第8話 赤いマントを翻して
「うっ、、、」
アレンはゆっくりと目を覚ますと、自分が横たわっていた事に気がついた。
「ここは、、、」
「無理をするな」
アレンは首を右往左往すると、横側に立っている仮面の男が立っていた。
「、、、あんたか」
「俺の七星剣を受けてよく生き延びていたな」
仮面の男はそういうと、山の麓から遠く見える列車の路線を観ていた。
既に路線には列車がなく、アレンが気を失ってから数時間経っているような様子だった。
空は夕空で赤く染まっていた。
「あれでよかったのか、、、ソラのおっさん」
「・・・」
ソラは黙って、空を見上げた。
「ティアは、、、天使の役目を果たさせねばならない。ティアの父親であるティオが魔王を倒した後に真実を知る事になった私の使命でもある。かつての仲間に恨まれようとも果たせねばならない」
アレンはゆっくりと立ち上がると、
「ダークナイトテイカー<邪騎士狩り>を始めた張本人がよく言う。魔王を倒す為に聖騎士と邪騎士が手を組んだというのに。まぁ、、、ソラさんの真実というのに乗っかった俺もアレだがな、、、真実の千年戦争<トゥルーミレニアム>を終わらした聖騎士兼勇者だったティオさんがソラさんと一緒にいた時に倒した魔王直属の7軍団の内の3つしか倒していなかったのもあるが、あと4つを片付けないといけないのもあるよな、本当にあんた光にも闇にも恨まれ役をやるんだな」
「お前も既にティアに恨まれているからな、お互い様だ」
アレンは魔剣エクスカリバーを空に掲げると、
「上等だ、既に俺も親を殺しているからな」
そういうと、アレンは苦笑した。
ファブリアフォールの城下町にたどり着いたティア一行は既に夕刻時になっており、ジータ王への謁見は明日へとなった。
宿にたどり着いたティア一行は、すぐに酒場に移動となり、晩御飯を食べる事となった。
「いやぁ〜エールは美味いな!」
ディーことハルディアは高らかな笑いながら、勢いよくエールを飲み干していた。
「ハルディア殿とティアが一緒にいたとはな、、、」
ゼフィドが呆れながら、フォークでサラダを食べていた。
「ゼフィドもマシュリ姉も、ディーの事知っていたの?」
マシュリは白ワインを飲みながら、薄い目でハルディアを見つめた。
「知っていたも何もファブリアフォール王国、王国騎士団団長であり、王国の第一皇子だった方だからねぇ、、、まぁ、ティアが何処かに行って心配だったけど、不幸中の幸いに会わせる人にもう先に会っていたなんて」
「え!?おっさん、めっちゃ凄いじゃん、なんであんなとこにいたの」
ティアはローストビーフを食べながら言った。
「俺もまさかティオとレイナの間の娘と会うとは思わなかったからな、はっはっはっ」
「ディーはお父さんの事、知ってるの?」
一拍の沈黙があった後、ハルディアは口を開いた。
「ああ、ティアの父親であるティオは、聖騎士であり、15年前に聖騎士と邪騎士と手を組み真実の千年戦争を終わらし、魔王を倒した勇者だった。俺とソラ、そしてレイナはその勇者パーティーの仲間だったんだ」
闇の血族の中でも魔族をまとめあげていた魔王オディファリス。
闇の血族の眷属である邪騎士との友好関係は結んでいたものの、世界征服を企もうとした魔王オディファリスは世界中の魔物を集結させ、光の血族と闇の血族さえも支配しようとした。
その危機に立ち向かったのがティアの父親であるティオ。
聖騎士の卵であったティオは旅の途中で、ハルディア、ソラ、レイナと出会い、魔王を討ち果たしたのちに、ファブリアフォール王国の王国騎士団長であったソラは行方をくらます。
ティオとレイナは果ての地の村で結婚し、過ごすもののティアを生まれてから、ティオは姿を消す事になった。
ティアには父親と過ごした記憶が一切ない。
そして母親のレイナからは一切父親の話は出なかった。
「お父さんが魔王を倒した事さえもお母さん教えてくれなかった、、、」
ハルディアは微笑むと、レイナがどれだけティアの事を普通の女の子として育てようとしたか感じとれた。
(しかし、ティオが持っていた聖剣ラヴィスカリバーがティアの選んだという事はこれも運命なのか)
「ティオも行方知れず、そしてソラと久しぶりに再会したものの、何がなんやら、、、」
「アレンとか言った邪騎士と一緒にいたようにも見えるし、、、何がなんだか状況がよく詠めない状況になっているな」
4人の中で沈黙が走る。
「ねぇ、とりあえず晩ごはん食べましょう、今考えてもしょうがない事だし。ティア、サラダも食べなさいね」
マシュリが気を遣うかのように取り皿にサラダを乗せて、ティアに渡した。
ハルディアが思い出したかのように話す。
「ティア、明日ジータとの謁見で話をする事がある。その時に詳しく話そう。ソラの件も含めて」
翌日、ジータ王との謁見が始まった。
ジータ王の王座の横にハルディアが立っており、その前にティア、ゼフィド、マシュリ、シリアスが左膝を折って、頭を垂れていた。
ティアは目だけを右左に動かして周囲を見回す。
見慣れない綺麗な装束を着飾った年老いた男性陣が並んで立っていた。
険しい顔をしているのもあり、大臣か何かなんだろうとティアはふと思っていた。
「ゼフィド、マシュリ、シリアス、そして聖騎士ティオの娘のティアよ、顔を上げてください」
ジータ王は優しく微笑みながら言った。
「これよりファブリオフォール王であるジータがティアへ命じます。明日より真なる聖騎士になる為の試練の山<パラディーナ山>へ向かってください。既に聖騎士は最後の一人となったティアのみですが、古くからある聖騎士に証たるパラディーナ山で聖印を取ってくること、そして父親のティオの軌跡を辿ってきてほしい。まず、中間地点である村のファラーニに試練の山への案内役を待たせています。ティア、ゼフィド、マシュリの3人で向かってください」
「はっ!」
ゼフィドとマシュリは一歩足を出すと、深く礼をした。
「また、ハルディア将軍及びシリアスにあたっては行方不明となっていた元王国軍団長ソラ及び謎の邪騎士アレンと名乗った男の捜索を頼みます。彼らの動きがいまだに不明の為、何故そういう動きをしているのか原因を追求してください。過去に真実の千年戦争が終わらした聖騎士と邪騎士でありましたが、5年前にダークナイトテイカーがあったという件、そして4年前に始まったパラディンテイカーの件、魔法国家アルファステイツとも連携を取りながら調査したいと思います」
「はっ!」
シリアスが一歩足を出すと、深く礼をし、ジータ王の横にいたハルディアも軽く礼をした。
「そしてティアよ」
ジータ王はゆっくりと話しかける。
「はい」
ティアは一歩前に足を出すと、
「聖騎士と邪騎士の戦いは人間の歴史そのものであり、この1000年の間、戦い続けて真実の千年戦争で集結は終えたものの、<聖騎士狩り>により、ティアが最後の一人の聖騎士になってしまったことも事実。これから時代はどう動くかわからないです。
古くからある儀式でありますが、聖騎士の試練の山にもしかすると答えがあるかもしれません。聖騎士の試練の山へ向かい、自分自身で見届けて欲しいです」
ティアはその言葉を聞いて考える。
(私が何故こういう運命になったのか、何故私が聖騎士にならないといけなかったのか、お父さんの事もわかるかも知れない、、、)
「王様、ありがとうございます。しかと、聖騎士の務めを果たしてみせます」
「良い心がけです。大臣、あれを持ってきてください」
すると、ハルディアのすぐに側にいた大臣が一つ宝箱を持ってきた。
「ティアには是非とも着て欲しいものがあります。きっと似合うと思いますよ」
城門に立つゼフィドが道具袋を確認しながら、旅で必要な物を確認していた。
「お待たせ、ゼフィド」
ゼフィドが後ろを振り向くと、マシュリが立っていた。
「ゼフィド、準備済ませてきたよ!」
ティアが元気よく声をかける。
「その格好は、、、」
ティアが着込んでいるのは白銀の胸当てとそれに連なる赤いマントだった。
またポニーテールに深紅のリボンを結んであった。
「レイナ様が若かりし頃に着ていたものよ。レイナ様がジータ王に預けていたみたい。ティアにこういう日が来る事を分かっていたかのように」
「レイナ様、、、」
「さて、行こう、ゼフィド、マシュリ姉。最初はファラーニだよね」
ティアは赤いマントを翻すと、先頭を立って歩き出した。
第8話終わり
第9話に続く




