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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第三章 無人島サバイバル
19/110

第19話「不浪人は命の恩人?」

前回のあらすじ……


担当:リード・フェンネス。

エイリアスとの戦いが終わり、葬儀をしたり現在位置を聞いたりしたあと部屋に戻る僕ら。

その数分後、大柄なモヒカンの人が押し入ってきたかと思うと壁の修理費を請求して来た。

その額は当然僕らに払えるような金額ではなく、困り果てる。

ジャミルが勢いでケンカ売ってるうちに僕達は相談するのだけれど予想通り相談にならず最終的には「ジャンケンで負けた人がナントカする」という方法になった。

どんな妥協策だよ……。

そして僕が負けてしまった。

アークゥゥゥ!! 普段君は弱いのになんでこういう時だけ!?

ええい、こうなったら自棄だ!!

僕は騎士団としての立場を利用したが、それが返って相手の闘争心を煽り、逆効果になってしまう。

僕としたことが何たる不覚!!

もう知るか!!

土壇場でルネが煙玉を使い、エルとジャミルが壁に穴をあけ、ルネにつかまって外に飛び出した!

その機転には感心したけど、その後墜落したら意味ないじゃないか!!

人のことは言えないんだけどね……。



――空中――



「のわあああぁぁぁぁぁぁっ!!」

 やばいっ! 高いっ!! 死ぬっ!!

 俺達の眼下にあるのは謎の孤島!

 地面に叩きつけられたらいくらなんでも即死だ!!


「あああぁぁぁぁぁぁ――あ?」

 ふわっ!

 と体が急に浮い……た?


 そしてそのままするーっとやさしく地面に降りられた。

 他のみんなも同様だ。


 なんだコレ……どうなったんだ?

 と思っていると、謎の声が聞こえた。


「いんやぁ危ない危な~い。どっから飛んできたかは知らないけど、投身自殺はお勧めしないぜ」

 森の影から出てきたのは謎のオヤジ。

 頭はボッサボサで、目は死んでいて、髭は濃く、服はつぎはぎ。


 ……なんだこのオヤジ?

 浮浪人か?

 ん?


 よく見ると緑色の魔方陣を作ってた形跡が……。


「も、もしかして……あなたが助けてくれたんですか?」

 エルが恐る恐る聞く。

 そりゃそうだ。


 なんか得体が知れないし、怪しい。

 ……変態の一種かもしれないし。


「ま、そーゆー事。それよりさ~、おっさんちょっと困っちゃってて、力を貸してくれないかい?」

 ボッサボサの頭を掻きながらニッ! と笑ってそう言う。


「オイオイテメェ何モンだァ? 自己紹介もせずに助けろとか偉そうなコト言ってンじゃねェぞゴルァ!?」

 おわ!

 ジャミルがいきなりケンカ腰で睨みつけてきたぁ!


「ひいいぃぃぃぃ!! おっさん不良は苦手無理ぃぃぃぃ!!」

 なんか叫びながら、ジャミルに対し後ずさりをするおっさん……。

 情けないにも程がある!

 っていうか見れば見るほど浮浪人にしか見えないぞ!!


「暴力はダメェェェ!!」

 って、お前が杖でジャミルを殴ってどうするエルっ!!


「痛ってえなァァ!! テメェが暴力じゃねェか! 俺は何もしてねェよ!!」

 頭をさすりながら講義するジャミル。

 でもエルには手を出さない……もしかしてジャミルっていい奴?


「なんかしそうだったんだもん! 危険要素は事前に潰しておくのが大事なんだよ。これ騎士団の教えね!」

 人差し指を立て、ジャミルに説明するエル。


「テメェが一番の危険要素だっつーのォ!」

「ええっと……失礼ですが、お名前は……?」

 そんなやり取りを横に、リードが仕方無いなぁ、と情けないため息をつきながら名前を聞き出す。


「ん? まあいいじゃない! おっさんって呼んでくれれば結構結構! ハッハッハァ!」

 さっきのビビリはどこへ行ったのか……豪快に笑うおっさん……。


「えっと、再度確認しますが助けてくれたの……あなたなんですか?」

「おうよぉ! まっさか天空から5人の少年少女が降ってくるとは、天候預言者もびっくりだね~! おっさんもうちょっとで失神するトコだったよ~! ハッハッハァ!」


 ……全然面白くねーっつーの。

 ちなみに天候預言者とは、魔法を使って天候を予測する人の事だ。


「とりあえず、言っときます、ありがとうございました」

 ちょっとだけ頭を下げるリード。


「そうそれぇぇぇっ!! その言葉を待っていた!! 少年少女達よ! チミ達はおっさんに感謝していると言う事! 恩は返すのが必須! ここまでOKェ?」

「お、オーケー……」

 おっさんの謎のテンションについていけないリード。

 安心しろ、俺達も全くついて行けん。


「そしてここで確認! チミ達の目的は、この孤島から無事脱出する事! 違うかねぇ?」

「えー……はい……まあ……そうですけど……」

 リードの目がだんだん死んできた。

 頑張れ!

 何を? って聞かれたら困るけどとりあえず俺達4人でエールを送っておく。


 なんで対話を僕だけに任せてるんだァァァ!!!

 というメッセージが目で返ってきたが、それには気付かないフリをした。


「そこでだ! この先におっさんのボートがある! ただしそいつは座礁してしまって、現在は航海不可能。そしておっさん1人の脆弱な力では動かすことはできない。そこでチミ達の出番であ~るぅ! 5人で力を合わせて、おっさんのボートを救出して欲しい。もちろん協力してくれた暁には、西でも東でも好きなところへ運ぶと約束しよう! どうだい? 悪くない条件だと思わないかいチミィ~?」


 おっさんはこれでもかっ! とアピールしてくる!

 確かに……見たところここは孤島。

 しかもなんだか無人島くさい。


 なんでおっさんが1人でこんなトコにいるのかって疑問は置いといて、ボートがあるなら利用しない手は無いな。


 同じことをリードも考えていたようで、

「分かりました。協力しましょう。みんなもそれでいいね」

 振り返って確認する。


「私はいいよー!」

 と快く承諾するエル。


「ケッ! 仕方がないから手伝ってやらァ!」

 と足元の小石を蹴りあげながら不満そうに承諾するジャミル。


「ボート……盗んでもあんまり高く売れそうにないなぁ……いやあなんでもないなんでもない! うん! あたしも賛成って事で!」

 と小言で良からぬ事を呟きながらも賛成するルネ。


「まあ、おっさんに助けられたのは事実っぽいしな。しょうがない、手伝うよ」

 俺も渋々了承。

 というわけで、全員の意見が揃ったところで、俺達は海岸線に移動した。



――海岸線――



「あれがおっさんのボートね!」

 と指をさしたのは、小型のボート。

 見事に磯に乗り上げている。


「あれ……随分小さくないか? 本当に6人も乗れるのかよ……」

 思いっきり年上でしかも本当なら命の恩人なのに思いっきりタメ口で話す俺。

 でも気にしない。

 だって、おっさんだもの。


「……ん? そうか……君が、ねえ。変わってねぇな、あれから……」

 ――えっ!?


「おっと! なんでもないなんでもない! 6人乗れるかって!? 問題ないないノープロブレム!! ああ見えて、なかなか広いのよね!!」

 と胸を貼って自信満々で告げるおっさん。


 だが……さっきのはなんだ?

 一瞬、一瞬だが、おっさんの顔が柔らかく、まるで何かを懐かしむそうな、そんな感じの顔になったのは……気のせいだったのか……?


「オイィィ!! まさか俺達を使って都合よくボートを動かして1人で逃げるつもりじゃねェだろうなァァ!!」

「ひいいぃぃぃぃっ!! だから不良は苦手なんだってばおっさんはぁぁぁぁぁ!!!」

 ……あんなやりとりを見てると、勘違いだと思いたくなるな……。



――――



「じゃ、ゆっくり、ゆっくり押してくれたまえチミ達!」

 なぜかおっさんはボートに居座り、それを俺達が押すという形になった。

 なぜかって?

 今夜は波が高い。


 誰もいないボートを海へ戻せば、途端に流されるか転覆するだろう。

 そこで、誰か1人ボートに乗ることになったのだが、このボートは特殊だからおっさんしか動かせないみたいな事を言っておっさんが乗る事になったのだ。


「じゃあ行くよっ! せーのっ!!」

 リードの合図でボートを一気に押し出す!!

 バシャアァン、という水の音とともにボートは海へ辿り着いた。


「おっふぅ!! ありがとねー! 少年少女諸君!!」

 と言うがおっさんはこっちに戻ってくる気配が無い!


「オイ待てやゴルアアァァ!! 戻ってこいやァァ!!」

 ジャミルが大声で叫ぶ!!


「ハッハッハァ! ごめ~ん! やっぱこのボート、1人が限界だわ~! それじゃっ! お達者で~~!!」

 最後にニッ! というウザイ笑みを残し、そのおっさんは、夜の海へと消えて行った――。


 はっ、はめられたああぁぁぁぁ!!(本日2度目)

おっさん初登場!

名前はまだ不明です!


ちなみにこの憎たらしいおっさんは再登場予定です。

期待(?)して待っていてくださいね。

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