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15話 知らない方が良かった事は、大体知る事になる・・・

結局、”早く”帰るよりも”無事に”帰るを優先した方が良いと方針を決めた威流たける

そんな矢先、何かの存在を告げる”木の器”に一抹の不安を感じていた。



威流たけるは器を石柱の上に置き、次に問題となる食料について考え始める。


自分以外に文明を持った生物が居るというのは、不安と安心が半々といったところか。だが逆に考えれば、そういった生物が暮らしていける環境であるという事かもしれない。


そうなると”何を食料にしていたか”を調べてみた方が良いはずだ。

池の周りに何か痕跡が残っていないだろうか。


射し込む月明りと、しらがみ様の発光パワーのお陰もあって、

池の周りを調べるのに困らない光量が確保出来ているのはありがたい。


暫くの間、探し続けるも、これといった手掛かりは得られなかった。

探し疲れた威流たけるは、また切り株に腰を下ろす。


「何を食べていたかが少しでも分かれば、自分の食料の参考にもなったのになぁ」


どんな状況でも、食料の確保は大事だ。

よくあるサバイバル系ゲームでも、初動は水と食料の確保、

拠点の作成と相場は決まっている。

ご丁寧に最初から物資が用意されているなんて事はゲームだからだよな。


それにしても、俺の知っている異世界転移系の話だと、

鑑定スキルやアイテムボックスがあったり、神様に特別な力を貰ったり、

食料で困ったなんて聞いたことないけどな。


威流たけるは、ふと気付く。

「あれ、なんらかのスキルを貰ったりした記憶が全く無い・・・」


異世界転移って、普通なんか神様や女神様から強力な魔法やチートスキルが貰えたり、ステータスオープン出来るんじゃないの?


「死んでからってパターンもあるよな・・・」


まさか元の世界で、俺死んでる?

そんでニュースになったりしてない?


威流たけるの中で嫌な想像が広がっていく。


朝のローカルニュースで、死んだ魚の目をしたニュースキャスターが淡々と語る。

「今朝、会社員の赤音あかね威流たけるさん(30)が自宅で死亡しているのが確認されました。会社に出勤してこない事を心配して家を訪ねた同僚が発見し、通報したとのことです」


こんなニュースのお決まりパターンは、次に会社の同僚((れん))へのインタビュー。

「会社を休みたいって言って、へんなキノコ調べたり、電車の手摺りを舐めようとしていたのに、まさか永遠の休みになるなんて」とか余計な事を言われて、色々な意味で可哀想な人になってしまう。それは絶対ダメだ、親が泣く。


激やばマルチエンドに、新たに追加される特別仕様のシークレットエンド。

時間が掛かったけど帰還方法が見つかり、無事に帰れることが出来た、

だけど元の世界で既に俺は死んでいた、”灰になってin骨壺”


マルチエンドの中でも、この結末は特に見るに堪えない。

苦労の末に帰還して、”死んでましたー”までが一瞬過ぎる、

そんなんじゃ走馬灯も倍速仕様、もうZ世代の動画感覚で終わる。

ホラー映画のラストだって、もう少し余韻に浸れる時間を確保してくれてるぞ。


とにかくこれはマズい、元の世界で俺が生きている確証が無い。

俺が生きているのかを確認をしないで、一か八かに賭けて戻るとしたら、

2択ルーレット”DEADこつつぼ or ALIVEむしょく”の一発勝負。

それは看過出来ないので、帰還方法と併せて”俺の生存確認”をする方法も必須になってしまった。


もしも俺が死んでいた場合は、帰還を諦めて現地人になるしかない。

”生きているだけ幾分いくぶんかマシ” というイメージを頭の片隅に置いておこう。

懲戒解雇で焦ってた頃(数十分前)が懐かしい、幸せの基準がどんどん低くなっていく。


こうなってみると、ただ会社で働くというのが、どれほど幸せだったのかと痛感する。何故、人は失うまでその価値に気付けないのであろうか。



知らぬが仏とはよく言ったもので、もしもの可能性に気が付いてしまい、余計なフラグを立てまくった威流たける。この調子で異世界を強く逞しく生きていけるのであろうか。

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