へぇ……顔が見てみたいもんだ。


「おいおい、会うのは駄目だぞ? アークだって18歳になりゃ、賢者の後を継ぐんだ。お前と面識があったらまずいだろ」

 ラインはオレの顔色を見て考えを察したらしい。

 2年間の付き合いとはいえ、よくここまで考えを読まれるようになったもんだなぁ。


「また掟かよぉ……お前ってばホントそこだけは守ろうとするよな」

「当たり前だ! お前が適当すぎんだよ! 顔を見るぐらいならいいが、面識を持つのはとにかく駄目!」


「ヘイヘイ……、にしても、その分じゃ相当可愛がってるんじゃないの?」

 ニヤっと笑って聞いてみる。


「ん……まあな。これが誰に似たのか、元気のいいクソガキでな。まったく暇しない毎日だぜ」

「はっはっは! お前以外に居るかよ!」

 そんな他愛もない話をダラダラとしていく。


「……そう言えばさ」

「ん?」

 どこかの町で流行っていたという“チェス”で対戦中の事。

 ラインが唐突に口を開く。


「ガルディア神話って、聞いた事あるか?」

「ああ、あの空飛ぶ島の話? 珍しいな。記憶喪失のお前がそんな難しい事聞いてくるなんて」

 オレも詳しくは知らないが、本でチラっと読んだことがあった。


「本当か!? どういう話なんだ?」

 顔が一気に真剣味を増した。


「なんだ? 記憶に関する事なのか?」

「ん? ああいや違う。ちょっと小耳に挟んでさ、どういう話か気になっただけだって」

 普段通りの表情を作ると、ラインは軽い口調で言った。


「そう? って言ってもオレも難しい事は知らないけどねぇ。西大陸北部に伝わる神話だったかな。ガルディアって巨大な空飛ぶ島があって、そこに住む天使と地上の悪魔が戦争したって話。んで結局悪魔軍が勝つんだけど、ガルディアは地上に落下して悪魔軍も壊滅。んでそこに巨大な山が出来て、天使と悪魔の墓場になった……って話だったかな」

 かなり大雑把だが、間違ってはいないはずだ。


「なるほどな……それであの時……」

「ん? なんか言った?」

 小声で良く聞こえなかった。


「いや、なんでもない。しかし、天使と悪魔か……。それは何年ぐらい前の話なんだ?」

「あっはっは。なんだよ。神話なんて信じてるのか? 意外とロマンチストだな」


「いっ、言うなよそれは! クッソォチェックメイトだ!」

「な、なにぃ!? まさか話で意識をそらして負けを誘う作戦!?」


 ……結局3回やって一回も勝てなかった。

 なかなか高度な遊びだ!!


 

 


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