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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第2章 疾風の翼
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第11話「ナイフじゃない、ダガーだ!」

前回のあらすじ……


担当:アーク・シュナイザー

モルゼスの森で俺達はルネという自称トレジャーハンター(笑)に出会った。

話を聞くにコソドロにしか見えんのだがそれは置いとくとして、履いていたブーツから風が湧きあがり、あっという間に俺達ごと疾風の翼の空駆船へ突撃した。

その物音を聞きつけてやってきたのは約20人のごっつい男ども。

3人相手に本気過ぎるだろ!!

とは言え大人しく捕まる気はないのでとりあえず戦うしかなさそうだ!



――疾風の翼の空駆船内――



「あっちゃー、なんかいっぱい来ちゃったわね、てへっ☆」

 ルネはウインクしながら軽く拳を握りコツン、と自分の頭を叩く。


「てへっ☆じゃねぇ!! どうすんだコレ! もうめんどくせーよコレ!」

 俺は何故かルネの真似をしながら言った。

 目の前の男どもは完全に目が血走っている。

 まじでねーわ……。


「落ちついてアーク、それ……キモいよ……」

 真似をした俺を見て、リードが白い目で見てきた!!


「ちょ、この状況でそういう事言う!?」

 空気を読めよ!


「馬鹿な真似してる君が悪い。それより……やるよ」

 リードは俺を呆れの目線で見たあと、視線を盗賊達に向けて、鞘から剣を抜き出した。

 すると、リードの装備している右腕の籠手が若干光る。

 これは騎士団が装備してるレイズなのだが、まあその説明は今は勘弁してほしい。

 敵の目の前で延々と解説出来るほど俺は勇気が無い。


 そんな感じで俺もダガーを抜く。

 右を順手、左を逆手に構える俺独自の戦闘スタイルだ。


 ルネは背中の槍を構え、

「ちょっと、あんたは下がってなさいよアーク。いくらなんでも護身用のナイフなんかじゃ無理よ」

 と言ってきた。


 そうか……確かに、普通はそう見えるのかもしれない。

 広い世界といえどダガーを武器にしているのは珍しいだろうし、コンパクトを活かして護身用ぐらいにしか持っていない町人や商人はまあ珍しくない。


 でも、これだけは言わせてもらおう。

「ナイフじゃねぇ! ダガーだコノヤロー!!」

 ナイフとダガーの違いも分からないとは……なんて馬鹿な女だ!


「アーク、数多いけど、体力持ちそうかい!?」

 リードが聞いてくる。


「知るか! とりあえずぶっ倒れるまではやって見せる!」

 そんなギリギリの耐久戦は出来ればやりたくないんだけどなぁ……。


「オイなんださっきからごちゃごちゃと! 来ないならこっちから行くぞ!!」

 正面の剣を構えた男がいきなり吠えてきた。


 いや、それでも十分待ってくれたよお前ら。

 やがて一斉に叫び声を上げ、掛ってくる。


 ……まったく、もうちょいスマートに出来ねーのかコイツらは……。

「う……うぎゃああぁぁ!!」

 俺は正面から走ってくる奴に向かって突撃し、剣を振る前に左手のダガーで左腕を斬りつけた。

 そのあと俺の右側にいた男の手を右ダガーで切りつける。


「痛てぇぇ! 手がっ!」

 男は剣を放す。


「てめぇよくも!!」

 斧を持った大柄な男が斧を一気に振り上げる。

 その間当然ボディはガラ開きなので、俺は身を屈め遠慮なく右ダガーを横に払い、両足を斬った。


「うがあぁぁッ! くっそ……」

 その時、背後から槍が俺を襲った。


「餓鬼がッ! 調子に乗るな!」

 俺は咄嗟に振り向き、左ダガーで軽く槍を受け流す。


「誰が餓鬼だ! 俺はもう18だ!」

「十分餓鬼じゃねぇか!」

 ガギン、と金属と金属がぶつかり合い、擦れ合うことで僅かながら火花が散る。


「どいてアーク! はぁぁッ!!」

「ちょ、危ねぇって!」

 俺達が(つば)()り合いしていると、突然リードが剣を薙いできた!

 俺は間一髪体勢を低くしかわしたが、男は強烈な峰打ちを食らって気絶した。


「この野郎!!」

 そんな俺を遠くから狙うのは拳銃を持った男。

 おっとこれはマズい。

 幾ら俺でも弾丸を見切れるスキルはない。


「飛び道具とか反則だろ! 喰らったらやべぇ」

 とりあえずジャンプして跳ねながら狙いを撹乱させる。


「ちっ! このガキちょこまかと……!」

 拳銃の野郎は俺の狙い通りに銃をあっちこっちに向けている。

 くひひ馬鹿め。


「ええいムカつく野郎だ! ならお前だ!」

 拳銃野郎は狙いをルネに絞った!


「ルネ馬鹿あぶねぇ!」

「馬鹿じゃな――ってきゃああ!」

 拳銃野郎は発砲!

 弾丸はルネの近くの木箱に当たって砕けた。


「ちょ、びっくりしたでしょうがぁぁッ!!」

 言うとルネは速攻でふとももからクナイを抜き3本同時に拳銃男に向かって投げつけた!

 逆ギレ!?


「いってぇぇぇ!!」

 手に刺さり、痛さの余り拳銃を落とす。


「ルネナイスだっ! 眠ってろ拳銃野郎!!」

「ぐはぁッ!!」

 俺は顔面にとび蹴りをお見舞いし、拳銃野郎を倒した。


「「今だッ! そらぁぁッ!」」

 俺が拳銃野郎を倒した直後に左右から同時に攻撃!

 掛声同じとか双子かよ。


 だが甘いぜこの野郎!

 俺のスタイルは360度が攻撃範囲なのさ!


「余裕☆」

 俺は右ダガーを引き、左ダガーを振りぬくことで左右から突っ込んできた敵を同時に切った。


「なに……ばかな」

「馬鹿はお前らだろ、そういう自分から飛び込んでくるタイプのはスゲー捌き易いんだよ」

 二人の腹辺りを軽く掻っ捌いて2人は倒れた。


「な……なんだこいつ……化け物だ……」

 うめき声の中で、リーダー各っぽい男がそう呟く。

 誤解のないように言っておくが、1人も殺してないからな。

 けが人の山は出来てるが。


「嘘……もう終わったの……?」

 ルネは信じられないといった顔で驚いていた。

 確かになぁ……大半俺が倒しちまったからな。

 後の話によると、ルネが3人、リードが4人撃破だったそうだ。


「アーク、君もやれば出来るじゃないか。正直、凄いよ」

 リードから素直な賞賛の言葉を聞かされたが、俺は半分しか聞いていなかった。


「……………………あぁ」

「アーク?」

 リードが聞き返す。


 うーむ、俺ってこんなに強かったっけか?

 さっきも思ったけど……体力の限界をまったく感じない。

 なんだろう……、まったく意味不明だ。


 体力だけじゃない。

 目が良く見えるようになった気もするし、その分敵の剣筋が簡単に読める。

 そして体は瞬時に反応してくれるし、考えた動きについて来れる。


 まるで、全てが俺の思い通りだ。

 一体全体、何が起こっているのやら……。


「……なんでもない。とりあえず、倒したんだからとっととエル探さ――」

 俺が振り向くと、真近にルネの顔がドアップ!


「うわぁっ!? 近っ!!」

 俺のリアクションに動じることも無く、ルネはう~んと唸りながら俺の顔を見る。


「あんた、意外といい男じゃない!」

「はぁ!?」

「はぁ!?」

 俺とリードは全く同じリアクションをした。

 いきなり何を言い出すんだこの女は!!

 いいつつ、突然の急接近に思わず心拍数が跳ね上がってしまった自分が情けない。


 情け無いけど……、うん、栗色のサラサラとなびく長い髪や、ぱっちりと開いた綺麗な緑色をした目、なによりその整った可愛らしい顔立ちは、俺の中でもかなり上位に分類されていて……って、俺は何を考えてるんだぁぁぁぁぁ!!!


「よし! 気に入ったわ! 特別にここから先も付いてってあげる!」

「……って、帰るつもりだったのかよっ!!」

「もちろん、バリバリ、完璧に。な~んだってお宝も無いとこにあたしが忍び込まなきゃなんないのよ!」

 ……でもやっぱりこの破天荒な性格は許容できない。


「なーによその微妙な反応はっ! 隠密行動のプロ、このルネ・アーサス様がついてってあげるっていってるのよ!」

「どーこーがー隠密なんだよ! これだけ派手な登場のし方もないだろっ!!」

「いやぁちょっと試したかったのよ! このブーツがどこまで使えるか」


 ……そう言えば、聞くのを忘れてた。

「そのブーツはなんなんだい?」

 と思ったらリードが聞いてくれた。


「昔ある城の宝物庫に侵入した時なんだけど」

「城の宝物庫!? そりゃ凄いな……っていうかそれ犯罪!!」

「まあまあ細かいとこはいいの! そんとき見つけたのがこれ。『体外装備兵器(サードレイズ)』の『ウインドブーツ』よ」

 見た目普通のブーツに、なんか小さい羽のようなものとテニスボール大の青く光る球がついていた。

 とても兵器には見えないが、ここ最近の兵器はそういうもんだった。


「さっきみたいに風を操作して空を飛んだり、風属性の魔素を借りて攻撃することも出来るんだ」

 ルネはさも当然のように解説する。


「風属性の魔素?」

 が俺はよく分らん単語を思わずつぶやいてしまう。


「学校で習っただろ? 地・水・火・風・雷・光・闇・天の八大元素属性の1つだよ。魔素っていうのは僕達の体内や空気中に漂う微粒子の事だろ? 君はいったい何を聞いていたんだ」

 と丁寧に解説してくれるのは天才少年リード様。


 そういやそんな事も習ったわ。

 俺不真面目過ぎて殆どサボったり寝てたりしていたもんで記憶にない。


「天才少年君と一緒にするんじゃねぇ。ついでに聞くが風属性の魔素ってのはどういう意味だ? 元素と魔素ってのは違うんだろ?」

 他の奴に聞いたら馬鹿にされそうなので今聞いておこう。


「はぁ……。確かにその2つは違う物だよ。元々魔素に属性という概念は無いんだけど、魔素に元素を融合させた粒子。それが“風属性の魔素”だ。本来風元素というのは攻撃特性を持たないからね。その融合を可能にしたのも全てレイズのお陰さ。……分った?」

 リード先生の授業は終わったようだ。

 そのおかげで俺も色々と思い出してきた。


 つまりアレだ、元素ってのは物質を作る粒で、魔素はなんかエネルギーみたいなもん。

 んで2つを合わせると元素の属性に応じた力の魔素が生まれ、攻撃に利用できるってワケ。


 おおぅ、なんか分ってきた!

 俺って意外と頭いいじゃん!

「オーケーオーケー! なんとなく分ったわ」

「じゃ、先を急ごうか。エルを助けなきゃね」


 そういって俺達3人は移動した。



元素や魔素の説明が入りました。

何かをパクってるつもりはありませんが、もし似ていても気にしないでくださいね?

いやぁアークがバカなお陰で解説がしやすい!

ただ学校でどの編まで習って、騎士団でどの編まで習うのかちょっと線引きしておかないとなぁ。


ちなみに、アークの長所は機動力です。

RPGのパラメータでいうと俊敏性が高いかな。

体力や攻撃力とかは低いけど、敵の攻撃を見切ったりカウンターは得意。

なんか主人公って感じの能力じゃないですけどね。


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