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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第四章 幽霊船と盗賊団
41/110

第41話「ツッコミも楽じゃない」

前回のあらすじ……。


担当:アーク・シュナイザー

今日も俺、アークが担当するぜ。

世界うんたらってのは何と陽気な骸骨だった。

ザイルの居場所を聞いたら、教えてやる代わりに疾風の翼を追い返せと頼まれた。

エイリアスもいるみたいだし、またまた面倒な展開だ!

でもやるしかないので、俺とリナはリード達と合流し、疾風の翼に会いにレッツゴーしたのであった。



――――



「……で、もう一度聞くけど、君はしゃべる骸骨に盗賊団を追い払うのを頼まれてここにワープさせられたって?」

「まあ……そういうことになるな」

「へぇー……」

 リードがジト目でこっちを見てくる。


 この野郎! 絶対信じてねー!!

 それもこれもリナが悪いんだ!


 俺が必死で隠そうとしてるのに全部ありのまま話しやがる!

 こんな話信じろって言う方が無理ってのはそりゃ分るよ。


 んで……とりあえず俺達は盗賊団がいるという幽霊船の倉庫に向かっていた。

 なんで場所を知ってつかというと、例によってワルキスの『心の声』が聞こえてきたからだ。

 ったく便利だなオイ……。


 と思っていると、突然4人の体がビクっとした。

「……どうしたんだ?」

 不思議に思い声をかける。


「……今の声、聞こえた?」

 ルネがエルに聞く。


「うん……なんだったんだろー?」

「俺もだァ。今のがもしかして……」

「リナの言っていた、骸骨の声……か?」

 なるほど。

 ワルキスがリード達の心に声を届けたらしい。


(せやせや。信じさせんのはこれが一番やろ)

 ワルキスの心の声が俺にも届く。

 で、お前はなんて言ったんだ?


(もし盗賊追い返してくれたら、あんたらを西でも東でも好きなとこに運んでやるっちゅーたんや)

 マジでか?

 もちろんザイルについても教えてくれるんだよな?


(もちろんや。わーったらとっとと行って来いや~)

「……もう、時間の無駄。来ないんならアタシ1人で行くわよ」

 リナは1人でそそくさと歩きだしていった。


「はぁ、仕方ないね。僕たちも行こうか」

 リードは納得し、リナの後について行った。



――――



「……はァ」

 道中、ジャミルがため息をついた。


「どうしたんだ? 珍しく元気ねーな」

 俺は声をかけた。


「こういう薄気味悪いとこはどうも好きになれねェ。テンション下がるぜ」

「ここでテンション高くても困るけどな」

「アハハハハハ!! そんな事言って~! 幽霊とかの類が恐いんでしょ~!?」

 ルネが後ろからバシバシ背中をたたく。


「だァァ! うるせェェ痛ェ! テメェはなンでそンなにテンションたけーんだよッ!!」

 と鬱陶しがりながらルネを払いのけるジャミル。


「別に~? どっかの誰かさんとは違ってあたしは~、幽霊とか~、心霊とか~、大好きだし!!」

 ルネ……目が、輝いてるぞ……。


「只でさえ騒がしいのがこうなるともう手の着けようがないね」

 そんなルネを見てリードもため息をつく。

 が、なぜか……楽しそうだ。


「そういうリードも、心なしかなんか生き生きしてないか?」

「僕はね……こういう訳のわからない物が好きなんだ」


「はぁ?」

「なんでこうなってるんだろう? どうしてなんだろう。その疑問が解決される時、人はまた一歩新しい技術を身につける。そういうものなんだと思うと……わくわくするんだ!」

 初めて聞いたぞ……。

 案外こいつの事知らなかったんだな俺……。


「……俺には理解できない感情だな」

「アークはどうなの?」

 エルが聞いてきた。


「俺? 俺は嫌いだな。寒いしボロいしじめじめしてるし、魔物まがいの生物は出るし、安心して昼寝もできねーな」

「その基準はどうかとおもうけど……」

 おかしいな。

 ありのままを言ったつもりなのに。


「エルは?」

「私……あっついの苦手なの。だからここの肌寒さがちょうどいいわね!」

 エルが言うと、リナが混ざってきた。


「アタシも同感。寒い地方で生まれたから、ここの気温がちょうどいいわ」

「へぇ。リナはどこで生まれたんだ?」

「寒い地方」

 そのまんまかよ!!


「いや……要するに教えたくないのか?」

「別に。無駄に口動かしたくないだけ。疲れる」


「ひでぇ……」

 じゃあ会話に混ざってくんなよ!

 と言おうとしたけど言ったらマジで混ざってこないと思うので止めた。



――――



 それからしばらく歩き、何回か目ん玉を倒し、ようやく倉庫に着いた。

 倉庫には黄緑色のバンダナを頭や腕に巻きつけたいかつい感じの男達がいた。

 ワルキスの情報どおり、間違いなく疾風の翼だな。


「あ? なんだてめえらは?」

 いかにも下っ端そうな盗賊団の男がガン付けて来た。


「団長に用があるんだが、通してくれよ」

 頼んでみるが簡単に通してくれないだろうなぁ。


「ああ!! こいつら壁二回ブチ壊したに騎士団が来るとかホラ吹きやがった野郎共だ!!」

 ゲッ!!

 そう叫んだのは俺達に料理を出したモヒカン大男!!


「なんだって!?」

「ふん、お宝が無くて苛立ってたところだ! やっちまえぇぇ!!」

 いきなり戦闘モードかよ!!

 その場にいた5人くらいが一気に襲いかかってきた!


「待ちな! 野郎共!!」

 お、女の声?

 それを聞いた盗賊団はピタリと動きが止まった。


「おいガイス。あんたの仕事は血気盛んな下っ端共と一緒にお祭り騒ぎする事じゃねーだろ?」

 ガイスと呼ばれたモヒカン大男は、


「ちっ……冗談だよ姐御。ちょっと襲いかかる振りしてビックリさせようとしただけさ」

 と苦笑いしながら苦し紛れの言い訳をした。


「あっそ。分かったらとっとと金になりそうな物探して来な!!」

「言っとくがなぁ! 俺とお前の立場は対等なんだからな!! 偉そうに言うな!」

 と言いながらもガイスはそそくさと奥の方に行った。


「うちの下っ端共が迷惑かけたね」

 そう言ってこっちに来たのはガイスに姐御と呼ばれてた女。

 セミロングの赤髪で、右腕に折りたたみ式のボウガンを装備していた。

 真ん中に赤い玉があることから、恐らく体外装備兵器(サードレイズ)だろう。


「アンタ誰?」

 リナが率直に聞いた。


「名乗り遅れたね。アタイは疾風の翼副団長のアイリ・ファルトスだ。連中はあんなことを言っていたが、エイリアスの件、感謝しているぞ」

 お?

 なんか話の分かりそうな奴だ。


 これなら案外話は早いかもしれない!


「その事なんだけど、エイリアスがこっちに向かってる」

 俺はさっさとアイリに知らせようとしたら、


「なに?」

「「「!?」」」

 アイリと同時に、リード達も驚いていた。


「……あれ? 言ってなかったっけ?」

 そういえば、まだリード達には言ってなかった!

 痛恨のミス!

 ……ってわけでもないけど。


「ならお前たちはとっととここを離れな。ここにいたら命の保証はしないぜ」

「離れるのはアンタの方よ。余計な戦闘起こさないうちにさっさと消えて」

 ちょ、リナ! もうちょっと言い方ってもんがあるだろ!!

 しかも相手の顔全く見てないし!


「余計だと!? 奴のせいで他の船団も相当な被害を受けてんだ! 必ず……あいつらの仇を……アタイは討つ!」

 アイリは当然と言えば当然のごとくキレてリナにつかみかかった。


「……めんどうねぇ」

 その気迫を見ても全く動じないリナはある意味大物だな……。


「おいおい、気に障ったのは分かるけど、むやみに乱暴するもんじゃねーよ」

 ……この声は……。


「はっ、ハリス団長……ち、悪かったよ」

 アイリはしぶしぶ手を離した。

 向こうから真っ白なスーツに身を包んでやってきたのは、疾風の翼団長、ハリス・ローレンスだった。


「うげっ! お前ら壁ぶっ壊した上に騎士団本隊が来るとかハッタリこいた奴らじゃん!!」

 ハリスは俺達の姿を見るや否やそう言った。


「あっ、あの時は……すみませんでした!」

「バカっ! 何謝ってんだリード! もともとエルさらって原因作ったのはこの真っ白野郎じゃねーか!」

「真っ白野郎って……」

「仮にそうだとしても、お金を払わずに逃げた僕たちにも責任はあるんじゃないか?」

「今それどうでもいいよ!」

 そんな事よりエイリアスがだなあ!!


「あなたはなんでいつも真っ白なんですか?」

「これは俺のポリシーなのさ!」

「エル余計な質問するな! ハリスも答えなくていいから!」

 だからエイリアスが!


「ンだその面ァ。ガン飛ばしてんじゃねェぞゴルァ!」

「よく吠える犬だな……そんなにアタイに調教されたいんならやってやらんこともないぞ?」

「ジャミル! アイリさん! お前ら喧嘩すんな!」

 おいお前ら邪魔ばっかすんな!


「ね~ね~! こっちのは何~?」

「ほう? この宝石に目を付けるとは嬢ちゃんなかなかのセンスだな。これは、エメラモンドといって……」

「ルネェェ!! 盗賊団に混ざって宝漁ってんじゃねぇぇぇ!!!」

 なんだよこの統率の無さ!!


 こんなん1人で突っ込めるか!! 

 この面子最悪だァァァーーー!!!


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