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この仕事、辞めます。

長井<いきなりですが、会社辞めます>


長井<28歳。介護職に勤めて10年。もう限界です>

  <あぁ、そうだ。どんな施設名で、どんなところにあるのかとか、そういうのは聞かないでくださいね。人権問題とか、プライバシー保護とか、いろいろあるので>

  <ざっと説明すると、入居者60名・短期入所者6名で全部屋個室の創設30年の施設です。あ、通所介護もやっています。>

  <3階建てで、周囲は山に囲まれています。夏には虫がわんさかわき出てきて、冬には施設のワゴン車が雪で埋まります。そんな感じです>


長井<話を戻します。とにかく私はこの職場を―この仕事を辞めさせていただきます>


まだ辞めることを誰にも告げていない長井。

知った時の皆の反応を頭の中で想像する。


鮫島(声のみ)「次の仕事は決まったの? 決めてからの方がいいんじゃない?」

川端(声のみ)「ええ~、10年もいたのにもったいなくないですかあ。私、さみしいです~」

岸本(声のみ)「きみの頑張りはよく知ってる。この施設に必要な存在だよ。だから、考え直してくれないかな」

遠藤(声のみ)「いいなあ、独身は嫌になったらすぐ辞めれて。こっちは、ただでさえ職員の数が少なくて困っているのに……」


長井<そういうの、他の人達が辞めていく時も散々聞きました>

長井<たとえ忠告を受けようが、嫌味を言われようが、引き留めるための建前のお世辞を述べられようが、私にはもう関係ありません。もう無理。限界です>


長井<ちょうど数分前、施設長に呼び出されました。もしかしたら、スタッフルームで退職願を印刷していたところを見られたのかもしれません>


制服の上着のポケットに入っている、退職願が入った白い封筒を押さえる。


長井<ちょうどいいです。どうせ言おうと思っていたんだから、いい機会です>

長井<いつもはおっかない坊主頭の施設長にだって、はっきり言ってやりますよ>

長井<私は、辞めるって>

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