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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第六章 ドーイング騒乱
59/110

第59話「いくら緊急事態だからって顔面に裏拳はひどい」

前回のあらすじ……


担当:アーク・シュナイザー。

リ-ドの助太刀に入ったら、騎士とかリナにスゲー怒られた。

最終的になんとかなったんだからいいだろもう!!

そんな感じで、遺跡の中を進む俺ら。

だが、気付いたらおっさんが居なかった!!

おっさん大丈夫か!?

死んでたらどうしよう!



――――



「おっさーん! おっさーーーーん! ……いねーなぁ……」

 俺達は走りながらおっさんとザイルを探して遺跡の中を彷徨っていた。


「恐れをなして遺跡から逃げ帰ったンじゃねェのォ?」

 ジャミルが言う。


「おっさんなんてどうでもいいから。アタシ達はザイルを探してんでしょ」

 そう言いながらリナも走って辺りを見回す。


「くっそ、ザイルもいねー……、もう少しあっちの方を探してみるか?」

 俺は別の方向に指を指した。


「はァ? あっちはさっき見ただろォ、確か行き止まりだったンじゃねェか?」

「馬鹿? 行き止まりはそっち。アタシ達がまだ行ってないのはそこ」

「いやいやさっきそこから来たんだろ、んであそこが行き止まりだったから戻ってこっちに来て……」


「違ェよ、そこの階段から上がって来て……どこ行ったっけ?」

 そこで、俺達3人はようやく気付いた。


「つまりアレね、迷ったわねアタシ達」

 平然と、冷静に、何事もなかったかのようにサラっと言うリナには何かの才能があると思った。


「ちょ、オイっ! どうすンだよォッ! つゥかアークテメェ! 人の事方向音痴だとか散々馬鹿にしやがってた癖にィ!」

 一方ジャミルはいきなり冷静さを欠いていた。


「知るかっ! とりあえずこうなったらもう走って探しまくる!」

「それさっきと変わンねェじゃん!!」

 冷静さを失っているのに的確なツッコミ!


「しょうがねぇだろ! もうルネ処刑まで時間がねぇ! それまで――ぶっへ!」

 いてぇ!!

 リナに殴られた!?


 俺は顔面に裏拳を喰らい倒れた。

 いきなりなんだこの女!!


 直後、俺の頭上を何かが通り抜けた!


「伏せて! ――燃え盛る火炎よ、敵を蹴散らせ! フレアスプラッシュ!!」

 リナの魔法!?

 俺は顔面を抑えながらよろよろと立ち上がった。


 その瞬間俺の前方で激しい炎の爆発!

 ……おいおい何がどうなってんだ!?


 その爆発の向こうには――ザイルがいた!


「ザイル!?」

 おーけー、とりあえず深呼吸でもしようか。

 つまりあれだ、ザイルの存在にいち早く気付いたリナは顔面裏拳をすることによって俺を狙ったザイルの攻撃を避けたと。


「おいリナ! もうちょい器用に出来なかったのか!? つーか伏せてって言う前に殴ったよなお前!」

 俺は顔面をさすりながら言った。


「アンタのせいで、お父さんが……!!」

 リナに俺の言葉なんて届いてなかった。

 槍を握り締めてわなわなと震えている。


「オイオイ……随分なご挨拶じゃねぇか。危うく掠り傷負う所だったぜ。ククク」

 対してザイルの方は余裕そうだったが、リナを見て何かに気付く。


「おぉ、オマエ知ってるぜ? ダアト・ベルナールの娘じゃねぇか。奇遇だな、それともわざわざ復讐でもしに来たってかァ?」

 わざと怒りを煽るような言い方をする。


「赦さない……――紅蓮の炎よ! 我が武器に纏え! ソルフレイム!」

 リナは歯をぎりりと噛み締め、


「このぉぉぉ!!」

 槍に炎を纏わせ突進した!


「ザンネンながらオマエに用はねぇよ」

 リナが槍を振るうと――ザイルが消えた!?


「オイアーク! 後ろだッ!!」

 ジャミルの声。

 後ろ!?


 俺は振り向くと同時に迫りくる刃をダガーでガードした。


「くッ!!」

 左手のクローと両手に握るダガーがギリギリと音を立てる。


「ぎゃははは、死ねェッ!!」

 ザイルの右手のクローが俺を襲う!


「ぐああぁッ!!」

 電撃を纏ったクロー攻撃で俺は後方へ吹っ飛ばされた!

 いってー……くそ!!


 相変わらずむちゃくちゃな移動速度だよこいつはッ!!


「クソ野郎! アイスバレット!!」

 ジャミルが氷の弾丸を放つ!


「効かねェよ!!」

 ザイルは手をかざすと1枚の透明な板みたいなのを目の前に出現させて攻撃を防いだ。


「なァッ……ンなのアリかよォ!」

「ンじゃァ早速コイツを使って見っかァ! ド派手に散りなァ!」

 ザイルはそう言うと、右手を翳した。

 すると右手から……細長い、紫色をした粒子の集合体みたいなのが現れた。


 それはさながら、“粒子の剣”だ。


「ぎゃはははははッ!! さァ暴れろォォ!!」

 そう言って、ザイルはその“粒子の剣”を一振りした。

 そう、たった一振りだ。


 それだけで、次の瞬間、周囲にあるありとあらゆるものが斬り刻まれた。

 いや、斬り刻まれたっていうよりはもう爆発したって言ったほうが良いかも知れない、そんなぐらいハチャメチャな事になった。


「なっ……んだそれ……」

 奇跡的に俺達に怪我は無かったが、周囲が大変な事になった。


「さすがに使い始めだと制御が安定しねぇな。これじゃ文字通り暴走じゃねぇか」

 チッ、と舌打ちしながら“粒子の剣”を眺める。


「だァァちょっと待てェ!! なンなンだそりゃァ! 誰なンだテメェ!!」

 まったく状況を読めないジャミルが騒ぎ出す。

 まあ無理も無い、なんにも話してねぇからな。


「コイツはブラストレイズの1つ、魔剣『バンガード』。魔素で出来た剣ってトコだ。ついでだしいいコト教えてやるよォ、オマエらに絶望を与える為になァ。俺が今持ってるブラストレイズは他に3つ。魔素粒子砲『ウィドウ』、、空間転移『ラーヴリク』、そして、物理運動の遮断壁『テトラーク』。……オマエらが勝つ可能性は、万に一つも有り得ねェ」


 自ら手の内をさらすとは何たる度胸。

 まあそりゃそうか、強すぎるし……。


 しかもルネの情報だと大怪我してるはずなのにピンピンしてるしよ。

 クッソ……、3人も殺しやがって……勝てるかどうかわからんが、この腕輪を渡す気もないし、ルネを見捨てる気もなければ、仇を許す気もない。


「ジャミル……。察してると思うが俺とリナは訳ありだ。ここまで誘っておいてなんだけど、後は俺達に任せて逃げろ!」

 ジャミルは無関係だ。

 万が一にもここで死んではいけない。


「ハッ! 訳ありだか何だか知らねェが、仲間置いて逃げ帰ったら漢が廃らァ!」

 構えた銃を、ジャミルはしまう気配がなかった。


「そ。死んでもいいの?」

 リナは相変わらずドライに聞く。


「意地張って死ねンなら本望だぜ」

「……馬鹿ね。まあ仇討ち考えてるアタシ達もだけど」

 珍しい……リナが笑ってる。


 仇討ち、か……。

 もし生きて帰れたら、ジャミルにも本当の事言っとかないとな。


 あれ……?

 これ死亡フラグじゃないよね?


「いいぜ……3人纏めて屍にしてやらァ!!」

 下らないこと考えてる場合じゃねぇ!!


 ……やっと、親父の無念を晴らす時が来たんだ!!


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