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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第三章 無人島サバイバル
24/110

第24話「グロ魚の味は……?」


前回のあらすじ……。


担当:アーク・シュナイザー。

なんとかドラゴンもどき……もといドラゴンウルフを撃破した俺達。

だがその後が大変で、煙と炎に巻かれながら必要以上にパニクった。

そりゃエルは気絶するし、煙は凄いしで混乱するわ。

んでもって炎を脱出したら、案外大したことない火事だった。

にしても……あのドラゴンウルフはなんだったんだろう……。

それに俺のダガーや腕輪、そして核心へと変わる謎の違和感もあって、俺の気持ちはなんだか落ち着かないのであった。



――――



「おーいリード! こっちだこっち!」

 リード達が近くまで来たみたいなので、手を振って知らせる。


「手を振らなくても分かるよ。ここだけ凄い事になってるかららね……」

 俺達の周囲は岩場となっていて、その先では小規模な火災の跡が広がっていた。

 小規模と言ったが、さすがに木々が焼けてるので一目でわかる。

 というか、煙まだ少し上がってるしこれほど分りやすい合流地点もねぇな。


「こりゃスゲェ。よくテメェら生き残れたなァ」

 ジャミルが呆れ半分で口にした。


「それよりそれより~、噂のドラゴンウルフはどこにいるのかな~?」

 ルネは興味津々といった顔で俺を覗き込んできた。

 近いよ顔がっ!!


「~っ、普通に言えないのか普通にっ……ちなみにドラゴンウルフはあっちだよ」

 ったく……この程度で動揺するとはまだまだだな。

 いや何がかは知らんが。

 と変な事を考えつつ獲物の場所を教えて歩き出す。


「にしても焦げ臭いね……お、もしかしてあれかい?」

 そこには横たわる魔物の姿が!


「ああ、あれだな。見ろホントにドラゴンウルフだろ?」

 肝心の肉は、なんと火災によりこんがり焼けていた。

 コレ食えるのか……?


「しかし……本当にドラゴンウルフがいるなんて……なんでだい? 無人島マスター」

 リードは俺に聞いてきた。


「俺に聞くなよ! 俺だって知るか!」

 と俺はヤケクソになって返すが、


「……ただリード、この魔物、様子がおかしかったの」

 エルは真剣な表情でリードに言った。


「…………どういう事だい?」

 一瞬考える素振りを見せてエルに聞く。


「眼が真っ赤に充血してて、歯茎も血が滲んでた。瞳孔は開きっぱなしで気性は荒いし、弱点を何回もついても全く怯まなかったの。これってまさか……」

 エルはあの状況で俺が気付いたこと以外にもしっかり観察していたようだ。

 強ぇ……なんだかんだ言っても騎士のタマゴだな。


「……ああ。騎士団に報告されていた凶暴化症状にそっくりだ。道理でこんな現れないはずの場所にいたのか……」

 リードが難しそうな顔をしながら言った。


「凶暴化? なんだそりゃ」

 俺はとりあえず聞いてみる。


「最近、魔物の異常行動や凶暴化が多く見られてるらしいんだよ。今思えば、ジャミルが前に言っていたアーバントの件も、凶暴化の可能性が高い」

 あ~、そういやんなこと言ってたっけ。

 確か討伐ギルド『蒼き刃』が返り討ちにあったっていうアレか。


「物騒な世の中よね~、まっ、倒せたんだからいいじゃない!」

 ルネは相当腹が減っているのか、なんかすげぇ食いたそうにしてる。


「はぁ……頭の単純な奴はいいよな……なぁリード」

「いや、僕的には君も同じ部類だけど……」

 何気にひでぇ!


「それより、そっちの収穫はどうだったんだよ?」

 深海がどーのとか言ってた気がするが。


「おう! 大漁大漁だァ!!」

「アーク見たらきっとびっくりするよ!」

 ジャミルとルネは胸を張って自慢げに語る。


「いやまあ、ある意味驚くね、あれは……」

「ん? リード、どうした?」

 リードがなんか目を合わせない。

 なんか残念そうなオーラが見えるんだが……?


「いやぁ、なんでもない。それより、このドラゴンウルフはどうするんだい?」

 リードがドラゴンウルフ(焼死体)を見ながら言う。


「もっちろん! 食うでしょ!!」

「料理は任せてねー!」

 女性陣は食う気マンマンだぁぁぁ!!


「……どうします? リードさん」

 俺は小声でうかがう。


「まぁ……食えない事はないんじゃない……かな?」

 おい、笑顔がひきつってるぞ。


「とりあえず、ありゃァ焼き直した方がいいよなァ……」

 うん……俺もそう思うよ……。

 って感じで、食う感じで決まったのだった……。



――――



 俺達はドラゴウンウルフ(半焼け)を最初の場所に運んだ。

 重てぇなクソヤロー。


「よーし! じゃあとっとと昼飯の準備しよ~! あ~おなか減った!!」

 ルネ……なぜお前はそんなにテンションが高いんだ……。

 

 それから、ドラゴンウルフの肉を俺のダガーで適当な大きさに切って、ジャミルが探してきた木の棒に突き刺し、エルとリードが持ってきたマキで火をを起こす。

 

 その途中、ジャミル達の成果を目にしたのだが。

「見て見てアーク! いっぱいこんなに釣ってきたよ~! よいしょっと!」

 ルネが網を持ってきた。

 その中には大漁の魚があったのだが……


「お? いっぱいじゃん。どれどれ~? って、なぁんじゃこりゃああぁぁぁぁぁーーー!!」

「わぁー、お魚がいっぱいだねー!!」

 網の中はなんか無駄にカラフルで目ん玉の飛び出た魚がいた!


「おいエルぅぅっ! お前はこれ見てなんとも思わねーのかっ!!」

 俺はカラフル目玉魚を指差し、現状の悲惨さに賛同を得ようかと思ったが、


「カラフルだよねぇー」

「じゃなくてっ! お前の感性はどうなってんだよ! どんだけグロテスクな物大好きなんだよ!! お前は秘境の民族出身かっ!」

 エル的にはOKらしい。

 ロクな奴いねぇのな!!


「む~っ、アークひどい」

「酷いのはお前の頭だ! ……おいリード、お前が付いていながらなんでこういう事件が起きた! なんで1日何回も謎のグロテスク生物に遭遇しなきゃなんねーんだよ!」

「大丈夫、あの~、これ~……食えるらしいよ?」

 目が泳いでる。


 ってか思いっきり目を逸らされてるんだけど!

 冷や汗かいてるんだけど!

 なにこれ、そんなにヤバいブツなのか?


「嘘ついてんじゃねぇよ! 分かりやす過ぎだろうがお前! どんだけウソ下手くそなんだよ! っていうか嘘なのか!?」

「というわけでアーク! 食べてみて!」

 ルネがグロテスクな魚の端っこを掴んで俺に渡してくる。


「今の会話でどうしてそうなったぁぁぁ! っていうか何そのヌルヌル! きめぇ!」

「良いからいいから! 毒見よろしくねっ!」

 とっても綺麗な笑顔で告げてくれました。

 思わずグロ魚を手に取る俺。


「いやいやいやいや待てよ!! なんで! コレ俺が食う事決定なのか!?」

「決定……だね」 

 とリード、

「決定~!!」

 ルネ、

「頑張ってねー、アーク!」

 エル、

「大丈夫だァ! グロテスクな物程旨いってルネが言ってたぜェ!」

 ジャミルが俺に食えととれる発言をしてくる。


「……マジか……」

 なんか、理不尽じゃね?

 扱い酷くね?

 そして期待のまなざしが俺に集中する。


「いやあのちょっと待って。生で食え、と?」

「魚の一番旨い食い方……それは、刺身だ!」

「よし焼こう」

「オイッ!」

 俺はジャミルの自信十割で構成された発言を完璧に無視し、棒にグロ魚を突き刺し、火であぶる。


「……………………」

 ジュワァァ! と言って表面のヌルヌルが溶けて行く。

 目玉がどんどん白くなっていって皮膚が焼けただれ……・なんかいちいち説明するのも余計にグロいから以下省略。


「……焼け、たな……・」

 俺は串に刺さったグロ魚を見る。

 その俺をじー、っと注目する4人。


「あの……すげー食いずらいんだが」

「感想を聞くまでは見続けるよ!」

 とルネ。

 どうやらやめる気は無いらしい。


 はぁ……俺も男だ。

 お前らがそうなら覚悟を決めようじゃねーか。

 アーク・シュナイザー、行きます!!

 

 ――ガブッ!!


「「「「おお!!」」」」


 ――むしゃむしゃむしゃ……ごっくん。


「「「「…………」」」」


「う……」


「「「「う?」」」」



「うめえええぇぇぇぇぇぇーーーーー!!!」




 絶品でした!!




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