24話 期待外れだと文句を言うな。それは、お前の”見当”が外れただけだ・・・
発射場所に着いた威流は、青い魔石を握って雷魔法をイメージするが、
紫の魔石と同様に何も反応を示さなかった。
「やっぱりそうか。青い魔石も使えないとなると・・・・」
威流は膝から崩れ落ちる。
「魔石、使用数制限がある・・・」
魔法で活躍のイメージも一緒に崩れ落ちる。
「青と緑と黄色だから3個、3個しか使えない」
こ、これはショックだ。
魔法3回でMP切れとか、とんだポンコツ魔法使いだよ。
魔法使いからすぐに村人Aに大変身。
仲間がこんなんだったら、速攻で酒場に行って”あずけにきた”一択。
いつの間にか時が経ち、夕日が海の色を変えていく。
砂浜に座り、威流は物思いに耽る。
「なんで、そんな意地悪をするのでしょうか神様・・・」
個数制限を神様のせいにする、信仰心ゼロの威流。
「そもそも、色と属性が違うのもなんでなの?」
考えても仕方の無い事を考え続けていた威流であったが、
暗くなる前に、池の広場に戻ることにした。
広場に戻った威流は、平たい石の上に適当な草を乗せて簡易ベットを用意する。
その上に横たわりながら、ボーと今日あった事について思いを巡らせていた。
そして、いつ使用数が回復するのかなぁ?なんてことを考えながら眠りについた。
翌朝
威流は、射し込んでくる朝日で目を覚ます。
「ふわぁ~、よく寝た。案外悪くないな、これ」
寝床から立ち上がり、石柱の水で顔を洗う。
軽いストレッチを行い、しらがみ様に声を掛ける。
「おはようございます、しらがみ様」
白い魚は特に聞いている様子も無く、自由に泳いでいる。
「今日のタスクは、焼き魚と茶色と紫の魔石の実験」
黄色、茶色、紫の魔石をポケットに入れ、海へ向かって歩き出す。
海に着いた威流は、黄色の魔石を使い火球を出す。
「魔石が起動した!!。使用回数は寝たら回復するのか?うーん、仕様が馬小屋」
取り敢えず、毎日3個使えるのが分かって良かった。
手の平の火球を維持しながら、波打ち際で気配を消して待ち、
海中の魚影を見つけ、そこに目掛けて慎重に火球を投げる。
けたたましい爆音と共に、弧を描きながら飛んでくる焼き魚。
着地点を予測し、走り寄って焼き魚をナイスキャッチ。
焼きたてのアッチアッチを素手で掴む。
「あっつい!!」
すぐさま、威流は焼き魚を地面に叩きつける。
焼き魚を素手で掴んではいけないというのは異世界では常識だ。
「あぁ、こんな砂まみれになって」
魚の尾びれを摘み、海水で砂を洗い流す。
びしゃびしゃになった焼き魚をそのまま食べ始め、
残った残骸を墓標の前に埋める。
「よし、実験開始だ」
紫の魔石を目印付近に突き立て、茶色の魔石を持って移動する。
魔法をイメージすると魔石が音を立てて割れ、右手を薄い氷の膜が覆う。
「氷結系で合ってたな。ちょっと試してみるか」
波打ち際ギリギリまで近づき、手の平を地面に着ける。
すると、手の平を着けた場所から地面が凍り始め、扇状に広がっていく。
「おっ、イメージ通り!!ではないなぁ・・・」
威流のイメージよりも、遥かに氷が厚みが薄くて脆い。
凍っていた部分は、寄せる波にいとも簡単に砕かれていき、流されていく。
「攻撃力無しって感じだな。足止めぐらいにはなるか・・・」
気を取り直し、紫の魔石の実験を始める。
「もう、のこりは風属性でしょ」
想像通りに、紫の魔石はすぐに割れる。
高速で回転する空気の流れが右手に感じられ、魔石の起動を確認したのだが、
威流は魔石の起動時の音がどうしても気になってしまう。
「このフィーーンって音。ハードディスクみたいで、なんか嫌だな」
異世界に来て初めて機械的な音を耳にし、ふと会社の事を考える。
「今頃、俺が会社を無断欠勤したことで、騒ぎにでもなってるだろうなぁ」
仕事を休んだことに、罪悪感が生じる威流であった。
「いかんいかん、考えても仕方ない。今は魔石の実験をやらないと」
罪悪感を頭から振り払い、魔石の実験に意識を戻す。
「風属性は目で見えないから、何か的にして試さないと」
威流は辺りを見回す。
大きな岩などは無かったが、的にするのにおあつらえ向きの木が見つかった。
その木から数メートル離れた場所に立ち、右手の親指を曲げ、他の指を伸ばす。
右手の手刀を肩より上に構え、一気に左前に振り下ろす。




