温かい背中
掲載日:2026/09/16
日差しが強い昼。
ガラガラと、古い玄関を開ける。
こもっていた暑さがこちらに向かってくる。
中に入り、玄関を閉める。
外に出られなかった熱気が、その場に止まる。
下を向き靴を脱ぐにも、汗が流れそうになる。
奥の部屋から、小さなしゃがれ声が聞こえてくる。
室内に入ると、涼しい風が流れる。
ほっと息をつく。
迎えてくれる、くしゃくしゃな笑顔。
背中が、さらに丸くなっている。
昔はおんぶしてもらっていた。
そんなことを、ふと思い出す。
こちらを見るが、名前を言いたいのに言えない。
隣に座ると、笑顔の皺が深くなる。
耳元で名前を言う。
顔を見て、何度も頷く。
そっと、手を握られる。
ひんやりとした感触。
こんなに小さかったのか。
ゆっくりと握り返す。
そのまま、しばらく手を握っていた。
話すのは昔のこと。
疲れたのか、うとうとと船を漕いでいる。
一緒にベッドまで歩く。
歩幅は狭い。
一歩、一歩。
触れる背は昔のまま、温かかった。




