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16話 安全だと思った時こそが一番危険・・・

取り敢えず、帰還方法と生存確認の調査を全体的な目標とする。

その上で、当面の目標となる食料の確保を速やかに行うでいいか。

途方もない道程となりそうだが、やるしかない。


ただ、異世界に来てお宝の1つも持ち帰らないというのはロマンが無い。

折角だから、あるのならばエクスカリバーの1本でも拝借しておこう。

銃刀法違反は気にするな、所詮いわゆる、観賞用のエクスカリバーだ。

外で振り回して、御用になるつもりはない。


「あとは、さっきから気になっている池の中に沈んでるやつ」

威流たけるはうきうき気分で池の中を覗き込む。


池の水はしらがみ様の泳ぐ姿がハッキリと見える程に澄んでおり、

池の端から中心に向かって緩やかに深くなっているのが見て取れる。


威流たけるのお目当ては、その水底に沈んでいる物であった。


「あの沈んでるの、絶対にお宝だよ~」


水底には赤、青、緑、黄色など、宝石とおぼしき物が大量に敷き詰められており、

池の中心へ行く程に、その数は多くなっているようだ。


「ここで行かぬはおとこではない」

靴と靴下を脱ぎ、スラックスの裾を捲る。

恐る恐る水の中にそっと足を入れる。


「ぐわー、これはしんどい」

山の湧き水の様な冷たさが、威流たけるの足から体温を奪っていく。


「取り敢えず、一番近いやつを拾ってから戻ろう」

冷たさを堪えながら歩を進め、池の縁から2メートルくらいのところに落ちていた物を拾う。


威流たけるの手には、ライター程の大きさの青い水晶の様なものがあった。

それを親指と人差し指で挟み、目の前に持って眺める。

「うわー、凄い凄い。キレイだなぁ~これ」


その中には、池の上を飛んでいた青い発行体が数個入っているのが確認出来た。

「これ精霊とかなのかなぁ?」

足の冷たさを忘れ、不規則に飛ぶ青い光に心を奪われる。


「これ、たくさん集めて持って帰ろう」

威流たけるは青い水晶を落とさない様にぐっと握り、池の縁に向かって歩き始めた。


「精霊とか居るんだったら、俺でも魔法使えるかもしれない」

頭の中に湧き出る、RPGの戦闘シーンで出てくる炎や氷、風や電撃魔法のイメージ。それらを使って戦っている自分の姿を妄想して、期待に胸を膨らませていた。


その時、パキっと音が鳴った。

威流たけるは直ぐに手を開い青い水晶を確認すると、

青い水晶は真ん中辺りから割れてしまっていた。


「あぁ、割れちゃった。そんなに強く握ってないのに」

手の中にある折れた青い水晶の破片は、小さな光の粒となり散っていく。


その瞬間、威流たけるの手には、静電気が発生した時のふわっとした感覚があった。

更に手に纏わりつく光の線がパリパリと乾いた音を立てる。


威流たけるはこの現象に見覚えがあった。テレビでよくやっている実験番組。

そこで、電気の流れを視覚的に捉えられる実験で、実験器具の間に流れている光の線。自分の手に、あれと全く同じ現象が起きていた事に動揺してしまっていた。

光の線をどうにか引き剝がそうとして、慌てて手を左右に振る。


一瞬の出来事だった。

威流たけるの全身に鋭い痛みが走る。

何が起きたのか分からず、パニック状態になりつつも、

池の中で倒れてはいけないと必死に堪える。


足がガクガクと震え、視界もだんだんとぼんやりしてくる。

痛みで意識が飛びそうになりながらも、無理やりにでも足を前に出す。

どうにか池の縁に辿り着き、そのまま前に倒れる。


「ぐっ、なにが、起きた、んだ」

全身の痛みが酷い、指1本動かすことが出来ない。

もしこれが誰かの攻撃であるなら、ここで気を失ってはいけない。

周りの状況を確認しないと。


駄目だ、もう意識が・・・


必死の抵抗も空しく、威流たけるはその場で意識を失った。

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