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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第五章 帰省と旅立ち
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第49話「紅蓮の覇王」

前回のあらすじ……。


担当:アーク・シュナイザー。

大雨の中、城下町を出て馬車を拾う為シャノールという村へ向かう俺。

ところが、なぜか道中ジャミルに遭遇。

なんやかんやで一緒にドーイングへ向かう事になってしまった。

しかもその途中馬車に乗っていたらなんと噂の(?)盗賊団、紅蓮の覇王に遭遇してしまった!!



――――



「オイ、おとなしく有り金全部と金目のモノ寄こしな! そうすりゃ命だけは勘弁してやんぜ?」

 紅蓮の覇王の特徴である真っ赤な服装に身を包んだ盗賊が……20人弱ってとこか。

 ったく……ついてないぜ。


「ひぃぃ! お金は差し上げますから! どうかこの馬車だけは……!!」

 馬車から下りて馬車のオヤジは頭を下げる。


「へぇ……この馬車なかなか上モノじゃねぇか。こいつぁ高く売れるぜ! はは、今日はツイてるぜ!」

 スキンヘッドのくせに立派な髭を蓄えたリーダー各っぽい男がそう言った。


「それが無いと俺は商売ができねぇんだ! どうかそれだけは!!」

「ごちゃごちゃうるせージジイだな! 死ねばそんな心配もしなくていいんだぜ?」

 そう言ってスキンはオヤジの胸倉を掴む。

 なるほど。


 紅蓮の覇王の話はよく聞くが実際に見るのは初めてだった。

 どんな野郎かと思ったがやっぱロクでもない野郎だな。


 よし、ここは俺が一発――


「オイ。それ以上コイツに手ェ出してみなァ、テメェの汚ねェ脳天ブッ飛ばすぜ?」

 と思ったら既にジャミルはスキンの頭にダブルバレットの右を突きつけていた。


「グハハ、てめーこそお仲間の命ぐらいは覚悟しといた方がいいぜ?」

 仲間?

 って俺の事かっ!


「オイ! 動くんじゃねーぞ」

「……マジ?」

 俺の喉元には槍が突きつけられていた。


 ……けどそんなの関係ねぇ!

 俺は槍が俺の喉を突き刺すよりも早く左に動き、槍をかわした後逆手持ちのダガーで技を決めた。


「クロスエッジ!」

 左手を水平に、右手を垂直に振る!


「痛ぇぇぇッ!!」

 怪我程度で済ましてやっからもう起きるんじゃねーぞ!!


「な……なんだアイツは!? ……ちッ!!」

 スキンは俺を見て驚いた後、ジジイを開放しジャミルと距離を取る。

 その間に俺にザコ盗賊が集る!


「うおおおぉぉ!!」

 大きな斧を振り下ろす敵の攻撃を右に避け、その瞬間後ろから来た剣撃を弾き、斧野郎に当てる。


 右から来た槍撃はバック宙で咄嗟にかわしつつ短剣を持ったやつの背後に回り背中を斬る。

 槍の奴が驚いている間にダイヴスラッシュで倒す。


「くそ……お前、ちょこまかちょこまかと……曲芸師か!?」

 剣を持った男が構えながら聞く。

 槍と斧と短剣、3人戦闘不能にしたがまだまだいるなもう嫌んなる。

 だが腕輪『ラプター』の調子は絶好調だったので負ける気はしなかった。


「チ……小僧共が……調子に乗るんじゃねぇ!」

 ふと、ジャミルと戦っていたスキンが目に入る。

 その瞬間、スキンの右腕が光った!


 腕はみるみる形を変え、やがて腕全体がガトリング砲へと姿を変えた。

 あれは身体変形兵器(フォースレイズ)……腕とか脚とかが武器に変わる奴か!


 レア物発見!

 って言ってる場合じゃないな。


「グハハハハハ! ハチの巣にしてやる!!」

 機械音を上げて、砲身が回転する!

 って俺も狙われてるし!


 さすがにやべぇ!!

 俺は可能な限り距離を稼ぐ!


 やがて激しい銃撃音と共に無数の弾丸が辺りを襲った!


「うおあぁぁぁッ!?」 

 やばいってこれ死ぬって!!

 左肩に激痛!


 喰らった!! いてぇぇぇ!

 その衝撃で頭から倒れこむ!


 起き上がったら蜂の巣だ!

 周囲の地面に弾丸が当たり、激しい砂煙を上げている。


 俺は本能で頭を抑えながらじっとして銃撃が止むのを待っていた。

 ……終わったみたいだ……なんとか生き残ったのか……?


 なんという奇跡!


「はぁ……はぁ……ヤバい、マジヤバい、ホントヤバいって……」

 左肩はモロ貫通。

 超いてーし!


 血めっちゃ出てるし!

 辺りは草原だったはずなのに、草は1本も残っていない上に穴だらけだ。


 砂埃が激しい。

 俺は恐る恐る起き上がる。


「うう……アスト様……なぜ……?」

 声がした。

 同時に、風で砂煙が晴れてきた。


 ……声の主は、紅蓮の覇王の団員だった。

 銃撃の直撃を受けて血まみれだ……。


 その他にも数人の団員が巻き添えを食らって倒れていた――いや死んでいた。


「はぁ? 邪魔なんだよ。俺様の前に出るてめーが悪い。グハハ、運が悪かったな」

 懐から拳銃を取り出して――


 発砲音。

 ――撃ちやがった。


 野郎……!

 左肩は治っていないが、この時怒りで痛みは感じていなかった。


「お前……それでも同じ盗賊団の仲間かよ……! 仲間を何だと思ってやがんだ!!」

 俺が言ったらスキンは馬鹿にしたような声で、


「仲間? ゴミクズの間違いだろ? コミクズに代わりはいくらでもいる。……ん?」

 テレスが鳴っていた。

 アストと呼ばれたスキンは、テレスの画面を一瞥した。


「ちっ、クリスの野郎か……。てめーら、そのクソ生意気なツラは覚えたぜ。俺の弾幕をかわして生き延びたこと、せいぜい喜ぶんだな。グハハハハハ!」

 アストはバカ笑いして、即座に馬車に乗り込んだ。


「テメェ逃がすかァ! ファイアバレットッ!」

「そうはさせん!」

 紅蓮の覇王団員の1人が、馬車に乗ったままメイスを弾丸に向ける。

 すると、直前で弾丸はあらぬ方向へ跳ね返された。


 あれは……体外装備兵器(サードレイズ)のリフレクターか!


「そぉら喰らえッ!!」

 ついでにもう一人、構えてるアレは……ゲ、火線砲!?

 その筒から、火球が高速で発射された!


「チッ! 伏せろアークッ!!」

 ジャミルが言うが、その前に体が反射で伏せた!

 その瞬間、俺達の目の前で衝撃と炎を巻き上げて爆発した。


「うっ……すげぇ煙……」

 咳込みながら起き上がったが、さすがにもう見失っていた。


「チッ……逃がしたかァ。オイ、怪我大丈夫かよォ」

 ジャミルが俺の隣に来て言った

 ……ん? 怪我?


「あ、忘れてた……いってぇぇぇぇぇーーーーー!!!」


 その後、馬車のオヤジに馬車にある薬を使って応急処置してもらった。

 馬車のオヤジはスゲー感謝してて、運賃をタダにしてくれた!


 やった!

 にしてもあいつ……アストとか言ったっけ……。


 あんなのが普通にいるんじゃ、確かにエイリアスみたいに恨むやつが出てきてもおかしくないな……。

 いやあいつはやりすぎだけども。


 そんなこんなで、俺達はようやく、酪農の村、ドーイングへと到着したのだった……。


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