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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第四章 幽霊船と盗賊団
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37/110

第37話「似た者同士」

前回のあらすじ……


担当:リード・フェンネス。

今回の担当は僕か……。

僕達の乗る空駆船が墜落したのはなんと半透明の船だった。

これが……俗い言う幽霊船という物なんだろうか。

実際に見たのは初めてだ。

どういう仕組みなのか非常に気になったが、僕達が足を踏み入れた瞬間に実体を持つようになった。

……謎だ。

そんな感じで船内を散策していると、人間の上半身程度の大きさの目玉の魔物(?)

が壁を貫通して現れた。

気持ち悪いと思いつつ僕らは苦戦することなく撃破する。

だが、その先からさらに倍以上の目玉が……。

さすがにキツいかな、そう思っていたら、不意に女性の声がして魔物に隙を与えた。

今しかない!

僕らは一斉攻撃で目玉軍団を撃破する。

でも……彼女は一体何者なんだ?



――――



 その女は、見たところ俺と同じか少し下くらい。

 だいたい14~15歳と予測。

 髪は金髪でショート。


 赤いコートの下に黒の服を着て、ミニスカートとニーソックスを履いていた。

 武器は背中に槍がある。


 でもさっきの攻撃……あれは魔法だよな?

 服装と年齢からして一般人にしか見えないが、なんで『魔法詠唱兵器(ファストレイズ)』なんか持ってるんだ?

 もしかしてなんかのギルドの団員かな?


「なにジロジロ見て。変態?」

 俺はジト目で睨まれた。


「ちょ、ひでぇ! いきなり変態扱いかよ!?」

「そんな事より、助けてくれてありがとうございます。危ないところでした」

 文句言う俺を押しのけて無理やりお礼を言うリード。

 確実に年下だが敬語、さすがはリード。


「そ。じゃどいて。邪魔なんだけど」

 大して金髪少女の方は興味ゼロの対応。

 ひどくね?


「ンだとテメェ!! それが年上に対する態度かゴルァ!!」

 お前はお前で年上に対する態度なってねーだろ……と思うが我慢。

 というかジャミルが敬語使ってるとこ見たことねー。


「なに? それが助けてくれた人に対する態度? 悪い見本ね」

 おい煽るな煽るな。

 このままだと収拾つかなそうなのでそろそろ終わりにしないと。


「まぁまぁ睨むな睨むなって! ほら~、行くぞジャミル~!」

「お礼も出来ないなんてダメだよジャミルさん!」

 言いつつエルと2人がかりでジャミルを引っ張る。


「待って!!」

 金髪少女が突然叫んだ。

 全員振り返る。


「アンタ……その腕輪……」

 俺を見て……いや睨みつけて言う。


「おい恐いんだけど……コレがどうかしたのか?」

 俺は右腕を上げてよく見せる。

 傍から見たら普通の腕輪にしか見えない……はずだが、


「ッ! やっぱり……アンタ、アイツの仲間かッ!!」

 詠唱の準備してる!

 え? 何? どういうこと!?


「は!? アイツって誰!? ていうかなんでこの腕輪の事――」

「うっさい! 燃え盛る炎よ! 敵を蹴散らせ――」

 赤い魔方陣を構築し、詠唱し始めた!

 俺達がいるところに炎が凝縮してる!


「まずい逃げろ!!」

 俺は言ったがとっさの事に対応できてねぇ!


「――フレアスプラッシュ!!」

 俺達を巻き込んで炎が大爆発を起こした。

 俺は思い切りバックステップっていうかもう捨て身のハイジャンプで炎の直撃をかわす。

 背中があちぃ!!


「おい! いきなり何しやがるッ!!」

 なんとか背中だけで済んだようだ。


「エル……回復、お願い……」

 ルネが倒れた!?


「ごめん、私も……喰らっちゃった……」

 エルも倒れた!


「不意打ちは……卑怯だろォ」

「ごめんアーク……少し、休む」

 ジャミルとリードも……って全滅かよ!!

 無事なの俺だけかい!!


「ブラストレイズを持ってるってことは、アンタお父さんを殺したんでしょ!!」

 赤い魔法陣を展開しながら叫んでる。

 やばい、また攻撃する気だ!


「ちょっと待て! 人違いだ!! 俺じゃない!!」

 なんか大変な勘違いされてる!!

 冤罪もいいとこだよ!


「うっさいッ!! じゃあ『賢者』でもないアンタがなんでブラストレイズ持ってんのよッ!」

「色々事情があんだよッ!! まずは話を聞けッ!!」

「隙作ろうたってそうは行くかッ!! 死ねッ! フレイムブラスト!!」

 高速で飛んでくる火球が俺を襲う!

 右に飛んでその攻撃をかわす!


 話し合いは無理そうだ……。

 あ~あ、女の子相手にあんま戦いたくねーけど、まあこうなりゃ仕方ない。


 でもなぁ、ぶった斬ったらさすがにまずいし、かといってかすり傷程度じゃ諦めてくれなそうだし、ああもうめんどくせぇ!!


 とりあえず死なない程度にやるしかねぇ!


「そっちがその気なら、覚悟しろよッ!」

 俺はヒステリックな女に向かって駆けだした!

 正面から攻める!

 左右ダガーを構え、距離を詰める。


「無駄ッ! 喰らえッ!」

 女は背中の槍を装備し、俺に突きを繰り出す!

 ――遅いッ!

 俺は突きを見切り、槍の柄を蹴ってヒステリ女を飛び越え背後を取る。


「消えた!?」

「後ろだ!」

 すかさず右ダガーを薙ぐ!

 手を狙うが俺も狙いを定めずやったので外す。


 隙を与えず左ダガーで腕を狙う!

 今度は素早く槍でガードされる。


「くッ――手強いッ!」

 ヒステリ女が言う。

 流れ的には俺が押している。

 女はバックステップで距離を置き、


「灼熱の炎よ! 我が手に宿り自在に姿を変えよ! トリッキーファイア!!」

 ヒステリの手に炎が宿り、水平に手を振る。

 するとその手から炎が放たれ同じように炎も水平に襲ってきた!


 かわせるかッ!?


 俺は迫る炎をジャンプで飛び越した!

 熱で足があちぃ!


「空中じゃ動けないわね!! 死ねッ! フレイムブラスト!!」

 まずい!!

 5個の内1個の火球が俺に直撃コースだ!!

 コレは避けられねぇ!


「――ッだらぁぁぁ!!」

 俺は咄嗟の判断でダガーを横に振る!

 当たった!

 火球はその場で消滅し、刀身が赤く光る。


「はぁ!?」

 ヒステリが驚いている。

 秘儀・魔素斬りなんちゃって!

 まあとりあえず今しかない!


「ダイヴスラッシュ!!」

 俺は空中から着地と同時に左ダガーの柄でヒステリの右肩を殴り、

 右ダガーの柄でおでこをブン殴った!

 さすがに本当に斬る訳には行くまい。


 ヒステリはふら~、っと倒れていった。

 勝負あったようだ。

 



――――



「……うぅ……」

「ようやく目が覚めたか」

 俺は気絶していたヒステリに言った。

 あれから意識を回復したエルがなんとか皆を治療し、助かった。


 ほっとくのもかわいそうだったので、このヒステリもエルが治癒した。

 ちなみに刀身が赤かったダガーはしばらくすると元に戻った。


「……アンタら……何? 助けたつもり?」

 敵だと思ってたやつらに助けられ、困惑しているようだ。


「長旅、してきたでしょー?」

 エルがいつもの柔らかい口調で声を掛ける。

 とてもこんがり焼かれた相手とは思えない。


「ッ……なんでそれを……」

「だいぶ疲れが溜まってるみたいだよー。アークのせいで打ち身出来たから、エイドは掛けておいたけど、失った体力までは元に戻らないんだよ?」

 座り込んでいるヒステリにそう言うエルは騎士団というかなんか保健の先生のようだ。


「別に……頼んでないから」

 その優しすぎる笑顔を見てばつが悪そうに目を逸らすヒステリ。

 素直じゃねーなー。


「分かってるよ、お前の誤解を解く為だって。お前な、もう一度言うけど、俺は敵じゃない」

 俺はエルに割り込む形で会話に参加した。

 こいつが何を考えて何を勘違いしたのか解明せねば。


「だって、アンタは『賢者』じゃないのに――」

「うお~っと! その話は……あっちでしよーか?」

 あぶねぇぇ!

 あの話はまだリード達に知られる訳にはいかん!


「アーク? どしたの? まさかの知り合いパターン?」

 ルネが聞いてくる。


「いやいやそういう訳じゃないが……あのな、ちょっと込み入った話してくるから、ここで待ってて。ほら、行くぞ」

 俺は女を起こし、強引に手を引っ張る。


「ちょ、放しなさいよ!!」


――――


 俺は女をずるずる引っ張って別の部屋へ連れてった。

「ど……どうするつもりよ……?」

 なんか怯えてる。

 震えてるぞー、俺そんなに怖いか?

 さっきのお前の方が絶対怖いと思うけどな~。


 だって「隙作ろうったってそうは行くか! 死ねッ!」だよ?

 ありえねぇ、15歳(推測)の女が言う言葉じゃねーよ。

 まあとりあえず話を進めよう。


「別になんもしねーよ。話を聞かれたく無かっただけだ」

 ルネあたり盗み聞きしてそうだけどな~、まあそんときはそんときだろ。

 恐らくヒステリの事情を聞いてもヒステリックになるだけなので俺から打ち明けよう。


 俺の推測だがブラストレイズを持ってる俺を親の仇だと思うなら、親はザイルに殺された可能性が高い……と思うんだ。

 だからこっちから事情を打ち明ければ納得するはず。


「まず俺から説明するぜ。名前はアーク・シュナイザー。8年前『ブラストレイズ』を狙うザイルって男に親父を殺された」

「――ッ!!」

 ヒステリの顔が驚きに満ちる。


「最近、今では廃墟になった元俺ん家でこのブラストレイズ、『ラプター』を拾った」

 腕輪を見せる。


 一見何の変哲も無いのだが、見るなりブラストレイズだと気付かれた。

 なんでだろう。


「なんだ……アタシと一緒か……」

 女はがっかりしたような、安心したような複雑な表情で言った。


「アタシも似たようなもの。10日くらい前、お父さんが殺された。分かってるのは殺した人がブラストレイズを持ってるって事だけ。あと、お父さんがブラストレイズを護る『賢者』だったってことだけ」

 やはりそうか……。


「そうか……似た者同士って訳だな……で、ヒステ――いやお前も遭難?」

 危ねぇ素で言うところだった。


「ヒステ? いや、そこだけは一緒にしないで。この船に世界最高の情報屋がいるって噂を聞いて、探しに来たのよ」

 ヒステリは壊れかけたボロいイスに腰をかけた。


「世界最高の情報屋? こんな所にか?」

 俺は思わず聞き返す。

 わざわざこんな不気味で人気のない場所にいるかよ……、きっと相当な変わり者に違いないぜ。


「そ。アタシの町で耳にしててね。未だ半信半疑だけど」

「で、そいつにザイルのことを聞こうと思ってた訳だ」

 根も葉もない噂って可能性もあるけどな。

 世界最高のっていかにも胡散臭いし。


「そ。ついでに居場所と目的もね」

「……目的なら、知ってるけど?」

 ついこの前本人から聞いたからな。


「ホント?」

 女は目を丸くして聞き返す。


「本当だ。あと話の腰を割るようで悪いが、お前、名前は?」

 そう言えば名前聞いてなかったなぁと思う。


「リナよ。リナ・ベルナール。それで、目的って、なんなの?」

 それから、互いの知ってる事を整理し、情報交換した。


 俺が分かったのは、7人の賢者のうち、現在3人が殺されたと言う事。


 1人目は俺の親父、ライン・シュナイザー。

 それからなぜか8年の間が空き

 2人目、リナの親父、ダアト・ベルナール。

 3人目は無人島に死んでいた老人、アスロック・タリスマン。


 後は直接ザイル本人から聞きだした事もあって、今回特に目新しい情報は無かった。


「……なるほどね。で、なんでみんなに話して無いの? どうでもいいけどね」

 そうでもいいなら聞くなよ!


「バカか。こんな話聞かされたら心配するだろ。それに面倒な事に巻き込みたくないし」

 常識で考えたら分かるだろう。


「そ。仲間……なのね」

 そう言ったリナは、一瞬だがなんだかとても寂しそうだった。


「……なに見てるの? 変態?」

 なんて思ってたらキツい一言。


「んがぁっ! またそれかよ!!」

 容赦ねぇなコイツ。


「じゃ、アタシ行くから」

 リナはイスから立ち上がった。


「待てよ。1人で行くのか?」

「そ。何か問題?」

 リナは立ち止まって首だけ向いた状態で聞き返す。


「あんだろ。1人じゃ危ないって。変な魔物みたいのもいるし」

「アンタに心配される義理ないわ」


「義理どうのの問題じゃないだろ。それに俺もその最高の情報屋ってヤツに会いたいし」

「……あっそ。でもお仲間どうすんの? 一緒についてきたら話出来ないわよ?」

 う……確かにそれは問題だな……。



――――



「ええぇぇ~! あたしたちだけ船の戻れってどういう事~!?」

 ルネのこのリアクションから察するに、盗み聞きはされて無かったようだ。


 そんなこんなで、リナと“世界最高の情報屋”に話を聞きにいく事になった。

 リード達にブラストレイズの話を明かす訳には行かないので、残念ながら一時分かれることになる。

 もちろんその前にコイツは敵でないことを納得させるのに一苦労したが。


「いやスマンっ! マジで済まんッ! どうしてもこればっかりは譲れないんだ!」

「オイオイあのリナって奴と駆け落ちでもする気かァ?」

 ジャミルが面白そうに言う。


「は? キモ。その発想がキモ」

 リナがまるでゴミでも見るかのような目をする。

 こいつやっぱ恐ぇな。


「ンだとこのガキャァァ!! 冗談に決まってんだろォォ!!」

 ジャミルがむぎゃーっと暴れだすのをエルが必死に取り押さえる。


「はいはい落ちついて。さ、僕達は船に戻るよ」

 リードがみんなをまとめる。

 さすが! ……だけどやけに理解が早い気がするぞ?

 リードは俺とすれ違う時に小声で、


「無茶、するなよ?」

 と言ってきた。

 ……ま、なんか隠してるのはバレバレか。

 そのままみんなは船に戻っていく。


「……あの」

「ん?」

 俺はリナに振り向く。


「……みんなに言えなかったけど……さっきは…………、ごめん」

 下を向いて、微かだが確かに言った。

 よっぽど謝るのが苦手らしいな。


「気にしてねーよ。それより、その世界最高うんたらって奴に会いに行くぞ」

「ん。そうね」

 こうして、俺とリナは2人で幽霊船内部の捜索に向かった。


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