子狐コンコの冒険1
僕?迷子になったの?
コックン
お父さんおかあさんのところに連れてってあげるよ
コックン
なんだか妙な子供だな・・・
雨でもないのに黄色い雨がっぱを着ている
何を聞いても無表情にうなずくだけ
じゃあ、付いておいで
「お菓子買ってくれないと付いて行かない」
そしてサーっとお菓子売り場得へ行くと次から次へとお菓子をカゴに放り込んでいく
「あぶらーげ」
そういうと今度は豆腐など売っているコーナーへ行き油揚げを次々と放り込む
「あんぱーん、ぎゅうにゅー」
あんぱんと牛乳をこれまたざざっと放り込む
僕、大丈夫そんなに食べられる?
コックン
「はい、持って」
そう言ってカゴを渡し、勝手にレジに並び始めた
なんだか妙な子供だ・・・
会計が終わる、そこそこの金額だ
この分もしっかり親に請求しなければな
子供は会計をすますと早く渡せと言わんばかりに袋を持ち
よいしょよいしょ
と言いながらふらふら歩き始めた
ここまでくれば成功だ
見つかっても迷子の子供を保護していたということで何とでもなる
あとは人気のないところに
ん、ここ人気がないな、というか今まであれだけ多かった客が誰も居ない
思わず子供に目をやる
改めて見ると髪の毛は軽くカールしてふわふわ
行動は子供だが顔にはそこはかとなく気品もある
これは思ったより大物が釣れた、いや俺にとっては大きすぎるかも
「ここはねえ、けもの道、人間は誰も来れないよ」
こんなところ、デパートにけもの道?
確かに「けもの道」と言ったか?
「おっちゃん、ばいばい、お菓子ありがとー」
そういうと子供は消え、がらんとしていたはずの店内には人がごった返していた
「あっ、コンコ、探したぞ!どこに行ってたんだまったく」
汗をかいた中年の男が近寄ってくる
「えへへ、知らないおっちゃんにこれ買ってもらっちゃったー」
よたよたとしながら嬉し気に買い物袋いっぱいのお菓子を見せる
「コンコ!知らない人ついて行ったらダメ!それにこんなもの買わせて」
と男がいうと
「うえー怒らないでー」
と子供が泣きそうになった
男は少し困り顔になって、ちょっと考えたのち
「ちゃんとお礼は言った?」と聞くと
コンコと呼ばれた子供はちょっと誇らしげに胸を張って
「うん!ちゃーんと言ったー」と答えた
男はその様子を見て
「はあ、広いところでは俺から離れたらダメだぞ、あと今度から知らない人からお菓子買ってもらったらダメ、な?」
わかったーと子供は泣きそうな顔から一転嬉しそうに男の手をぎゅっと繋いで二人は最上階にあるレストラン街へ向かっていった。
続く?
以前書いた子狐コンコの続きです、シリーズものなのです(笑)
子狐コンコとおっちゃんとあぶらーげ
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