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永遠の時の中で  作者: スピオトフォズ
第2章 疾風の翼
10/110

第10話「ちょっとは事前通告して欲しい」

前回のあらすじ……


担当:ジャミル・ハワード

って、なンで俺があらすじなンだァ!?

まァ、いいや……。

俺ァ不覚にも、疾風の翼の船に捕まっちまったァ。

ンで、牢屋っぽいトコで開放されンのをまってたら、妙に天然っぽい女が入って来やがった。

ウゼェ。

死ぬほどウゼェ女だった。

そして、看守が俺らに昼食を持ってきた。

俺ァもうここで何回か食ったから分かるンだが、結構旨かったりする。

ンなどォでもいい事考えてたら、突然看守が殺された。

俺ァ魔狩ギルドの特性上魔物の死体には見慣れていたが、目の前の人間が突然死んで、もう声すら上げられなかった。

そして、その後ろに女が1人。

コイツがやりやがったのかァ……。

俺ァまずいと思ったが、エルって女、さっきたァ別人のようにキレてやがる。

まるで騎士様みてェだな。

とはいえ、俺らは丸腰。

どうすンだよ!



――モルゼスの森――



「駄目よねぇ、最近の盗賊共は、武器兵器とか色気ないものばっかり。もっとこう、金銀財宝とか持ってる盗賊いないのかしらねぇ!」


 持っているクナイを人差し指でうまくバランスを取りながら、ぶつぶつと疾風の翼に対しグチを言うルネ。


「あのなぁ……それただの窃盗だろ!!」

 俺は思った事を口にして見る。


「違うわよ! ひっどい言い草ねまったく!」

 ふん、と俺と逆方向を向き、両腕を組む。


「いやだって! トレジャーハンターではないよな間違いなく! つーかお前ただのコソドロだろ!」

 俺は、だんだん怪しくなってきたな~と思いつつこの女の素性を明かすために抗議する。


「いいじゃない! トレジャーをハントしてるんだからトレジャーハンターよっ! なんか文句ある!?」

 ルネは一気に振り向いて、身振り手振りを加えて大げさに自己の無実を証明する。 

 強引だ!


「おいリード、騎士団権限でこいつしょっ引いてくれよ」

 こういうときはリードしかいない。

 この勘違い犯罪予備軍を何とかしてくれ!!


「まあ……考えとくよ」

 リードの野郎は一回はぁ、と頭を抱えて溜息を付いた後、


「それより、君、確か盗賊団の船に侵入したんだよね?」

 真面目な顔になってルネにたずねた。


「ええそうよ! どう!? この華麗な侵入テクニッ――」

「だったら、その船まで案内してくれないかい?」


 うは、遮った!

 ルネの台詞遮って言ったよ!!

 案外こいつも強引なとこあるな……。

 つーか急がないと船離陸しちまうんじゃないか?


「よし! あたしにまっかせなさぁい!!」

 と胸を張るルネの背後には、今まさに浮上した空駆船があった。


「「あぁぁぁーーっ!!」」


 俺らは声をそろえてびっくり仰天。

 り、離陸したああぁぁぁぁーー!!

 悪い予感は当たるって言うけどホントだったんだな……。


「ちょっと、なにこの世の終わりみたいな顔してんのよ」

 俺らの顔を見てルネはあきれたような口調で言う。


「いや、後ろ向いてみろ! お前のせいで船が行っちまったんだよ!」

「ん?」 

 ルネは振り向き、現状を認識した。


「あぁ、大丈夫大丈夫、捕まって!」

 なんか余裕そうな表情で両手を俺とリードに伸ばしてくる。

 ?マークを頭に浮かべながら、俺たちはルネの手をつかむ。


「さぁ、行っくわよ~!!」

 ルネがそう叫ぶのと同時に、俺らの体が浮き上がって――。


 地面があっという間に遠ざかった!

 詳しく説明すると、ルネが勢いよく大地を蹴って、一瞬で飛行中の空駆船と同じ高さまで飛び上がった。


「おいいぃぃぃぃぃぃ!! 飛ぶなら飛ぶって言えよおおぉぉぉぉ!! 心臓止まるかとおもったじゃねぇかぁぁ!!」


 やばい、高っ! 恐っ! そして気付いた。


「止まらなかったんだからいいじゃない! 気に食わない事言うと叩き落とすわよ!」

「すんまぇぇぇせん!」


 俺らの命は、今の瞬間は手を握ってるルネにかかっているのだと言う事を。


「それで! これからどうするんだい!?」

 こんな状況でも冷静さを保てるリードには敬服するぜまったく。


「もちろん……こうするのよっ!!」

 ルネはさらに空中で空間を蹴るようにして高度を上げると、そこから斜め下に見える空駆船の側面めがけて一気に急降下した!


「ぎゃああぁぁぁぁーーーーー!!」

「うわああぁぁぁぁーーーーー!!」

 俺涙目ぇぇ!

 っていうか目の前壁、壁ぇぇぇっ!!!


「たぁぁぁ! 突撃脚ッ!!」

 木の砕ける破壊的な効果音と共に、俺達は船内に侵入成功。

 そう! そのまま壁を突き破って船内に入ったのだ!


 ルネはようやく俺とリードの手を放す。

 俺とリードは半ば放心状態で寝転がり、とりあえず異常な鼓動を抑えようとする。


「はい、到着~」

「ばっきゃろぉぉぉい!! 殺す気かてめぇ!!」

 俺はガバッと起き上がりながら激しく訴える!


 もう、心臓がなんかおかしい!

 心拍数ハンパない!

 それもこれのこのコソドロ女のせいだ!!


「何よ! 無事侵入出来たんだからいいじゃない!!」

「これのどこが“無事”なんだー! マジで死にかけたぞ!?」

「死ななかったんだからいいじゃない!」

「よくねぇ! それからやる時はやるって言えよ!!」


「2人とも静かに」

 リードは静かに怒鳴った。

 うお、コイツ平静取り戻すのはえーよ。

 そして俺らはようやく状況を理解した。


「随分なごあいさつじゃねぇか兄ちゃん共ォ!」


 すみません、囲まれてます。

 ひーふーみー、ざっと、20人?


 手には、剣、斧、ナイフ、小型の拳銃を持ってる者までいる。

 オイオイ飛び道具は反則だろ。


 そしてみなさん、壁を壊されたのが大層お怒りだったのか、そうとう殺る気だ……。


「……やるしか、ないね」


 リードの声を合図に、俺達は覚悟を決めた。


ずいぶんとドタバタな三人組ですね……いや書いてるの俺ですけど。

さて次回は久々の戦闘!

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