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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第三章 無人島サバイバル
30/110

第30話「切り札は温存しておくべき」

前回のあらすじ……


担当:アーク・シュナイザー。

謎のイカレ金髪との戦闘の最中。

狙われたルネを庇って拘束魔方陣の中に入るが俺が死ぬ!

と思ったのだがなぜか「裁きの雷」は寸前で分解した。

多分……このダガーのせいだと思うが詳細は不明だ。

そんな感じでイカレ金髪を追い詰めつつ腕輪について聞くと教えてくれた。

そこで色々分かったがある1つの事実の発覚で頭に血が上る。

――目の前の金髪、ザイル・サファールは俺の親父の仇。

許せねぇ……絶対許せねぇッ!!



――――



「ぎゃはははははッ! オマエに何ができる!? オレにミンチにされるより、無様に逃げ延びたほうが身のためだぜぇぇ!?」

 ザイルと名乗る金髪は、勢いよく地面を蹴って一気に俺に迫った!

 一瞬で距離を詰め、右クローで突き刺すように腹を狙われる! 


 させるかよッ!


「うるせぇッ! むざむざやられるかよッ!!」

 俺は左ダガーで攻撃を弾き返し、すかさず後ろに回り込み、右ダガーで背中に一撃!


 ――かわされた!?

 あいつは右だ!

 振り向く前に2本の腕のクローが俺を串刺しにしようと向かう!


 避けきれない!

 左ダガーで咄嗟に攻撃を受け流しつつ、右に体をずらす!


「うぅッ!」

 クローが左肩を抉り、激痛が電撃のように体中を走る。

 だが動きは止められない!


 受け流したクローは失速している。

 その隙に腕を狙いダガーを突く!

 ザイルの左腕をダガーが斬る。


「ッちィ!」

 ザイルの鮮血が舞う。

 瞬間、強烈な蹴りが俺の鳩尾に深く食い込む。


「ッ……!!」

 腹の空気が全て抜け、声も出せないまま地面の上を数回転がる。


 ――追い打ちが来る!

 うつ伏せに倒れた体を起こし、前を見る。

 そこにはいなかった。


「――輝きを放つ電光よ! 天空から無数に降り注ぎ、一面に回避不能の雷をぶちまけろォ! シャイニングボルトォォッ!」

 詠唱!?

 くっそォさっき魔力尽きたんじゃなかったのかッ!?


 頭上を見上げる。

 空に構築されたのは金色の巨大な魔方陣。

 そこから、無数の雷が降り注ぐ!


 一個一個見切ってかわすのは無理だッ!!

 俺はとにかく、痛む腹と左肩も気にせず走った。


 隣の岩に雷が直撃。

 岩は一瞬にして砕け、左腕に顔面ほどの破片が当たる。

 その勢いで、俺は大きく前のめりにバランスを崩す。


 前方の木に雷が直撃。

 樹の幹は一瞬ではじけ飛び、目視不可能な速度で俺の体を引き裂いた。

 血が噴き出る。


 大丈夫、1つ1つは掠り傷だ!

 体制を崩しそうになりながら、手足をフル活用し走る。


 足元に電撃がぶつかる。

 地面が爆砕し、俺は足元に大きな衝撃を加えられた。

 視界が回る。


 気が付くと俺は一回転した後、背中を強く打ち付けらていた。

 肺の空気が一気に抜ける。

 呼吸が上手く行えない。


「ッ……はぁ……はッ……、く……そぉ……」

 砲撃みてーな電撃の雨は、止んでいた。

 だが俺は、今の魔法で既に全身ズタズタになっていた。


「どーしたどーしたぁ? こんぐれーでへばってんじゃねぇぞォ?」

 くっそぉ……なんだよアレ反則だろ……。


 たった一回の魔法でこのザマかよ……ふっざけやがってッ!

 俺は全身に力を注ぎ込み、よろよろと情けない動きで立ち上がる。


「舐めてんじゃねぇ……、誰がこんな程度でへばるかよッ!!」

 虚勢だった。

 でも、絶対にここで負けてはいけない、そう思えた。


 ようは魔法さえ発動させなけりゃなんとかなる!

 隙さえ与えなければ!!


 そう考えたとき。

「ッ……!」

 ゆらり、とザイルの体が一瞬よろめいたのを、俺は見逃さなかった。


「うおおおおぉぉぉぉぉッ!!」

 俺は地面をぶち抜く勢いで蹴る!

 一気にザイルの目の前へ飛び込み、右ダガーを大きく薙ぐ!


「ッちィ!」

 ザイルは明らかに反応が遅れ、ぎこちない動きで間一髪俺の攻撃を防ぐ。

 だが俺の狙いはこの攻撃じゃない。

 左ダガーとクローの接点を軸に宙返りでザイルの背後に回る。


「クロスエッジッ!!」

「がああァァ!!」

 無防備な背中を十字に斬りつける!

 ザイルはすかさず振り向きざまにクローの一撃を入れる。

 それをしゃがんでかわし、頭上にあるクロー2つを思い切り弾く!


「くっそォッ!」

 無防備なザイル。

 だが俺が攻撃に移る前に、ザイルの足が俺を狙う。


「読めてんだよッ!」

 俺はすぐに右に体を流し、突き出た足を切り上げる!


「ぐああァァァァッ!」


 ――いける。


 俺はなぜだか確信していた。

 ザイルの動きが、読める。


 自分の体が、動く!

 それに呼応するかのように、右手首の腕輪が熱を持っていた。

 焼けるように熱い。


 だがそれは、俺の闘志をさらに激しく燃やす炎のように感じた。

 それが俺に、勝てる確信をもたらしていた。


「おおおおォォォォォ!!! クロスエッジッ!!」


 ――決まった。


 俺の一撃は、正面からザイルを捉え、十字に切り裂いた。

 ザイルは吹っ飛んだ後、うつ伏せに倒れた。


「はぁ……はぁ……勝った……の、か?」

 腕輪から熱が引いてゆく。

 緊張を解いた途端、足の力が抜け、俺もその場にヘタリと腰を降ろすしかなかった。

 近くに残っていた木の残骸を背もたれにする。


「ク……ククク……、手に入れたばかりだってのに、その同調率、羨ましい限りだぜェ……」

 意識はあったようだ。

 ただ、抵抗する力は無いようだし、抵抗されたら今度こそおしまいだ。


「おい……一番重要なこと聞いてなかったんだけど……この腕輪って、なんなんだよ……」

 どうせ逃げることもできないので、俺は情報を引き出すことにした。

 俺の周囲に、このダガーについて何か知ってる人いなそうだしな……。


「そいつはなぁ、さっきも言った通り『リーヴァスレイズ』のカケラ、『ブラストレイズ』さ。だが、カケラつってもバカみてぇに強ぇな力を秘めている。そいつの名前は『ラプター』。身体能力を限界まで引き上げる古代兵器ってトコだぜ」

 身体能力を限界まで引き上げる、か……。

 どうりで、一度にいろんなとこで異変があったわけか。

 体力が多くなったのもそのうちの1つってことだな。


「クク……なぁ、いいこと教えてやるよォ。俺は今、3つの『ブラストレイズ』を持っている。この意味が、なんだか分かるかぁ? クックック」

 この意味……?


 (世界に残った7人の有権者『賢者』。奴らは恐ろしい兵器『リヴァースレイズ』を7つに分解し、7人の家系でそれぞれのパーツを守った)


 ……まさか。


「お前……『賢者』からブラストレイズを奪ったのか……?」

「”奪った”? 違うねェ! 俺がぶっ殺して、ブラストレイズを強奪したのさァァ!!」

 ――なっ!?


 ザイルはムクリと立ち上がった。

 嘘、だろ?


「止められるモンなら止めてみやがれぇ! オレは、究極の兵器『リーヴースレイズ』を手にするまで止まらねぇ!! 世界を再び灰と塵の世界に変えるまではなァァ!! ぎゃははははははは!!」

 

 ザイルは両手を広げ、馬鹿みたいに笑っている。

 コイツ……本気でイカレてやがる。


 っていうかやべぇ!

 こっちはもうマジで動けないぞ!!


「ハッハッハッハッハ!! 死ねェェェェェ!!!」

 言った瞬間、ザイルの両手から無数の青白い光線が発射された!


 光線は地面を抉り、周囲の木々を貫き、空気を引き裂いた。

 そのうちの何本かも俺に当たり、もう何がなんだか分からないうちに俺は血まみれになっていた。 


「が………ぁ………ッ!!」 

 そのままうつ伏せに倒れる。


 ていうかやっべぇ……声も出ねェ。

 視界が暗転している。

 まぶたを開いてるのか閉じてるのかも分からない。

 

 …………あれ?


 俺……死ぬのか?

 もはや痛いとか言うレベルじゃねーし。


 ていうか、痛みすら感じていないんだが……。

 クソ野郎……こんな隠し玉持ってるなんて聞いてねーぜ全く。


 っていうか初めから使えよ!

 いや使われても困るけど。


 っていうか死の淵に俺は何を考えてんだよ!!

 もっと走馬灯とか……気の利いたものはねぇのか!?


 っていうかなんで自分に対して文句言ってんだ俺は!


 …………これが……死ぬって事だったりするのか?

 俺は妙に冷静に回転する頭で考えていた。

 ザイルに対し沸騰していた時とはなぜか凄い違いだ……。


「ファイアバレット!!」

 ……ん?

 この声は……。

 俺は薄れゆく意識の中微かな音に反応して、右目をうっすらと開く。


「聖なる力よ! ホーリーブラスト!!」

「ショックブレード!」

 ジャミルが炎の弾丸を放ち、エルが光弾を撃ち、リードが剣先から衝撃波を飛ばす!

 そしてそれらをルネが飛んで持ってきた!

 その攻撃にザイルが怯んでなんか言う。


 やべ、もう何て言ってるか認識できねぇ。

 その隙にルネがなんか言いながら風を纏ったキックをする。


 体制を整えながら後退するザイル。

 さっきの切り札魔法が体に響いたのか、既に満身創痍って感じだな。


 そしてなんか言ってバックステップを繰り返しそのまま森の奥へ逃げて行った。

 エルがなんか言いながら駆け寄ってきて、治癒魔法をかける。


 だが治癒魔法ってのは確か治癒速度を高めるものであって、元がボロボロ過ぎると効き目は薄いって前エルが言ってた。


 つまり、あんまり効果は無かったようだが、それが気持ちよくて逆に俺の意識はどんどん遠ざかって行った…………。


 その瞬間、まるで何かに体を引っ張られるような感覚を強く覚え……その辺で俺の意識は途切れた。


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