21話 便利そうに見えても、使ってみると案外そうでも無い事もある・・・
しらがみ様の想いを受け取ったかどうかは分からないが、
今後、怒られる可能性が下がった威流。
大事な食料問題をそっちのけで、魔石に興味を惹かれている。
「よーし!!魔石を集めるぞぉー!!」
最初の時とは違い、勢いよく池の中に足を入れる。
「ぐわー、やっぱしんどい」
池の水は、相も変わらず威流の足に刺す様な刺激を与えてくる。
しかし日が昇ってからは、辺りは春の様な暖かな陽気に包まれており、
水の冷たさも幾分かマシに思えてくる。
魔法が使えるという興奮が、アドレナリンとドーパミンを脳内に放出する。
水の冷たさはどこへやら、威流の目は魔石に釘付けだった。
じゃぶじゃぶと音を立て、足早に池の中心へ向かうが、急に立ち止まる。
「すいません。ここ、しらがみ様のお住まいですよね」
人様(人では無い)の家を土足で踏み荒らす様な真似は流石によろしくないと気が付き、静かに歩きながら池の中を進む事にした。
ある程度進み、色取り取りの魔石が水の底に沈んでいる所で立ち止まる。
数個の魔石を拾って、水を払い、スラックスのポケットに放り込む。
少々欲張り過ぎて、ポケットがリスの頬袋状態になるまで捻じ込んだ。
しらがみ様の様子を伺いながら、池の縁へと戻る。
地面に座り込み、ポケットに突っ込んだ魔石を取り出す。
「ふはは、大漁じゃ~。赤、青、緑、黄色、茶色、紫と種類が盛りだくさん」
魔石を一つ一つを手に取り、光にかざして色を見る。
日光に当てられた魔石は光を透過しキラキラと煌めき、威流の心を魅了した。
「なんて綺麗なんだ」
魔石に見蕩れながらも、きっちりと色ごとに仕分け、順々に魔石を並べていく。
「さて、そろそろ本題に入りますか」
まず、魔石の性質を知っていく事から始めないとな。
いざって時に、また自爆をかますのは勘弁してもらいたい。
しかし、消費アイテムといっても、攻撃手段があるのは本当に有難い。
もし、攻撃手段が何も見つからなかったら、古より伝えられし最終手段、
”レベルを上げて、物理で殴ればいい”だけになってしまうところであった。
まずは ”色の違いには意味があるのか” だな。
普通に考えれば、色ごとに属性が違うはずなんだよな。
赤は”火”属性、青は”氷”若しくは”水”属性、黄色は”雷”属性とかだと思うんだけど、青い魔石を使って電撃が出たから、どの色でも電撃が出ますって可能性はあるよな。
これは色ごとに使って試してみて確認するしかないか。
ただ、昨日みたいな事故が起きてしらがみ様を巻き添えにしない様にする為、
実験するのは別の場所にしないと。
次に確認しておきたいのが、魔石の起動方法についてだ。
夢の中でエルフが祈る様な感じで魔石を起動させてたけど、
それが起動に必要なアクションなのかが分からない。
俺の魔石が起動した時は、色々な魔法を使う妄想をしてた時だから・・・
頭の中で魔法をイメージすると起動する感じなのかな?
もしそうだとすると、なんだこの危険極まりないブツは。
撃鉄が引かれた拳銃の引き金に指を掛けて歩き回るのと同じ、
その気は無くてもぶっ放す、とんだ暴発野郎じゃないか。
ちょっとイラついて、あいつに隕石でも落ちればいいのにとか思った瞬間に、
”魔石パーンからの隕石ドーン” という事も有り得る。
感情暴発シリアルキラーの爆誕、本当の”殺すつもりはなかった”案件。
この世界の法律的にどうなの?魔石傷害罪で投獄とかになるのだろうか?
法律がどうとかの問題じゃない。むやみやたらに誰かを傷つけるとかは絶対にダメ。
起動条件が分かるまでは、なるべくポケットに入れて持ち運ぼう、そうしよう。
分かってる事は、起動時に自分への影響はないと思われるけど、
発動後に何かしらの効果範囲にいるとダメージ受けるとかになるのかな?
まあ、全部推測の域を出ないから、1つ1つ確認していくしかないな。
魔石に魅せられ、興奮と情熱のあいだに嵌ってしまった威流であった。
犯罪者になる前に、魔石の使用方法を確立出来るのであろうか?




