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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第三章 無人島サバイバル
22/110

第22話「紅眼のドラゴンウルフ」

前回のあらすじ……


担当:アーク・シュナイザー

無人島での生活を始めた俺達。

2班に分かれ食料を調達しに行く。

俺はエルと山へ行ったが、途中から人選を後悔した。

するとそこに1匹の魔物が!

おや? 今日は豪華な飯が期待できる……かも?


このころ、既に事件が発生していた事を、俺達はまだ知らなかった……。



――――



〈グルギャオオオォォォォォ!!!〉

 目の前には思いっきり威嚇してくるドラゴンウルフ。

 ふっふっふ俺達の夕食のメインディッシュとなるがいい!!


「エル! やるぞ!」

 俺はエルに合図を送ると同時にダガーを構える。

 左が逆手、右が準手のオリジナルスタイルだ。


「任せて! ――聖なる力よ! ホーリーブラスト!!」

 エルは白い魔法陣を展開し、杖を振り、4つの光球を放つ!

 光球はまっすぐドラゴンウルフへと飛んで行った。


 だがドラゴンウルフは左後方へジャンプして難なくかわした。

 光球が白い閃光を散らして炸裂するのに目もくれず、

 俺はかわした直後のドラゴンウルフに向かって走り、右ダガーで首を狙う!


「――くそっ!」

 だが外した!

 ドラゴンウルフは俺の背後に回り込み、すかさずツメで攻撃する。

 素早すぎだろ動き!!


「くぅぅっ!」

 俺はかろうじてツメを左ダガーで防いだが、あまりの勢いで後方へ吹っ飛んで尻もちをついた。

 馬鹿みてーな力だ!

 そこに追い打ちを掛ける勢いで接近するドラゴンもどき!!


〈ギャオオオォォォォォ!!〉

 うおおおお! 吠えてる吠えてる! 恐ッ!

 とか考えてる場合でもないので体制を立て直す。

 いくら魔獣級だからってそう簡単に俺を食えると思うなよ!


「アーク! 大丈夫!?」

 魔方陣を組み上げながら俺に声をかける。


「大丈夫だ! お前はいつもみたいに適当にホーリーブラスト撃ちまくって敵を撹乱してくれ!」

「分かった任せて! ――聖なる力よ! ホーリーブラストッ!!」

 ちなみに、魔法は体内の魔素を消費する。

 限度を間違えれば、ぶっ倒れることもあるのだ。


「分かってると思うが無理すんな――ってうわあぁぁぁ!!」

 光球がこっちにまで飛んできたぁぁ!

 俺は右にジャンプして味方の攻撃をかわした。


 馬鹿野郎ぉぉ殺す気か!

 って言おうとしたがちょうど敵の背中に回り込めた!

 チャンスだ!!


「死ねドラゴンの出来損なえがッ!! クロスエッジ!!」

 俺は謎の決めゼリフを言いながら、急所である長い首めがけて十字にダガーをクロスさせて切り裂く。

 これは決まった!


〈ガアアァァァ!!〉

 しかし、思った以上に効いてない!

 つーか怯んでねぇ!!


〈グォォォァァァ!!〉

 やばッ! ヤツの右手が――!


「ぐぁはッ! ……痛ってぇ……」

 右手が俺の体にクリーンヒットし、俺は3mくらい宙を舞った後転がった。

 世界が~回る~、いやいやふざけてる場合じゃない。


「アークッ!! ――天よ、我らに聖なる活性を! エイド!!」

 あ~~、助かった……治癒魔法だ。

 俺は打撲が治り、とりあえず距離を置く。


「サンキュ、エル!」

 いいつつ、俺はいつもの違和感を感じていた。


 ――やっぱ、おかしい。

 最近どうも体が軽すぎる。

 息切れもしないし、敵の動きも良く見えすぎる。

 だが好都合である事は変わらん!


「……野郎、調子乗るんじゃねぇ!」

 とりあえず攻めに転じないと!!


〈グアアァァァァァ!!〉

 だがドラゴンウルフは地鳴りのような咆哮とともに、俺に尖ったトサカ見たいな頭を突っ込む。

 そんな攻撃当たってやんねぇ!


「よっと!」

 俺はバック宙で軽く攻撃をかわすと、


「おら、お返しだッ!! クロスエッジッ!!」

 そのまま魔物の側面に着地し、首を十字に切り裂く!


「駄目ッ! アーク逃げて!!」

 決まった――はずなのに、効くどころか怯みもせずに反撃するドラゴンウルフ。

 おかしいって! ちゃんと当たっただろ!!


「あぶねっ! うおぉっ!」

 俺は尾の攻撃を間一髪かわし、とりあえず距離をとった。

 クソッ、どういう事だ!

 怯みもしないっておかしいだろ!?


「エルッ!! コイツの急所って首だったよな!?」

 俺は右から飛ぶ拳をしゃがんでかわしながら聞く。


「絶対そうだった! 怯みもしないなんておかしいよ! 二回も決めたのに!」

 普通、魔物には“急所”というものがある。

 皮膚の皮が薄くなっていたり、神経がより敏感だったり、生命維持に重要な器官だったり理由はいろいろだが。

 それが無い魔物は基本的に魔戦級以上に分類される。

 んで、コイツの弱点は皮膚が薄く、簡単に切れる首の裏側なのだが、さっきから不思議な程ビクともしない。


「突然変異かよ!? こりゃタフってレベルじゃねーぞ!?」

 頭突きを紙一重でかわし、偶然にもドラゴンウルフと目が合う。

 そこで俺は重大な異変に気付いてしまう。


「……おいエル。ドラゴンウルフの目って、黄金色だったよな……!?」

 そのドラゴンウルフの目は、瞳も見えないくらい真っ赤に充血していた。

濁った赤……とでも言うのか?

 とにかく変な目だった。


「え……? おかしいよ……こんなの騎士団の教導本にも載って無かったよ!」

 エルは濁った赤い目を見て困惑している。


「おい! なんでこんな変な目なんだよ! マジで突然変異なのか!?」

〈グギャアァァァァ!〉

 俺の言葉が癇に障ったのか、いつも以上の奇声を発するドラゴンウルフ。

 ちょ、怒るなよ!

 とか思っていたら、突然大口を開け、バスケットボール大の火球を飛ばしてきた!!


「ぬおっ!? でも当たるかよ!」

 俺はビックリしたが、ドラゴンウルフが火球を飛ばしてくるのは知識として知っていたので左に飛んで避けた。


 草むらで火球は弾け、ゴォォ! と燃えだす。

 なにこれ?

 山火事の危険?

 


 ――そういや……やっぱおかしいぞ?

 こいつら、普通は荒野とかに生息するはずだ。

 森の中に火を吹く魔物がいるはずない。

 山火事でも起こしたら、自分の棲み処を消す事になるんだからな。


 ……不自然な強さ、赤い濁った眼、そして本来ありえない場所の生息……。

 もしかして俺達は……なんかとんでもないモンと相対しているのかもしれない……とか思ったり思わなかったり。


 でも今はそんなムズカシイ事よりも分りやすい事がある。

 それは……こいつらを早く倒さないと焼き肉どころか俺達ごと炎に巻かれるって事だ!!


「エルッ!! お前水属性の魔法使えねぇのかッ!?」

 使えない事は知っているが、聞いてみる。


「使えないよッ! それよりアーク後ろッ!!」

「な――」

 背中に衝撃が走った。

 勢いを殺すことができず、地面に体のあらゆるところを打ち付けながら転がされた。


 痛みを耐えながら頭を起こす。

 ここでやっと腕の打撃を喰らった事が分かった。


 痛ってぇ……またかよ、だっせぇなぁ……。

 立ち上がったときにはドラゴンウルフと5mくらいの距離がでていた。


「不意打ちとは……やってくれんじゃねーかエセドラゴンもどきめっ……!」

〈ガアアアアァァァ!〉

 まずい!

 距離を詰めて爪を振り上げ追い打ちをかけようとしてる!

 だがさっきの打撃のせいで体の反応が遅れる!


「聖なる力よ! ホーリーブラストッ!」

 窮地を救ったのはエルだった。

 ヤツに光球が直撃し、少しだけ動きが止まる!


「くッ! サンキュ、エル!」

 俺は即座にドラゴンもどきから距離をとる。


〈ガァァァァァァァ!!〉

 大口を開いて火球を放つ。

 狙いは……エルだッ!


「エルッ!」

 くそっ! 詠唱中かよ!

 このままじゃ直撃だ!


「くそぉぉぉぉぉッ!」

 俺は咄嗟にに前へ出てエルをかばおうとする。


「駄目ッ! アーク!!」

 エルの声が聞こえたが、火の球は既に目の前にあった!


 ……自分でも、何故こうしたのか分からない。

 ただ無意識のうちに、体が動いていた。


 気がつくと俺は、ダガーを火球に向かって斬っていた。

 斬られた火球は真っ二つに割れ、四方八方に分散して消滅した。


「…………は?」

 一瞬目が点になる。

 攻撃した右のダガーの刀身が真っ赤になっている。


 ……そして、俺はこの状況を本能的になんかなんとなく理解していた。

 つまりコレは、こういうことだ!


「なんか分からんが、お返しだクソ野郎ォォォッ!!」

 俺はクソドラゴンの背後に回り、赤い刀身のダガーで後ろ首を一撃!

 すると、ダガーが触れた瞬間に激しく敵を燃え上がらせた!!

 勘でやったのに予想通り!


〈グォォォォォォ!〉

 やった! やった! 怯んだ!!


「ええぇぇ!? アーク! それなんなの!?」

 エルが困惑している。

 そりゃそうだ、俺だってだたでさえ納得していないのにどこか納得してる自分にさらに納得していない。


 意味不明だがスルーで頼む。

 混乱してんだよマジで。


「知るか! 知らんが今がチャンスだ! 畳み掛けるぞ!!」

 とりあえず全てはコイツを倒してからだ!!



――リード視点――



「おりゃああァァァ!!」

 彼は――なんていうかすごい。

 次々に魚を釣り上げて行く……のだが。


「ちッ……またコイツか……どうなってんだこの島は……」

 ジャミルがつったのは20cmクラスの中型の魚

 それはいいのだが……なんか見た目が嫌にカラフルで、目が飛び出てて、触るとねっとりした液を出してくる。


 一言で言えば……非常にグロテスクだ。

 なんだか……深海魚みたいだ。


「ねえジャミル……それ10匹目なんだけど……食べられるのかい?」

 僕は恐る恐るに聞いてみた。


「分からん! 俺だって全ての魚を把握してる訳じゃねェし。でも、多分大丈夫だ!」

「そう……なのかい? でもその自信はどこから来るんだ……?」

 僕は若干……いやかなり引きながら聞いた。


「強いて言うなれば……長年の勘って奴だなァ! いいから黙ってジャンジャン釣れェ!」

 そう言いながら再び海中に釣り糸を垂らす。


「大丈夫大丈夫! きっとアーク辺りが毒味してくれるって! それに~、見た目がグロテスクな物ほど旨いってよく言うじゃん! 見た目=味だと思ってると、そのうち痛い目に会うかもよ~リード!」

 ルネも楽しそうに笑顔を作りながら竿をもって獲物を待っている。


「ハハ……気をつけておくよ……じゃなくてっ! そんな訳のわからない物、確かめずに食べて毒でも入ってたらどうするんだい!?」

 なんだか話題を反らされて、危うく納得してしまう所だった。


「だから~、アークが確かめるでしょ? それにいざとなったらエルの治癒術もあるし!」

 さも当然のごとく言うルネ。

 君も苦労してるね……アーク。


「はぁ……分かったよ。違う魚を釣るように僕が頑張るよ……」

 ごめんアーク。

 結局君には毒見を任せることになりそうだよ……。 

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