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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第六章 ドーイング騒乱
54/110

第54話「やっぱ犯人はあの男」


前回のあらすじ……


担当:アーク・シュナイザー。

気まずい状態でリードといろいろ話した。

リードによると、殺人未遂容疑で拘束されたルネは今日中に帝都に移送して牢獄に入れられるか打ち首になる可能性があるらしい。

打ち首ってやべぇ!!

ブエノースって奴が目を覚ませば万事解決なんだけどまだ意識回復してないししかも今は面会できないっぽいし、うむぅ……八方塞がりってヤツ?

いやいや、んな呑気な事言ってる場合じゃないってば!!

とりあえず面会を頼みに行ったリナ達を呼んでこよう!



――――



「おーい、リナ、ジャミル、おっさん! 面会の許可は出たのか?」

 俺は病院の外をうろついてたみんなに声をかけた。


「許可が出たならこんなとこでうろついてたりしないってば」

 おっさんは落胆の色を見せながら言った。


「ま、普通に考えたら当然よね。特におっさんなんか一番得体の知れない存在だし」

「存在って……せめて人間って言ってくれる?」


「……人間だったの?」

「ガーーーン!!」

 真っ白になって固まってるおっさんはほっとくとして……。


「それよりルネの事なんだけど、リードの話ではこのままだと今日中に打ち首になるかも知れないらしい」

「う、打ち首ィ!? って、死ぬって事かァ!?」


「そーね」

 リナは反応がドライだな……。


「ん~じゃあとりあえずルネ嬢の話でも聞きに行こうか?」

 とおっさんが提案したのでそれに乗る。

 まあそれしかできること無いしな今は。


 ということで、俺達は騎士団屯所に拘束されているルネに話を聞きに行く事にした。



――――



「あ、アーク! それにみんな!!」

 ルネは屯所の奥の方で両手を腰にまわし手錠をかけられた上でその手錠を柱に縛り付けられていた。

 うーん周囲には騎士が目を光らせてるしさすがに脱走出来る状態じゃないな。


 てゆーかそもそもそんなことしたらマジで犯罪者になっちまうけど。


「なんつーかァ、こんな形で再会するとは思わなかったぜェ……」

 ジャミルが遠い目でルネを見る。


「なによ~! その犯罪者を見る目は~!!」

 お返しのつもりなのか、不満を込めた目線をジャミルに送り返す。


「てことは、アンタは一応容疑を否認してるってわけね」

 ルネの言動を見てリナがそう判断した。


「そうなんだけどさ~、あんの腐れ騎士、あたしの言うこと全ッ然聞いてくんないんだよ!? マジムカツク~~!!」

 不満爆発、と言った感じでルネは突然暴れだした。


「お、落ち着けって……。それで、一体何があったんだよ。そもそもお前別の街行ったはずなのになんでドーイングにいるんだよ」

 確かルネはあの時……エンレイとかいう街に行ったはずだ。


「そうそう、聞いてよ~、実はね~――」



――ルネ視点――



 お?

 あそこに見えるのはドーイング!


 やった~!

 やっと着いたよ~!


 本当は馬車でドーイングまで行くはずだったんだけど、途中で珍獣レアレウスを発見したからね!

 思わず馬車を乗り捨てて狩りに行っちゃったよ。


 いや~、レアレウスのツノは高く売れるんだよね~!

 これ小さいけど、売りさばけば2万Jは軽いね!


 御爺さんに「伯父さんに顔出してきなさい」って言われた時は不幸かと思ったけど、いやはや人生っってドコに幸運が転がってるかわっかんないもんですなぁ~。

 そんな事を考えながらテンションMAXであたしはドーイングへ向かうのだった。


「よし、着いたか~」

 あたしは目前の小さなお屋敷を前に気合を入れる。

 正面からノックしても良いんだけど、それじゃつまらないのよね~。


 だからあたしはいつも、家の至るところから侵入している。

 まるで泥棒のように……。


 お?

 今日はこの窓があいてる……。


 スタっ!

 窓から侵入!


 む、罠?

 甘いねっ!


 …………。


 解除成功!

 あたしは目の前のドアを勢いよく開ける。


「こんにちわ~っ! 伯父さ~ん! 今日すっごいお土産持って来たんだよ~! ジャーン! ……って………え………?」

 この時ばかりは、あたしの顔から笑顔が消えた。

 伯父さん……アレン・ブエノースさんは、血まみれで床に倒れていた。


「え……うそ? お……じさん?」

 目の前が真っ白になって……なにも考えられなかった。


「……くッ……オマエ……どこから入ってきたッ……!?」

「――ッ!?」

 あたしが伯父さんに駆け寄ろうとすると、あたしが入ってきたのとは反対側のドアに手をつき、負傷した男が――って、こいつ! 無人島にいた金髪電撃男じゃん!!

 でもなんか傷だらけで満身創痍って感じだった。


 きっと……伯父さんにやられたんだ……。


「あんたが伯父さんを!! よくも!!」

 あたしは道中”拾った”剣を構えた!

 さっきレアレウス戦で使ったせいで血がこびり付いてるけどまだ使えそう!


「フン――遅ぇ」

 金髪電撃男は手をかざすと手の先から衝撃波をだした!


「うわっ!」

 あたしは軽い衝撃で吹っ飛ばされた!


「いてて……あ……」

 顔を上げると、そこに金髪電撃男はいなくなっていた。


「う……おじさ――」

「動くな!!」


「――ッ!?」

 一瞬のうちに、その部屋に大量の騎士たちが入り込んできた。

 そして、なんとあたしを拘束し始めた!


「ちょっと! 何するのよ!!」

「現行犯逮捕だ! 貴様たちはすぐにブエノース提督を病院に連れて行け!!」

 騎士はあたしの質問に答えず部下に指示を出す。


「ちょっと! あたし犯人じゃないわよ! さっき金髪の男が――」

「じゃあそこにある剣はなんだ!!」


「それは男がいたから――」


「黙れ。話は屯所でじっくり聞いてやる。クソッ……只でさえ魔物で忙しいこの時期に……よりによって大佐殿を手に掛けるとは……本当は今この場で切り捨てたいところだがな。フン、私が騎士だったことに感謝するんだな!!」

 あたしの意見は一切聞きいれてもらえないまま、あたしは屯所へ連行された。



――――



「その後もこの腐れ騎士共はあたしの話に全く耳を傾けないんだよ! んもうマジムカつく!!」

「っちょっとマテ!! お前……アレンのめいだったのか!?」

 俺は意外すぎる事実を再確認する。


「そうね。あたしのお父さんのお兄さんなんだってさ」

 って事は……ルネの家系って賢者の家系だったのかぁぁぁ!?

 いや……正確にはブエノース家つまりルネの父親の家系なんだろうけど……。


 ん?

 その意味ではそう言えば俺も賢者の家系になるのか?


 っていうか俺の場合親父がそうだったんだからもう直だよなぁ。

 現に今ブラストレイズ持ってるし。


 って、そんな話はどうでもよくて、やっぱり犯人はザイルだった!!

 でもかなり重傷を負ったみたいだな……。


「おいルネ、お前の話だと、ザイルは相当重傷だったんだよな?」

「ザイル?」

 そっか、ルネは知らないんだっけ。


「ああその金髪男の名前だよ」

「そうそう、あの様子だと……遠くにはいけないと思うけど……」

 よし!


「ルネ! 待ってろ、必ずお前の無実を証明して見せるからな!」

 俺は事件解決の決意を表明する。


「え!?」

 ルネは戸惑った表情を見せる。


「よし、ジャミル、リナ、おっさん! 犯人はまだこの近くにいるはずだ! 今日中に探し出すぞ!」

「おゥよ!」

「ハイハイ」

「おっさん頑張っちゃうよ!!」


 そう言って、俺達は屯所を飛び出した。



――――



「はぁッ、はぁッ、はぁッ……」

 金髪の男、ザイル・サファールは頑丈に出来た壁を伝って歩いていた。

 彼の体の至る所には大小さまざまな傷があった。


 よって彼の歩く道にはまるで道しるべのように血の跡が点々と残っていた。


「フフフ、随分と苦戦なされたようですねぇ」

 ザイルの行き着く先には一人の男がいた。

 年齢は30代後半か。


 服装は白衣に黒いネクタイとYシャツという、医者か研究者を連想させる服装だった。

 だが、四角い黒縁のメガネの奥の瞳の、瞳孔は開いていた。


 まるで、血の気を求める獣のように。

 医者というより闇医者、研究者というより悪の科学者(マッドサイエンティスト)というべき姿だった。


「あぁ……あのアレン・ブエノースって奴、今までで2番目に強ぇ。トドメすら刺せたかどうか……まぁ、オマエらはコレが揃えば満足なんだろォが」

 そう言って、ザイルは紫色に微かに光る腕輪を見せる。


「ブラストレイズ、魔剣・バンガード、ですか……。これはまた、いい物を手に入れましたね」

 白衣の男は顔をにやりと歪める。


「さて、もうじき貴方を追ってアーク・シュナイザーとジルド・クロームドが遺跡に侵入してくるでしょう。そこで両名のブラストレイズを奪ってしまうも良し、“あれ”をあえて奪わせるのも良しです。ふふ、ご安心を。“シャドウ様”は全ての可能性を網羅しています。例えどう転がろうと、我々の生存は保障されていますよ」


 そこまで言うと、白衣の男はザイルに手を翳す。

 ザイルの体が光に包まれ、次の瞬間には怪我が治っていた。


「……やるべき事は、お分かりですね?」

 にっこりと、微笑んでくる。

 だが、それは表面上だけの笑顔である事が、ザイルには既に分かっていた。


「うるせぇ。それより“オレの中のオレ”をどうにかしろ。意識の後ろからチラチラチラチラと、目障りでしょうがねぇ。隙を見て出てきてはいらねぇ事をベラベラしゃべりやがるし」


「問題ありませんよ。貴方に与えた情報程度、多少漏れ出そうと計画にはまったく支障が出ません。私が気に掛ける程度ではありませんよ。……例え貴方が、どんな事を言おうと、ね」

 そういい残して、白衣の男は背を向けて歩き出す。


「では、御武運を。我等が計画の為に」

 この台詞は、去り際にこの男が必ず口にする事だった。


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