表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第四章 幽霊船と盗賊団
39/110

第39話「矛盾する復讐の心」

前回のあらすじ……。


担当:リナ・ベルナール

アタシ、リナ。

あらすじとかめんどくさいんだけど。

アークとかいうウザ男と一緒に世界最高の知識を持つ者を探しに幽霊船を捜索。

捜索中突然床に穴があいてアタシは落ちた。

さすがオンボロ幽霊船ね。

ありあえないわまったく!

アタシはアークがここに来るまで待ってる羽目になった。



――――



「…………」 

 分かったことがある。

 ここ、一人でいるとそこそこにおっかないな。

 なんていうか……下手なお化け屋敷より雰囲気あるような……いやここ本物だけどね。


「おっ」

 階段発見!

 これで下に降りれそうだ。

 これならあの部屋に着くまで時間はかからなさそうだな。


「……!?」

 急に背中にゾクリとした悪寒が走った!

 俺はとっさに振り返る。


「なぁっ!?」

 そこにいたのは、さっきの目ん玉に鱗で覆われた足が生えた奴だった。

 でかさは俺と同じくらいだが、何より『強敵です』と象徴する禍々しいオーラが全身を纏っていたのだ。


「これは……逃げるっ!」

 俺は敵わないと判断し速攻逃走を図った。

 だが……。


「のわぁっ!?」

 落雷のような強烈な音とともに極太の電撃……いや雷が目玉から放たれた。

 それは俺の横をかすめ壁に当たり、壁を何層にも渡って簡単に破壊してしまった。


 この雷……かなり遠くにも届くみたいだな……。

 迂闊に背を向けると狙い撃ちされかねない。


「……はぁ、仕方ねぇ」

 俺は腰からダガーを抜いた。

 こうなったら死ぬ気でやるしかねぇ!


「行くぞコノヤロー!!」

 俺は目ん玉に向かって駆けだした。


 目ん玉が煌く。

 来るっ!!


 俺は凄まじい勢いで放たれた電撃を床を蹴ってかわし、着地後、反動を利用して一気に化け物を斬った!


「そらっ!」

 すばやく4撃!

 緑色の体液が飛び散るところを見るとこれは生物なのか?

 微妙なところだ。


 とにかく、このままたたみ掛け――


「ぐぁっ!!」

 俺はカウンターをかけられ、腹を思いっきり蹴られた。

 やべぇ……息ができねぇぞ……。


 くの字にかがんで腹を抑える俺に向かって、化け物は回し蹴りを繰り出す!

 避け切れない!


「いってぇッ!」

 顔面に強烈な痛みを感じる。

 俺はそのまま壁に打ち付けられる。

 肺の空気が一気に抜けきり、一瞬意識が消えかける。


「はぁっ……はぁっ……」

 俺はかろうじて顔を上げて化け物を見据える。


 やべぇ、電撃発射する気だ!!

 狙いを俺に定めている。

 避け切れねぇ!


 こうなったら例の……魔素斬り、とでも命名しようか、とにかくアレやるぞ!

 瞬間、電気のショート音が何十にも重なったような音が鳴り響く!

 電撃が放たれた!


 迫り来る電撃が見える――訳あるかぁぁぁぁ!!


 俺はヤケクソで、もうなんか適当にダガーを振った。

 あんなもん見切れるか!!

 だが、確かな手応えを感じ、目を開けると電撃は既にダガーに蓄積されていた。


「……成功? よっしゃぁぁいけるぜ!! おりゃぁぁ!!」

 俺は初めて狙って成功し、謎のハイテンションとともに立ち上がり、右ダガーを縦に振り下ろす!


 雷の魔素を纏ったダガーは、足つきに強烈な電撃を浴びせた!

 ……が、思ったより効いてねぇぇ!?


「やっべぇ!」

 反撃を予測して、距離をとる。


「おわッ!!」

 だが化け物も距離を詰め、俺に回し蹴り!

 俺はなんとか攻撃を見切り、しゃがんでかわすがその拍子に足元をとられ転んだいてぇ!


 そうか……雷属性の魔物に電気は効かないよな……。

 ドラゴンウルフのときは急所を知っていたが、こんな謎のヤツのは知らねぇ。


 万事休すかコレ!?



「氷の刃よ、敵を貫け――アイスニードル!!」



 ――え?

 別方向から氷の刃が次々飛んできて化け物に突き刺さる。


 この……女の声って……。

 女はレイピアに手をかざすとレイピアが氷に覆われてゆく。


「醜い化け物め。消え去るが良い」

 女はそのレイピアを目玉に突き刺した!

 すると化け物は凍りつき、バラバラに砕け散った。


「少年。怪我はないか」

 あるよ!!

 じゃなくて、そう言って目の前に手を差し伸べる女は……。


「お前……確かエイリアスだよな?」

 綺麗な長い銀髪に、彫刻のようなレイピアを持った、長身の女。


 そう、疾風の翼の船の中で戦った、氷の術師、エイリアスだ!

 間違いない!


 俺はなんとなく差し出す手を無視して自分の力で起き上がる。

 ぐ……さっき蹴られた腹がいてぇ……ダメージは深刻だった。


「そうだ。貴様は以前盗賊団の空駆船で会ったことがあるな。そういえばまだ名を聞いていなかった」

 忘れてるわけじゃ……なさそうだな。


「アーク・シュナイザーだ」

「シュナイザーか……覚えておこう」

 今エイリアスからは殺気は全く感じられない。

 どういうことだ……?


「んで、お前が俺を助けるなんてどういう風の吹き回しだよ。ていうか、お前疾風の翼に捕まってたんじゃないのか?」

 俺はいつの間にか垂れていた口元の血をぬぐいながら言う。

 多分口の中切ったなこれ。

 すげー血の味がする、うえっ。


「予想はつくだろう。脱走してきた」

「まあ釈放って訳じゃないだろうからなぁ……」

 ……また、何人か殺したのだろうか。


 聞く勇気は無かった。

 下手に刺激して暴走してもアレだし、っていうか俺死ぬし、この件はこれまでにしておこう。


「そうか……とりあえず、ありがとな」

 助けてくれたみたいだし、礼くらいは言っておいていいだろう。


「礼は、いい……」

 そう言って横を向くエイリアス。

 どことなく、悲しげな表情なのは気のせいなのか?

 せっかくだから、なんか話してみようか。


「……なあ、お前なんであんなに盗賊団に固執するんだ?」

 話題を変える為でもあるが、これは気になる。


「貴様に話す理由など無い」

 ありゃりゃ、一刀両断されちまった。

 でもここで食い下がってしまったらつまらない。


「あんだけ殺意の塊みたいな顔になってさ……、なんか、辛い事あったんじゃねーの?」

 殺意の塊ねぇ……俺も人のことは言えないけどな。

 ザイルの事に関しては……。


「貴様に話す理由など無い、と言ったハズだが?」

 ギロリ、と睨まれる。

 恐ぇよ。


「怒るなよ。別に素性を探ろうって訳じゃない。たださ……何かに復讐しようって気持ちなら……俺も分かる」

 その言葉にエイリアスは反応した。


「……私は復讐などと一言も言っていないはずだが?」

「分かるんだよ。俺にも、復讐したい相手がいるからな……」

 会ったときから、盗賊団の話をしてる時はなんかスゲー憎悪の目だったのはなんとなくだが分かっていた。


 だが、あれからザイルの事が発覚し、そのときにエイリアスの強い憎しみが少し分かったような気がし

たのだ。


「貴様は、鋭いな。……ああその通りだ。10年程前、紅蓮の覇王に私の村を全て焼き払われた」

 紅蓮の覇王……帝国内最大の盗賊団か……。


「だが、それを貴様に教えてどうなる? 私を止めるか? 同情でもしたのか?」

 エイリアスは問いかけてきた。


「止めはしない(死にたくないから)。だけど、無関係な人にまで手を出すなよ。紅蓮の覇王に恨みがあるなら、紅蓮の覇王だけに絞れよ。何も疾風の翼にまで攻撃しなくたって……」

 ああもう、俺は何を言ってるんだ?

 今更エイリアスに言って聞く訳ないだろ!


「ふ……そうだな……その方がいい。だが……私はもう、“私”を抑えることは出来ないのだ……」

 俺に背を向けて言った。

 その声は、どこか悲しげだった。


「お前……本当は復讐なんて望んでないんじゃ……」

「ふ……私はあの日からこの為だけに生きてきた。あの日、助けてあげられなかった仲間の為にも、やるしかないのだ……」

 そう一言言うと、エイリアスは立ち去っていった。


 追わなかった。

 追えなかった。


 あんなの、なんて返して良いか分かるかよ。


 第一、俺自身今復讐の為にザイルを追ってるから人のことは言えないし、でも疾風の翼船内で何人も殺したエイリアスの事は許せない。


 だからと言って俺にエイリアスを止めることも止める権利も無いし、でも面識が出来ちまった疾風の翼のハリス達が殺されるのはやっぱ許せない。


 あぁぁぁぁぁもう知るか!

 どうせ俺に出来る事なんて無いし、とりあえずリナと合流するのが先だ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ