表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第六章 ドーイング騒乱
52/110

第52話「気まずい……」

前回のあらすじ……。


担当:アーク・シュナイザー。

なぜか事情をよく知ってるおっさんに話を聞いたら、ルネはどうやら殺人事件の容疑者として逮捕されてしまったらしい。

しかも殺人未遂の被害者は賢者「アレン・ブエノース」だし!

その上ここでも魔物の凶暴化は騒がれてるみたいだし……

なんかルネまで出てくるし……。

もうめんどくせぇ!!



――――



「悪いなリナ、いろいろもたついてたせいで厄介な事になっちまったな……」

 俺は一応謝っておく。

 俺がもっと早くドーイングについていたらこんな事態は回避出来たかも知れないしな。


「死んで謝るべきね」

 ひでぇ!!


「……って言いたいとこだけど、アタシが着いたころには既に事件は起こってたし、別にアンタのせいでもないわね」

 そうだったのか。

 良かったような……悪かったような……。


「なっちゃった物は仕方ないんだから、とりあえずアレンって人に会いに――って、ん……アンタまさか……!?」

 ん?

 リナがおっさんを見て驚いてる?


「あ、覚えてた~?」

 そのリナを見て、おっさんはニッと微笑む。


「アンタのお陰で情報屋には会えたわ。一応礼は言って置く」

「はは……そりゃどうも」


「にしても、ここにいるって事はアンタも脱獄してきたってワケ?」

「人聞き悪いわ~。おっさん捕まりそうにはなったけど、捕まった訳ではないって」


「そ。どっちにしろ、王国ではお尋ね者同士って訳ね」

「そゆこと~」

 え??


 はぁ!? 脱獄!?

 話が全く見えないんだが……。


「オイリナ、どういう事だァ?」

 ジャミルが聞く。


「どうでもいい話」

「……教える気0かよォ……」

 リナに聞いてもどうしようもなさそうなので俺はおっさんに聞いてみる。


「おっさん、どういう事なんだ?」

「ん? リナ嬢が秘密にしてんなら、おっさん勝手に話す訳にはいかないね~。2人だけの秘密って奴? ニシシシシ」

 おっさんが嫌らしく笑う。

 その笑い方は変態予備軍だぞおっさん……。


「あ、それもキモいわね。良いわ、手短に教える」

「ガーーーン!!」

 お、おっさんグッジョブ! ……なのか?


「アタシの出身はセトラエスト王国なんだけど、アタシのお父さんが殺された時、アタシそのザイルって男を見たの。咄嗟に攻撃しまくったんだけど、暴れすぎて王都軍にはアタシがお父さんを殺したって疑いをかけられて、そのまま牢屋へ直行。それをこのおっさんが助けてくれたって訳。なんでおっさんがそこにいたのかは知らないけど」


 リナは淡々と話した。

 そうだったのか……。


 にしても暴れすぎで捕まるって……王都軍も捜査雑だなオイ。

 ていうかお尋ね者だったのか2人とも!?


 このメンバーって何気危ないんじゃ……。


「そゆこと~。リナ嬢がここにいられんのはおっさんのおかげってわけよ!」

 いや確かにそうなんだろうけど、それを聞くと否定したくなるのは何故なんだろうか……。


「今そんな話どうだっていいわ。とりあえずそのアレンって人に会いに行くわよ」

 と言ってリナは1人でスタスタと歩きだした。


「なァ、そォいやそのアレンってのは何モンなんだ? さっき騎士団のお偉方とか言ってたけど……」

「帝国騎士団バイアル中海連合艦隊の提督殿よ。階級は大佐。お宅ら知らなかったの?」

 おっさんは当然のように言った。


「全然……」

「知るかァ」

「アタシもさっき知った。まあそんなのが殺されかければ怒りで捜査が多少ザルになんのも分かんなくもないけどね」

 でも冤罪にも程があるだろ……。



――――



「全員降車! 整列!!」

 混成団長の大声が聞こえ、僕――リード・フェンネス――達は軍用輸送駆動車(トラック)下りて整列した。

 この輸送駆動車というものは、遺跡から見つかった技術を解明して造られたものの1つで、もちろん民間にはまだ流用されていないものだ。


「今回の任務は、ここバスキルト砦の調査、及び魔物群の殲滅である! ここ最近、各地で魔物の凶暴化や異常行動がみられ、各地で被害が出ている。特にここドーイング周辺での凶暴化は激しく、ドーイング駐留軍も激しい痛手を喰らっている。その原因を突き止めるのが今回の任務だ! なお、今回は訓練学校のヒヨッコ共も随伴しているから、怪我しないようにしっかり護ってやれよ? 以上! 村で補給を取り、30分後に移動を開始する! 解散!!」


 僕は敬礼をして、楽な姿勢を取った。


「はぁ……まさかこんなヤバい任務にお鉢が回ってくるとはなぁ。ったく世も末だぜ」

 ロウ隊長は補給物資が入った木箱に腰かけた。

 ……まったくだ。


 ここは酪農の村、ドーイング。

 なんの因果か、僕はアークを追ってくる形でここに来てしまった。


「ここにアーク……いるんだよねー?」

 エルが聞いてきた。


「そう……だね。はぁ……まったく、顔を合わせづらいったらありゃしないよ。あの後じゃ……」

 アークが何をしているのか気になっただけだったのに、いつの間にか怒鳴ってしまっていた。

 あんな旅立ちじゃあ、アークも散々だっただろうね。


 雨降ってたし。

 アークの事だから、傘なんて持ってなかっただろう。


 せめて渡してあげればよかったかな。


「でも、あと30分でここを出発するんだし、そんなに気にする必要もないよー」

 にっこり笑うエル。

 まあ、そんなことよりも今は作戦に集中しなければいけないことも確かだ。


 なんていったって、初の作戦になるんだから。

 本当は訓練部隊がこうやって作戦にかりだされる事は無いんだけれど、魔物の凶暴化で正規騎士の数が減ってるし、かといって帝都をガラ開きにすることもできない。


 だから僕たちにお鉢が回ってきたわけだが、結構苦肉の策だな……。


「おうおうお前ら何辛気臭い顔してんだ? 選ばれちまったのはしょうがねーんだよ。こうなったら気合いで乗り切るしかねぇだろうよ! がっはっは!」

 ロウ隊長は僕とエルの肩を叩き豪快に笑う。


「えー? 隊長もさっきため息ついてたじゃないですかー! ため息は幸せを逃すんですよー!?」


「がっはっは、逃した幸せはまた吸えば良いじゃないか! ん……おいリード、あれ、アークじゃないか?」

「え? ……あ、そうですね」

 しまった……。

 しかもジャミルとリナと無人島のおじさんまで居るのはなんでだ?


 でもどちらにせよ会うのは気まずい……。

 まあこちらが発見したとしても、別に話しかけなければいいか……。


 ……あ。

 目が合った……。



――――



 俺達はアレンの様子を見る為、医療施設に向かう途中だった。


「ん……? オイあれ、あの輸送駆動車、騎士団じゃねェか?」

 ジャミルが何かを発見した。

 緑色の輸送駆動車が数台停車していて、そこから銀色の鎧を着た騎士が次々と降りてきて整列している。


「へぇ……魔物の討伐部隊かなんかかね?」

「関係ないわ。行きましょ」

 リナは興味0! と言わんばかりにスタスタと歩いていく。


「ちょ、おいアレ! リードとエルじゃねェか? あそこにいンの!」

 ジャミルが指を指す。


「ん……あ、ホントだ!!」

 やっべー……超気まずい……。

 まあ俺が発見しただけなんだから別に会わなきゃいい話か。


 ……あ。

 目が合った……。

 


――――



「ん? どうした? 動きが固まってるぞ?」

 ロウ教官が言った。

 ……どうしようか。


 出来れば今は会いたくないんだが……。


「出発までまだ時間はあるぞ? ちょっと話してきたらどうだ?」


「い、いえっ! 任務中ですのでっ!」

「がっはっは、遠慮すんな! ほら行った行った!」



――――



「ん? どうしたァ? 動きが固まってるぜェ?」

 ジャミルが言った。

 ……やべどうしよ。


 マジで会いたくねェ今は……。


「別にちょっと話すくらいは良いんじゃねェか?」


「い、いやっ! 急いでアレンに会った方がいいって! な、リナ?」

「ちょっとくらいなら良いんじゃない? アタシ面会の許可とってくるから」

 …………。


 そんな訳で俺はリードと話す事になってしまったのだった……。

 気まずい……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ