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6話 人間も壊れたら斜め45度でぶっ叩いて治せればいいのに・・・

その後も、色々な人が威流たけるの元を訪れた。



集計されたデータの見方について、営業部の後輩、山田やまだ

「赤音さん、このデータを見てても、何が分かるか分からないんです」



提出した領収書について、経理担当者。

「赤音さん、先日提出してもらった領収書の規定金額を超えている件なんですが」



マーケティング部の課長までも来て、

「赤音君、子育て世代のニーズについての意見が聞きたいんだが」



第二営業部の柾黄まさき れんも顔を出す。

威流たける、今日の昼飯一緒に行くか?」



憔悴しきった威流たけるは顔をデスクの上に乗せ、なにかブツブツ呟いている。

「子育て世代なんて知らねーよ、子供どころか彼女もいねーわ・・・・・・」



れんから見れば、いつもの威流たけるなのではあるが、

ある程度の期間が経過すると威流たけるが少し壊れ始める。


そろそろケアが必要かなというタイミングをれんは知っていた。


「おうおう、相変わらずこき使われているな威流たける


「なんだれんか、ほっといてくれ」


「はいはい、いつものやつね。いいから昼飯食いに行くぞ」


「仕事終わってねーから、行かねーよ」


「飯の時間削ったところで、たいして進まねーから、いくぞ」


威流たけるの背中をバシッと叩き、れん威流たけるを連れ出す。



れんは食堂に向かわず、ビルのエントランスに向かっている。



威流たけるは食堂を指さし、面倒臭そうにれんに言う。


れん、食堂でいいんじゃないか?」


「食堂だとお前はすぐ誰かに絡まれるから、うちのやつが来ない場所にしようぜ」


「そうだな、すまん」


「今日は蕎麦にでもするか、好きだろ威流たける


「そうだな、すまん」


「はいはい、そこ謝るとこじゃないだろ、奢るから好きなもんでも食えよ」


れんは気にする素振りを見せず、いつもの軽口で返す。



れんは、会社から少し離れた場所にある蕎麦屋まで威流たけるを連れて行く。

蕎麦屋の暖簾を潜ると「いらっしゃい」と年老いた店主の穏やかな声が出迎えてくれる。


「こんにちは、大将、いつもの2つね」


元気よく店主に挨拶をするれん


「はいよ、もりそばの大盛り2つだね」


注文を確認し、店主は厨房に入っていく。

数分して、両手でおぼんを持った店主が二人のテーブルまで料理を運んでくる。


「お待たせ、ゆっくりしていきなよ」


口数は多くないものの、穏やかで優しい口調の店主。


古びた建物ではあるが、清潔で安心感を感じる店内。

仕事という戦いを忘れられる場所。


この店には何か”セーブポイント”の様な癒しがあった。



運ばれてきた蕎麦からは良い香りが漂う。


その蕎麦の艶やかさに目を輝かせる威流たける

つゆのたっぷり入った器を取り、割り箸を口に咥えて割る。


「口で箸を割るな、お行儀悪いぞ」


れんの指摘もお構いなしに、威流たけるは蕎麦を啜る。


「本当に蕎麦が好きだよな威流たけるは」


普段は喜怒哀楽を押し殺している威流たけるが、

嬉しそうに好きな物を食べている姿にれんもにっこり。


どんどん威流たけるの口に運ばれていく蕎麦。

喉に詰まらせないか、見ていてハラハラしてくるれん


「ほら、もっとゆっくり味わって食べろ」


「うっさい、好きに食わせろ、お前は俺のかーちゃんか?」


「かーちゃんみたいな事を言わせているのは、お前な」


少し呆れてはいるれんではあったが、

威流たけるとのこのくだらないやり取りは、れんにとっては大切な時間だった。

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