表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第六章 ドーイング騒乱
62/110

第62話「ドーイング村の危機」


前回のあらすじ……。


担当:リード・フェンネス。

今回は久々に僕、リードがあらすじを紹介させてもらうよ。

騎士団の正規騎士と共に見習いである僕らも遺跡の最深部へ侵入した。

そこに合ったのは、謎の巨大な装置。

僕たちは警戒したが、やがて装置から耳がおかしくなりそうな音波が鳴り響いた。

僕たちはすぐにその部屋から退避した。

しかし、そこで待っていたのは狂ったように凶暴化した魔物の群れだった。

その魔物の攻撃で瞬く間に第16混成団はほぼ壊滅。

その時ちょうどアークからの連絡も来て、村が危ないということが分かった。

急いで遺跡を出なければ!!



――――



「うおおおファイアバレット!」

「馬鹿ッ! いちいちかまってたら身が持たないわよ!」


「分かってるっつーの! 牽制だ牽制!!」

 俺達はザイルの言葉を9:1で信じていなかったが魔物がマジで狂ったように凶暴化しやがったんでこれはヤバいと思ってリードに連絡した。


 今は最強に凶暴化した魔物をかわしつつ、出口を目指していた。

 さっきは迷ったが、遺跡から出るのは簡単だ。


 上へ上へと目指せばいいだけなんだから。

 しかし、こうなるとどうしてもザイルの言った事を信じなければいけない。


 この魔物の凶暴化……普通じゃねぇよ!!

 これもザイルの計画なのか……?


 もしかしたら、こうやって俺達に情報を与えたのも狙いの1つなのかもしれない。

 だからって指くわえて見てる訳にはいかねぇ!!


 村を護らないと!!

 ルネの処刑どころか村人全員が死んじまうって!!


「しかしこれ、ザイルって男の言っていた情報、嘘じゃないかもね!」

 リナがバルードの攻撃を避ける。

 もうホント相手にしてらんないので、俺達は地上に逃げる事だけを考えていた。


「あァ! こンなンが村に押し寄せたら、それこそ駐留軍全兵力でも抑えきれねェ!」

 ジャミルが左から突出してきたゼークルトにファイアバレットを浴びせる。

 動きが止まった一瞬を狙い、俺達がそこを駆け抜ける!


「つーか! 俺達も生きて上に上がれるか不安なんだがッ!」

 壁を突き破ってバルードが三匹俺に飛び掛る!

 しゃがんだ後のスライディングでそれをかわしつつまた走る!


「上に騎士団がいるはず。早く行かないと置いてかれる」

 リナはこんな時でも冷静だ。

 確かにそれはある。


 それに、もう既に村に魔物が押し寄せてるかもしれない!

 避難には時間が掛かるだろうし……どうすりゃいいんだ!?



――――



 俺達は、ようやく地上に顔を出せた。


「見て! あれ!」

 リナが叫ぶ。

 まだ騎士団の輸送駆動車はいる!


「アーク!! 早く乗って!!」

 リードは既に輸送駆動車に乗っていた!

 俺達も急いで輸送駆動車の荷台に乗った。


「おい、他の騎士はどうしたんだよ」

 見ると、荷台には正規の騎士が数人しかいない。

 しかも遺跡周辺にはまだ5台の輸送駆動車が残っていた。


「壊滅……したんだ。あの凶暴化した魔物にやられて……」

 ――え!?

 俺が見たときは、少なくとも50人はいたはず……。

 それが、たった9人しか生き残らなかったのかよ……。


「驚いてる場合じゃないよぉチミ~、その大群が村に押し寄せたら被害はこんなもんじゃすまないよ~?」

「そうだな……っておっさん!?」

 俺の隣にはいつの間にかおっさんがいた!!

 ワープ!?


「実は僕が輸送駆動車に乗って発進準備をしている間に合流したんだ。ここに残すのもかわいそうだと思ってね」

 かわいそうっていうか……置いてったらほとんど殺人だもんなそれ……。


「いや~、魔物がいきなり強くなったもんだからおっさんもうビックリ! 死ぬかと思ったわ!」

 冗談言ってるようにしか聞こえないんだが……。



――ドーイング村――



「帝国騎士団、帝都即応部隊、第16混成団を指揮するハーミット中尉です!! 村に魔物が迫っています! 直ちに村から避難してください!!」

 生き残った騎士団の中で一番階級の高い人が村人全員を集めて警告をした。


 俺は事情を直接中尉に話し(ザイルの事は伏せたが、既に一群が村へ向かっていたので説得は簡単だった)村を避難させるように頼んだ。


「騎士様、村は聖なる領域が護ってくださる。そんなにあわてることでもありますまい」

 腰を曲げてのほほーんとしたばあさんがのほほーんとした口調で言った。


「残念ながら我々人類は聖なる領域の事をよく知りません。異常に凶暴化した魔物に対し、聖なる領域が100%安全と言える保証はどこにもないのです!」

「領域が効かないって言うんですか!?」

 村人の1人が抗議する。


「いえ、ただ100%の保証はできないだけです。我々は、万が一のことを考えて――」

 ハーミット中尉は必死に声を上げるが、若い村人の一人がその声を遮る。


「だったら、その危険から村を守るのが騎士の役目なんじゃないですか!?」

「そうだそうだ! この村は俺達の生活の全てだ! 簡単に捨てられるか!」

 別の男が便乗して声を荒げる。

 駄目だ……完全に言うことを聞いていない……。


「騎士様! この牧場に残ってる牛達はどうすれば!」

「急に柵から解放したら暴れだしてしまいますよ!」

 今度は牧場の主達がハーミット中尉に詰め寄る。  


「中尉さん!! せっかく買ったマイホームなんだ! こんなところで手放せないよ!」

「いきなり避難しろだなんて……家財道具はどうすればいいんですか!」

 いきなり事実を告げてしまったので、村は一斉に大パニックに陥った。

 くそ……!

 もうすぐ魔物が……!!


「うわぁ!」

「きゃあ!」

「うおお! なんだ!?」


 突然、地震が発生した。

 いや……地震じゃない?


「み、みろ! 地平線になにかいるぞ!!」

 見ると、地平線が"揺れていた"。


「あれは……ま、まさか!」

 その揺れの正体が分かったとき、さすがの俺でも血の気が引いた。


「間違いない! 魔物だ……魔物の大群だぁぁーーー!!」

 村人のその騒ぎは瞬く間に広がり、村中に伝染した。

 この揺れ……魔物の地響きかよ!?


「この数……ゆうに千体以上はいるぞ……ッ!!」

 ロウさんが焦りの表情を浮かべて言った。


『ハーミット中尉ッ!! こちら偵察班! 魔物群の移動を確認! 目標、ドーイング村ですッ!!』

 ほぼ同時に、騎士団の偵察班からテレスで通信があった。

 どうやら音声を周囲にも聞こえるように設定してあるみたいだ。


「分かっている! こちらでも確認した! 到着予想時刻は!?」

『進軍速度……時速45km、到着予想は……あと10分です!』

「了解! すぐに下がれ! 巻き込まれるぞ!!」


 あと10分で……この人数を避難させられるのか!?

 無茶だ! 絶対に間に合わない!!


「総員村人を運び出せ! 多少手荒でも構わん! 急ぎ輸送駆動車へ積み込め!」

 くそ……。

 村人が逃げ惑っている。


 我先にと他人を押しのけ、走り出す。

 押し退けるだけならまだいい……でも、殴る蹴る、更には刃物まで持ち出す者もいた。


 そう言う奴は更に騎士達に殴り飛ばされて運ばれる。

 ……なんで、なんでこんなに荒れてるんだ……。


 あんなのどかな酪農の村が、どうしてこんなに狂っているんだよ……。


「アークッ、何をボサっと突っ立っているんだッ! 君も早く行けッ!!」

 リードが怒鳴った。

 あいつも、一人の若者を取り押さえていた。


「分かってるッ……いや、待て! まだルネが!!」

 ハッと気が付いた。

 あいつまだ縛られてるんじゃ……。

 今の騎士団に、ルネに構ってる余裕は無いはずだ!


「済まない、ルネを頼む! 僕達は、今手が離せない!」

「見てりゃ分かる! お前も早く逃げろよ!」

 そう言って、俺は駆け出した。


 まだきっと、騎士団の屯所に居るはずだ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ