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第7話 Last paladinVSDark night

ファブリアフォール・・・

それはエラファー族を中心とした騎士の誇りと名誉とともに存在する光の血族でも代表となる大きな国家である。

トゥルーミレニアム戦争で大いに活躍した生きた英雄<白銀のハルディア>が新しい記憶で鮮明だろう。

「まったく・・・ハルディアにぃさんは一体どこにいったんだ!」

ジータが王室の机の前で銀色の髪の毛をくしゃくしゃと触る。

大臣が横に落ち着かせようと必死だ。

「ジータ閣下・・・どうかおちついてくださいまし」

ジータ・ファブリアフォール・・・

若干30才の若さでファブリアフォールの王となり、切れた頭の持ち主で戦争時には兄であるハルディアを支えてきたという。

凛々しい顔と銀色の髪の毛が若い女性達に人気があるとささやかれている。

本当は兄であるハルディアが王として君臨すべきだったはずのだが、自分には性にはあわないと辞退したのだ。

「閣下らしくありませんね」

王室のドアの前に一人の男と女が立っていた。

ジータは久しい顔をみたことで顔を明るくする。

「ゼフィドさんとマシュリさんですか!なんと久しい!急に呼び出しをしてしまって申し訳ない!元気になさっていましたか?」

赤い髪の毛と鋭いめつきをし、コートをきていて腰にレイピアを携えているのがゼフィド、やや赤がはいった茶色の髪の毛と黒いドレス風の魔法衣をきているほうがマシュリ。

「やはりハルディア殿はまだいないのですね」

ゼフィドは苦笑するとつられてジータも苦笑する。

「すまないね。たしかにぃさんに用事があってきたのに・・・」

「いえ、閣下からの急務の呼び出しというお話を派遣兵からお聞きしたので」

ジータはゼフィドを見直すと、

「いえこちらこそ、急で申し訳ない。行方不明になった仲間を探しているとお聞きしましたが」

マシュリが一歩まえに足をだすと

「はい、私の妹なんです。ティアといいます」

ジータがこくりとうなずくと

「ビックル、調査隊を出しておいてください」

大臣のビックルは深々とお辞儀をすると部屋をでた。

「ありがとうございます、閣下」

ふたりもお辞儀をするとジータはにこりと微笑んだ。

「いやいや、昔からのよしみなんだからきにしないでください。

それと折り入って話があるんですが・・・きいていただけませんか?」


ジータが先ほどに焦っていた理由がこうであった。

闇の血族がある蒸気機関車をハイジャックしたということである。

それも邪騎士ではないかという情報もはいってきたのだ。

精鋭部隊で挑みたいのだが、肝心のハルディアがいまファブリアフォールにいないのだ。

「あの姉妹はだせないのですか?」

ゼフィドがそう問うとジータは首をふる。

「ウニニとマキですか?いまラルフェッツアのほうに派遣しています。タユー盗賊団に不審の動きがありまして・・・時期が悪いというか」

「ということは・・・・・・・あいつは?」

マシュリがゼフィドの嫌そうな顔をみながら

「あいつって?」


「ヘーーーイ!誰か僕のことよんだかぃ!」

蜃気楼のごとく現れた一人のエラファー族の男はジータの前で深々とお辞儀をする。

「皆のビューティフルヒーロー!シリアスでぇーーす!」

歯がキラリと光ると長い青髪をかきあげる。

ゼフィドの横にいたマシュリをみると

「おー美しいぃぃぃ!あなたの瞳はまさにエメラルドのようだ。今度ごいっしょに午後のミルクティーを楽しみませんか?それとも夜に情熱的なダンシングをベットのうえでご一緒に・・・はぶ!!」

レイピアの鞘でシリアスの頭をおもいきりどついた。

ゼフィドの血管がキレぎみだ。

額から血をながしながら、歯をキラリと輝かせ

「親愛なる相棒ゼフィド君。冗談というものを理解してくれたまえ」

「ナンパするのは勝手だが、マシュリに手だすと誰だろうとぶっころす」

マシュリは横で顔を真っ赤にしていた。

ジータが苦笑しながらその場をおさめる。

「<赤翼のゼフィド>と<青翼のシリアス>がいてくれるなら安心できます。ぜひお願いしてよろしいですか?」

ゼフィドがこくりとうなずいた。

「ティアのこともどこかでつかめるかもしれませんしね。承りました」

「私もごいっしょにします」

マシュリもこくりとうなずく。

「閣下のご命令ならなんなりと」

シリアスは面倒くさそうにうなずく。

「で、汽車というのは?」

ジータが机のうえにあった報告書をゼフィドに差し出すと

「ファブリアフォール行きの蒸気機関車です」





ゴトンゴトン・・・ゴトンゴトン・・・

規則正しい汽車の旋律がティアの頭の中をよぎる。

窓から外を見ると、湖や森、小さな村や牧場などが駆け抜けていく。

初めて汽車に乗ったティアはとてもウキウキしていた。

・・・はずだった。


「ねぇ・・・これ一体なにしてるの?」

ティアの天然ぶりにディーはため息をつく。

客の皆が手を挙げて、硬直していた。

見知らぬ男達が見慣れぬ長い物体をつきつけている。

皆その物体に恐怖していた。

「ねぇ、あれなに?」

ディーは注意深く敵をみつけながら

「簡単にいったら悪い人たちがこの汽車を乗っ取ってしまったってことかな。

あれは武器で、マジックスパイナーだな・・・」

現代による、銃とよく似た物だとおもってほしい。

筒状のものに魔法をこめて撃つという、魔法が使えない人とか遠距離用に使用されている

高価で優れた武器だと言ってもいい。

「そこの二人、私語を慎め!」

光の血族だが、洗脳されてしまったかのように目が逝ってしまっている。

本人の意思じゃなくて、誰かの意思で動かされているのであろう。

マジックスパイナーをつきつけられ、二人ともコクコクと必死に頷いた。

ティアが小声でいう。

「ねぇ、あんな敵やっつけちゃおうよ」

ディーもまた小声で返す。

「チャンスを窺おう・・・敵の数もわからないのだ。マジックスパイナーをくらってしまったら即死してしかねない」

二人はこくりとうなずいた。


「ティアは今頃何してるんだろう・・・」

マシュリは崖の上から下の線路をみつめる。

ジータ王からの任務、ファブリアフォール行きの汽車がハイジャックされていて、それを解決すること。

とは、いえやはり妹のことがきにかかる。

「今は任務中だ。いらぬことは考えるな」

ゼフィドの厳しい目つきがより一層きつくなる。

「婦女子には優しくするもんだよん、ゼフィド君」

シリアスは鼻歌を歌いながら、相変わらず暢気だ。

汽車の普及は戦争後になってからだから、線路も真新しい。

右の方から列車の音が聞こえる。

マシュリは手から緑色の魔法をゼフィドとシリアスに放つと、

こくりとうなずいた。

汽車の上に降り立ったときの衝撃を和らげる魔法だ。

次第に汽車の音が大きくなる。

3人も心臓の音が大きくなる。

ゼフィドが飛び降り、続いてシリアス、そしてマシュリ。

タイミングよく汽車の上に降り立った衝撃の音で汽車の中にいた敵達が

なにがあったのかとざわめきだした。

「相手は人間だ。殺しはするなよ。闇の血族じゃないんだ。光の誇りを持って・・・

いくぞ!」

ゼフィドの発した言葉にマシュリが応える。

「僕は僕なりのやりかたでやらせてもらうよ」

相変わらず、青髪は反発的だった。

「好きにしろ」

この言葉は何度いっただろうとゼフィドは思う。

汽車の上に登ってきた敵達は前車と後車ではさみうちできたのだ。

シリアスは刃のない短剣を腰から二刀だすと

「久しぶりに蒼龍剣の餌食になってもらいやしょうか」

蒼龍剣は、シリアスのみが扱える二刀の剣。

柄のところから自由自在に刃を変形させられるという優れもの。

使用時には相当の精神力を要するという。

魔法の使えない彼にとっては強い味方だろう。

シリアスが先頭に飛び出すとそれに続いて二人も武器も構えて走り出した。


「何?!軍らしき野郎どもが・・・」

なにかの報告をうけて焦っている敵どもをディーは見逃さなかった。

(このハイジャックに何か手を打ったな・・国のほうで)

ティアもそれを感じ取り、ディーの顔を見据える。

「そろそろいいんでしょ?」

二人はたちあがると二手に分かれて、敵のほうまでおもむろに走っていった。

不意打ちに焦った敵はマジックスナイパーを轟音と共に放出された。

客は皆混乱しながら席の下にもぐりこむ。

いきなり放たれた魔法の弾はティアの真横を過ぎ通り窓にぶつかる。

すごい音で爆発すると半径2Mの穴が空いた。

ディーもティアも立ち止まり、唖然とする。

(あんなものあたったら確かにしぬわ・・・)

ラヴィスカリバーを構えながら敵の下をすかさずもぐりこみ、足払いして顔を素手でぶんなぐって気絶させる。

もひとりをディーはすばやく背後をとって軽く後頭部をたたきまた気絶させた。

あくまでも洗脳させられた光の血族。

本人達が好きでやってるわけじゃない。

じゃあ、一体誰が・・・?

(この汽車に張本人がいる・・・)

「ディー、最初に軍の人たちと落ち合おうよ」

ディーはこくりとうなずく。

「そうだな」


「首謀者が見当たらないな・・・」

倒した敵達に聞こうとはしたものの、何もしゃべらなかった。

ゼフィドは客席に座ると一息ついた。

「まだ半分しかきてないし・・・きっと何かあるわ」

マシュリがゼフィドに微笑むと次第に顔も緩んだ。

シリアスの目つきが一層に厳しく変わった。

「嫌な感じがする・・・気分わりぃなぁー今日は」

すると、どこからかともなく黒い一閃が放たれてくる。

間一髪でシリアスは腰を下げうまく避けた。

緩んでいた空気が一瞬にして緊張感に支配される。

「んなもんありかよ!いきなりぶちかましてくんなよ!あほんだら!」

ぶちきれるとシリアスの口調が悪くなるのはゼフィドはだいぶ前から知っている。

一度キレたら・・・収まるまで時間がかかることも・・・。

「シリアス!前だ!」

マシュリをかばうようにゼフィドはシリアスに声をかけた。

シリアスは汽車のドア側のほうに顔をだすと一人の男が立っていた。

漆黒の鎧に漆黒の両手剣・・・黒髪は肩まで伸びていて顔も凛としている青年が一人。

「貴様・・・一体・・・」

ゼフィドは少し震えながら問う。

青年は顔を上げ、こう答えた。

「俺の名はアレン・・・」

3人とも目を丸くする。

「こいつが・・・光の血族を破滅させる・・・邪騎士というのか」

アレンは両手剣を振りかざし、3人にむかって振り下ろす。

衝撃波が席や窓ガラスを割り、3人とも倒れこんだ。

アレンが一歩一歩歩いてくる。

「この汽車に最後の聖騎士がいるのだろう・・・どこだ」

「聖騎士がいるだと・・・そんなことがなぜわかる?!」

馬車の道中で仮面の男と会い、そこでティアはさらわれた。

ここに聖騎士がいるのでないかと発言したアレンの言葉に半分うれしさを感じるが、

半分不信感を感じ、ゼフィドは問うた。

「わかるんだよ・・・感じるんだよ・・・俺もその聖騎士とやらも同じ気を感じるんだ」

アレンは後ろに振り向くと

「わからないのならいい。はっきりいうがお前には俺に勝てない!」

その言葉に反感を買ったのか、シリアスが青龍剣を構え飛び出した。

「小僧の分際でやめんなよ!!」

「シリアス!やめろ!」

ゼフィドの声も時遅し。

アレンはシリアスの剣を両手剣でうまくとめ、右手でシリアスの顔をぶん殴った。

ものすごいスピードでふっとびドアがぶち抜け後車の車両まで届く。

マシュリはシリアスがふっとんだ車両まで走り出した。

ゼフィドはアレンに鋭い目つきで眼光を放つ。

「この車両で洗脳されていた人たちはお前がしたのか?」

さっきも言ったように敵側に回っていた人たちはあくまでも光の血族であって、

目がいってしまってたために洗脳されていた。

アレンは微笑するとこう答えた。

「ククク・・・何もわかっていないんだな・・・お前達は。聖騎士と邪騎士は・・・

すなわち・・・神の子である天使エンジェルなんだよ!」





昔々・・・光の神と闇の神がいました。

二人の神は親友みたいに仲がよく、いつも二人でいたそうな。

あるとき、光の神が好きな女性を連れてきました。

その女性はとても美しく有能で、とても不思議な人でした。

その女性を見て闇の神は一目ぼれするのでした。

そして闇の神は次第に<嫉妬>という感情を抱きだしたのです。

闇の神はその女性を魅了し、手をだしてしました。

そのことを知った光の神は怒り狂い、二人の神は争うことになってしまったのです。

ひとりの女性がために、仲のよかった二人の間に亀裂が走り始めた。

それを横で見ていた天使は二人を止めようとするのですが、一向に争いはとまらない。

その争いに天使は巻き添えをくらうことになりました。

昔の二人に戻ってほしい・・・

天使は涙を流しながら死にました。

そして天使のエンジェルティアーから最後の希望が生まれたのでした。


「天使だと・・・」

歴史の本にしか出てこない存在としか思っていなかったゼフィドはその言葉を噛み締める。

「天使は人間を支配下できるのだよ・・・たとえば貴様の両手を動けなくしてみるとか」

アレンの目が赤く輝くと、ゼフィドの両手が次第に鉛のように重くなり自由を奪われてしまった。

両手が思うように動かない。

これが神の業というのか!?

ゼフィドは冷汗を流す。

「これでわかっただろう・・・俺に唯一対抗できるのは聖騎士のみ。そしてこの戦いは神の子である光と闇の騎士同士の戦い・・・そういえば4年前に俺に抵抗した人間が一人いたようなきもするが・・・」

アレンは後ろに振り向くと、前車のほうに歩き出した。

邪騎士の姿がきえるとともに、ゼフィドの両手が自由になった。

茶番劇だけにすぐに解除したのだろう。

「あんなのが天使じゃ世の中も終わりだな・・・」

マシュリの肩を借りたシリアスがゆっくりと歩いてきた。

耳がいいだけに無駄に耳が長いわけだけじゃない。

種族の特性ともいっていいだろう。

「さっき、聖騎士とかいってたよね・・・ティアがいるかもしれないわ。まず合流してなんとか手をうちましょ」

久しぶりの再会がこんな形でしたくはなかったが、現実そういうものだろう。

シリアスがため息をつきながら言う。

「ゼフィド・・・僕らの妹に聖騎士の宿命を託させたのか?」

ゼフィドは遠い目をしながら

「・・・本人が決めたことだ」


ティアとディーは次々と車両の後車方面に走っていくと

「・・・・・・!?」

急にティアの体の中が熱くなってきた。

血が騒ぐように、熱くそしてその血は心臓に届き鼓動する。

大地の鼓動・・・そしてもうひとつの鼓動が重なりあおうとする。

「どうしたんだティア?」

突然立ち止まったティアにディーは驚く。

「私を・・・誰かが呼んでる・・・」

ティアは導かれるように、ゆっくりと歩き出した。

「おぃ!ティア!」

車両の外にでて、間にある梯子をのぼって上に・・・

天井の上、汽車の上の部分にあがると一人の青年が立っていた。

鼓動がひとつになり、そして・・・止まる。

(同じ力をもっている・・・でも何かが違う)

青年は振りぬくと、少女をみつめた。

「約5年前、闇の血族の大地で邪騎士狩りをする者達が現れた。

次々と邪騎士は死にこの張本人は光の血族の民しかいないとわかった。

そしてダークナイトテイカーをしてきた者達の武器を開発し、聖騎士も邪騎士も殺せる武器を手に入れ、4年前に実行が起こされた。

数少ない生き残りの邪騎士で俺は、闇の大地で修行に励みいつかこの地を根絶やしを夢みていた。

しかし・・・まだ聖騎士が生きていたとはな」

「な・・・邪騎士だと!?」

車両に顔だけ出したディーがいう。

ティアは邪騎士の青年を見据えると

「そう・・・私の村を襲ったのはあんた達ってことね・・・」

「そうとも。俺も若かったがそのパラディンテイカーに参戦した。

そういえば小さな村を襲った記憶もある。たった一人抵抗する人間がいたなぁ・・・

漆黒の鎧を着て、両手剣を持っていた。<天使殺し>の剣を持ってたのは少し焦ったが」

ティアは目をはっとさせた。

4年前の記憶がよみがえる。

母親が着ていた鎧、そして剣・・・涙した顔、母親の最後のぬくもり・・・

「それで・・・その人はどうなったの?」

恐る恐る聞く。

「ん?あー・・・少々てこずったが、殺したさ。女の分際でよくがんばったものだ・・・最後に名前を呼んでたな・・・ティアって」

怒りが爆発した。

今までこめていた憎しみ、怒りそして悲しみとともに・・・

私を愛してくれたおかぁさん・・・

やさしかったおかぁさん・・・

最後の最後まで私を想ってくれたおかぁさん・・・

記憶の中に母親と過ごした思い出が蘇る。

そして母親の最後の姿。

「おまえかーーーーーー!!!おかぁさんを殺したのは!!!!」


最後の聖騎士と邪騎士の戦いの幕がきっておとされた。



ティアはラヴィスカリバーを構えると、走り出した。

「お前の母親だったのか・・・ティアという名だな。

俺の名はアレン」

アレンも両手剣を構えると、剣が闇に染まり変形していく。

横でみていたディーが目を丸くした。

「・・・なに!?」

少女も同じく驚いたのだろう。

両手剣は次第に漆黒の片手剣に変わった。

「聖剣ラヴィスカリバーと魔剣エクスカリバーのこともわからんのか!」

純白の聖剣と漆黒の魔剣がぶつかりあった。

交互左右に剣が交わる。

もの凄い速さで剣劇が始まり、つばをのむこむ余裕さえ与えない。

(レイナが邪騎士に殺されたのか・・・これは罰というのか)

ディーは過去の記憶をたどって目を細める。

両手斧を構え、ティアに参戦しようとするが、

「ディー、一人でやらせて!これは聖騎士と邪騎士の間の問題なの!」

後ろに若干跳躍するとティアはもう一度剣を構えなおす。

両手が白く光り、その光が剣に伝わっていく。

「エンチャントホーリーか・・・本気モードになってきたようだな」

アレンの両手も次第に光り出すが、色は黒。

交互はきえるかのようなスピードで走り出し、ふたつの大きな力があたるととてつもない音が轟いた。

車両のなかからなにがあったのかとゼフィドが顔を出した。

「あれは・・・!?」

「ティア!!」

マシュリが急いで梯子に登りだした。

それに続いてシリアスとゼフィドもかけあがる。

車両のうえにティアとアレン、そしてエルファー族の男性が一人見えた。

「あ、あなたは・・・!?」

ディーは苦笑いしながら右手で軽く手をふった。


「もう息があがったか?」

アレンはなにくわぬ顔の半面、ティアが汗だくになっていて体中傷だらけだった。

「まだ・・・まだよ」

アレンは苦笑する。

「とんだ聖騎士だ。さっきの勢いはどうした?こんなに弱いとは思わなかった。俺を失望させるなよ。光の代表だろうが。それでも聖騎士なのか・・・?」

痛恨の一撃をぎりぎりで受け止める。

「わたしは・・・わたしは好きで聖騎士をやってるわけじゃない!」

受け止めた一撃を流し、アレンに攻撃を仕掛けるが難なく避けられた。

「やめてくれよ、いいわけなんざ」

「私は・・・村でおかぁさんとひっそり二人で暮らしたかっただけよ!それをあんた達がつぶしたのよ!」

「お前はあまったれてる」

「!?・・・そんなわけない!」

「今いる聖騎士のお前はなんだ?自分で決めたことなんかじゃないのか?こういう戦いがあることはわかっていたことじゃないのか?」

「な・・・」

「苦し紛れになった今になって私は好きで聖騎士になったわけじゃない!ってか?」

アレンの顔が怒りの表情として現れる。

「なめんな!!!」

渾身の一撃は剣でうけとめきれず、ティアごとふっとんだ。

血を吐血させながらふっとんだ体はゼフィドがうまく受け止める。

ティアはふと上の顔をみると鋭い目つきをした久しい赤髪の男がいた。

「ゼフィド・・?」

ゼフィドはこくりとうなずく。

アレンは剣をティアを指すように向ける。

「お前の負けだ・・・聖騎士。ここにいるお前らごと死んでもらう!」

ディーが両手斧を構えた。

「再会パーティーは天国でするしかないようだな」

シリアスは蒼龍剣を構えた。

「出席したくねぇー・・・」

マシュリも同じく杖を構える。

「・・・・・・・ティアと一緒なら別にいいわよ」

レイピアを構えたゼフィド。

「ティアと一緒は断る・・・」

ティアもラヴィスカリバーを構えた。

「私もゼフィドとは嫌だったね・・・」

アレンの一閃が走る。

皆、死の宣告を出されたかのように覚悟をした。

そのときだった。

「そこまでだ」

アレンの剣を二本の長剣が受け止める。

「なに・・・!?貴様は!?」

仮面が奥底にある瞳を隠し、マントが静かに靡く。

「・・・ソラさん!」

ティアが思わず声を発した。

その名前にティアの周りにいた4人が息を止めた。

ディーが前足をだすと

「ソラ・・・なのか?」

ソラは右手の剣でアレンの剣を受け止め、左手でディーに向かって突き出した。

「近づくな」

「お前・・・姿を消したとおもったら、一体なにをやってたんだ!」

いかにも旧友かのような話し合いをしているように見えた。

ソラはディーを見据えると

「ティオが言ってたことを理解していなかったようだな・・・

なぁ、ハルディア」

「ハルディア!?」

ハルディアと呼ばれたディーにティアは驚いた。

「すまんな、ティア。あとで話す」

ハルディアは3歩まえにでて

「どういうことだ・・・」

ソラは沈黙のままだった。

「お前はなにを知ってるんだ?なぜいわない?!」

横でみていたアレンは剣を持ち直すとスキをみて、ソラに斬りかかる。

「邪魔がはいったとこで同じだ!」

ひらりと避けると、高く跳躍したソラは

「貴様には少々本気をだそうか」

空中で次々と剣がとびだす。

全部7本。

7本の剣は一本づつアレンの周りに突き刺さり、空中に残った一本を手にとると

大地めがけて体と一緒に突き刺した。

「七星剣!!」

火、水、風、地、氷、雷、光の7属性の色が輝きだし、その衝撃がアレンの体に直接はいりこもうとする。

「あが・・・・!?!!!!!」

白目をむいて痙攣したアレンはそのまま前のめり倒れこんだ。

7本の剣は自然にソラの体に装着している鞘に戻っていく。

強さの格が違う。

ティアはそう思った。

「この戦いはまだ早すぎる。そして俺は今、お前らの敵だ」

ソラはアレンを抱き、飛ぶ出そうとする。

ハルディアがそれをとめようとする。

「まて!まだ話が終わってないぞ!」

仮面側だけしか見えない横顔をみせて

「歴史を知れ・・・」

と、言ったままソラは立ち去った。

車両のうえに5人と数々の謎が取り残された。

歴史を知れとは一体?

「うそだろ・・・ソラさんが敵だ?」

信じられないかのような顔でゼフィドは座り込んだ。

マシュリは泣きそうな顔をしていた。

シリアスは舌打ちをする。

そして、ティアはただ黙り込むしかなかった。

汽車の旋律が規則正しく鳴る。

ゴトンゴトン・・・ゴトンゴトン・・・


第7話終わり

第8話に続く

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