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The Sword That Hates Me (But Is Better Than Me)  作者: 神谷嶺心
第2章 機能不全の三人組:24時間忍者、盲目のヒーラー、俳句スライム —— 予言か、宇宙の悪ふざけか?
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第21話 ー 雷鳴、砂嵐、そして道なき旅

「水を求めて雷を呼び、道を探して盗賊に出会う。」



すでに街から遠く離れ、三人は息を切らしていた。服には砂埃がこびりつき、足取りは重い。クノカゼは、まるで空気に文句を言うかのようにぶつぶつと不満を漏らしていた。


「南門の衛兵に金を払ったんだぞ。腐った野郎だ。笑顔まで添えてきやがった。もっと硬貨があったら、全部歯に詰めてやったのに。」


ハイクモは静かに後ろを振り返りながら滑っていた。夕暮れの光に体が淡く揺れている。


「高き角

門に響く叫び

逃げる者へ」


ルミは息を整えながら、心配そうに呟いた。


「私たち、やっぱり自首すべきじゃないかな…。あの衛兵さん、かわいそうだよ。全部、私たちのせい…」


クノカゼは大きく息を吐いた。


「俺たちのせい?冗談だろ。明日のパンとネズミの同居部屋で腐るくらいなら、逆さ吊りで一週間過ごす方がマシだ。」


三人はさらに走り続け、やがて街は遠く霞んで見えなくなった。太陽は山の向こうに沈みかけていた。


クノカゼは息を切らしながら、背後と地面を交互に見た。


「この距離なら、もう追ってこないだろ。だが戻ることもできねぇ。あの街は終わった。」


ハイクモは挑発的な調子で詠んだ。


「逃げるは忍

盗みはしていない

罪はお前」


「ハイクモ…」ルミは優しく言った。「クノカゼを売ればお金になるかもしれないけど、それは…ひどすぎるよ。」


ハイクモの体が淡く光り、目が輝いた。クノカゼは彼を睨みつけ、今にも爆発しそうな顔で言った。


「お前が俺を売ったら、デザートにしてやる。復讐のゼリーだ。」


三人は黙って歩き続けた。空は暗くなり、地面は乾いた砂に覆われ、遠くの山々が嘲笑っているように見えた。


ハイクモは前方を見つめながら、静かに詠んだ。


「隠れた泉

石と沈黙の間

道が導く」


クノカゼとルミは顔を見合わせ、うなずいた。何もないよりはマシだった。


さらに数時間が過ぎ、彼らは山々に囲まれた谷に入っていた。夜の静けさがすべてを包み込んでいた。


「スライムに頼るなんて、俺がバカだった。」クノカゼはぼやいた。「なんかに見られてる気がする。舐められたら、噛み返すぞ。」


ルミは歩くたびに元気になっていくようだった。立ち止まり、背中を向けたまま、明るい声で言った。


「もし何かあったら、私が癒すからね、クノカゼ!」


クノカゼは彼女の腕を引っ張った。


「また失敗するなら、蘇生するのは飲めるもんにしてくれ。」


しばらくして、ハイクモが立ち止まり、周囲を見回した。そして静かに詠んだ。


「道を失い

山は足を惑わす

泉は遠く」


クノカゼはもう限界だった。


「いいぞ。じゃあ水でも出してみろ。食い物もねぇ、道もねぇ、詩しか喋らねぇスライムしかいねぇ。」


ハイクモは集中し、体が淡く光り始めた。そして魔法のように詠んだ。


「水よ来い

忍を潤わせよ

雷は不要」


だが、詠み終えた瞬間、空から雷が落ち、クノカゼに直撃した。


「うわあああああ!スライムのクソ野郎、焼いてゼリーにしてやる!」


ルミは駆け寄り、心配そうに言った。


「大丈夫?今、癒すからね!」


「やめろ!もう失敗はごめんだ!あの山のふもとで寝るぞ。明日、道が見つかるか、穴に落ちるかだ。」


しばらく歩き、ようやく山のふもとにたどり着いた。クノカゼは何も言わずに地面に倒れ込んだ。


「顔に苔が生えてても、起こすなよ。」


ルミはハイクモに向き直り、優しく微笑んだ。


「あなたは、私たちのために十分すぎるほど頑張ってくれた。ありがとう。」


ハイクモは静かに、最後の一句を詠んだ。


「雷落ち

夜は我らを包む

眠りの時」


そして三人は眠りについた。谷は静まり返り、山は黙って見守っていた。


ハイクモは静かに集中し、体が淡く光り始めた。そして、魔法のように一句を詠んだ。


「雨よ来い

忍を潤わせよ

雷迷う」


だが、詠み終えた瞬間、空から雷が落ち、クノカゼに直撃した。


「うわああああ!スライムのクソ野郎、焼いてゼリーにしてやる!」


ルミは駆け寄り、心配そうに言った。


「大丈夫?今、癒すからね!」


「やめろ!もう失敗はごめんだ!あの山のふもとで寝るぞ。明日、道が見つかるか、穴に落ちるかだ。」


しばらく歩き、ようやく山のふもとにたどり着いた。クノカゼは何も言わずに地面に倒れ込んだ。


「顔に苔が生えてても、起こすなよ。」


ルミはハイクモに向き直り、優しく微笑んだ。


「あなたは、私たちのために十分すぎるほど頑張ってくれた。ありがとう。」


ハイクモは静かに、最後の一句を詠んだ。


「雷落ち

夜は我らを包む

眠りの時」


三人は眠りについた。谷は静まり返り、山は黙って見守っていた。



太陽が地平線に顔を出す頃、ルミはすでに目を覚ましていた。昨夜の疲れなど微塵も感じさせず、穏やかな笑みを浮かべている。ハイクモはまだ眠っており、ゼリー状の体が少し膨らんでいた。クノカゼはというと、スライムを見つめながらよだれを垂らしていた。


「水を手に入れる方法、思いついたかもな…」目を見開き、口元を濡らしながら、挑発的な声で言った。


ハイクモはルミのそばに滑り寄り、静かに一句を詠んだ。


「泉は遠く

水の在り処知らず

道は見える」


「いいぞ。だが次も失敗したら、雑巾みたいに絞ってやるからな。」クノカゼはぶつぶつ言いながら立ち上がった。


三人はクノカゼを先頭に歩き出した。しばらくすると、遠くに道が見えてきた。砂漠の風が舞い、熱気が肌を刺す。


歩いている途中、ルミが立ち止まり、地面に手をかざした。


「…地面が震えてる気がする。」


クノカゼは周囲を見渡し、遠くに奇妙な光景を目にした。巨大なカタツムリのような生物が、荷車を引いて進んでいる。


「おーい!助けてくれ!ここだ!」クノカゼは叫びながら、手を振り、飛び跳ね、必死に存在をアピールした。


ハイクモはルミの隣で滑りながら、冷静に一句を詠んだ。


「風に叫ぶ

忍は跳ね回る

無駄な努力」


荷車はクノカゼを器用に避け、ルミの前で止まった。


「こんな砂漠で、娘さんがマスコットと一緒に歩いてるとはな。」


ルミは少し顔をそらしながら、恥ずかしそうに答えた。


「アンサルムを出て、次の街へ向かってるんです…でも、道がよく分からなくて。おじさん、困ってるんですか?」


ハイクモは少し鋭い調子で一句を詠んだ。


「優しき目

疑いも皮肉も

見逃して」


その時、砂まみれで息を切らしたクノカゼがようやく追いついた。荷車の男は彼をじっと見つめ、眉をひそめた。


「早く乗れ。盗賊がこっちに向かってきてる。止めようとしたが、うまくかわした。」


「彼は私たちの仲間です。」ルミは優しく言った。「危険じゃありません。ただ助けを求めてただけです。」


コボロは眉をひそめ、傲慢な口調でクノカゼに向き直った。


「おい、娘さんとマスコットに何してる?」


クノカゼはまだ息を切らしながら答えた。


「俺が何してるって?あいつらが俺にしてるんだよ。アンサルムで置いてくればよかった。」


「乗れ。次の街まで連れてってやる。ただし、忍者はタダじゃない。」


「だろうな。いつも俺だけが損するんだ。」クノカゼはぶつぶつ言いながら荷車に乗り込んだ。


ハイクモは皮肉っぽく一句を詠んだ。


「彼女は優し

スライムは飾り物

忍者が払う」


風が強くなり、荷車は軽く揺れ始めた。コボロはフードを深くかぶりながら言った。


「アンサルムを出た理由は?」


「そうだ、俺はコボロ。ズレタ村の商人だ。アンサルムにはよく行く。運が良かったな。今日は早めに売り切れて、もう一週間滞在する予定だった。」


「二度とあの街には足を踏み入れねぇ。」クノカゼは言った。「路上で寝てるドワーフ、宿のベッドより臭い酒…」


コボロは大笑いした。


「ってことは、あのタルガ婆さんの酒場に行ったんだな?あそこはひどいが、俺は好きだ。」


ハイクモは荷車を引く巨大なカタツムリを見て、静かに一句を詠んだ。


「巨大な殻

こんなの初めてだ

旅する泡」


「ミズハラの首都で、カタツムリ泡を育ててる友人から買ったんだ。遠いけど、行く価値はあるぞ。」


風はさらに強くなり、砂が舞い始めた。コボロは遠くを見つめながら言った。


「隠れた方がいいな。砂嵐になる。ここらじゃよくあることだ。」


やがて、荷車がすっぽり入るほどの広い洞窟を見つけた。三人は荷車を降りた。ハイクモは入口に滑り寄り、静かに詠んだ。


「火が欲しい

夜を温めるため

任せてくれ」


「水出そうとして雷落とした奴が、今度は火か?俺がやる!」クノカゼは叫んだ。


コボロは前に出て、手際よく火を起こした。


「俺がやる。娘さんに寒い思いはさせない。」


「あなたはとても親切ですね。昔、冒険者だったんですか?癒しが必要なら、言ってください。」ルミは優しく言った。


「昔はな。勇敢な仲間たちと旅してた…だが、それについては…話さない方がいい。」


ハイクモはクノカゼのそばに滑り寄り、ささやくように一句を詠んだ。


「言葉途切れ

隠された過去に

違和感あり」


クノカゼは低い声で答えた。


「この商人、何か隠してるな…」


コボロは荷車に戻り、腕を中に突っ込んだ。クノカゼは警戒し、手をそっとクナイの方へ滑らせた。


だが、コボロが荷車から取り出したのは、明日のパンの袋と、矢に刺さった蛇サソリだった。彼は歪んだ笑みを浮かべて振り返った。


「食事は俺のおごりだ。」


ハイクモはクノカゼのそばに滑り寄り、静かに一句を詠んだ。


「鋭い目

乾いたパンに罪

疑いすぎ」


コボロは再び荷車を漁り、今度は水の入った水筒を二つ取り出した。


「一つはお嬢さんに。もう一つは俺の分だ。」


「ありがとうございます。」ルミは感謝の気持ちを込めて水筒を受け取った。


クノカゼは「明日のパンと焦げたサソリかよ…」とぼやきながら、ぶつぶつ文句を言っていた。コボロは火のそばに座り、焼き上がりを待っていた。ルミは水を飲んだ後、クノカゼに水筒を差し出した。彼は無言で受け取った。


夜が深まり、コボロは昔の冒険話を語り始めた。盗賊との戦い、炎に包まれた塔からの脱出、酔っ払いの魔法使いとの決闘——話は尽きなかった。やがてサソリが焼き上がり、三人は食事を済ませて眠りについた。



朝になると、ルミはすでに目を覚ましていた。元気いっぱいで、まるで夜の疲れなどなかったかのようだった。コボロも旅の準備を整えていた。ハイクモはまだ眠っていたが、クノカゼを起こそうと体を揺らしていた。


クノカゼは寝言を言いながら、突然大きな音を立てて屁をこいた。


ハイクモは顔をしかめ、昨夜の雷の句をもう一度詠んだ。


「雨よ来い

忍を潤わせよ

雷迷う」


「今度こそ殺すぞ、スライム!」クノカゼは飛び起きて叫んだ。


「心配しないで、ハイクモ。何かあったら、私が蘇生するから。」ルミは優しく言った。


ハイクモは少し沈んだ調子で一句を詠んだ。


「死は休息

優しさは再生

癒しは無謀」


三人は荷車に乗り込み、洞窟を後にした。コボロは言った。


「次の街までは半日の旅だ。休んでていいぞ…忍者以外はな。見張りが必要だ。ここらは盗賊が多い。」


「ルミの心配ばっかして、荷車のことはどうでもいいのか?女好きで怪しい奴って、よくそんなバランス取れるな…」クノカゼは不満げに言いながら、荷車の端に座った。


コボロは何も言わず、道を進み続けた。風景は徐々に変わり、砂漠は丘陵へと姿を変え、緑がちらほらと現れ始めた。道の両脇には木々が立ち並び、旅の空気も少し穏やかになってきた。


突然、木々の陰から数人の男たちが現れ、道を塞いだ。全員が不気味な笑みを浮かべている。一人は剣を舐めていた。もう一人は口元を覆う仮面をつけている。残りの二人は顔を隠すフード付きのローブをまとい、手には杖を握っていた。


コボロは眉をひそめた。


「盗賊だな。選択肢はない。戦うしかない。」


「誰も傷つきませんように…そして、彼らが改心しますように。」ルミは憐れみのこもった声で言った。


「心配はいりません、お嬢さん。俺がついてます。忍者、来い。」コボロは指示するような口調で言った。


「金払って、さらに盗賊退治?俺は誰に搾取されてるんだ?お前か、あいつらか。はっきりしろよ。」クノカゼはクナイを抜きながらぼやいた。


ハイクモは滑るように近づき、皮肉たっぷりに一句を詠んだ。


「忍に不運

見張り、戦い、金

文句ばかり」


「詠んでる場合か、スライム!お前も戦うんだぞ!」クノカゼは唸った。


敵の一団が一歩前に出た。剣を舐めていた男は歪んだ笑みを浮かべたまま、刃をゆっくりと持ち上げる。ローブの男たちは杖を掲げ、仮面の男は指を鳴らした。


風が止まり、木々は沈黙した。


クノカゼは目を細めた。ハイクモは後ろへ滑り、ルミは両手を胸の前で組んだ。


そして、敵の一人が静かに、だが確実に一歩を踏み出した。

道がなくても、旅は続く。

スライムがまた失敗すれば、忍者はバーベキューになる。

盗賊が踏み込めば、詩が刃になるかもしれない。

誰かが迷っても…ヒーラーはまだ信じている。

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