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第3話 謎の仮面の騎士その名は「ソラ」

「お前は剣だけに頼りすぎだ」

ゼフィドの厳しい一言がティアの胸に突き刺さる。

アルファステイツにいた頃にもそういわれた。

女の子ながらにも力量には申し分ないといってた。

ゼフィドに聞こうとしても、答えてくれず自分で答えを探せといわれた。

「うーん、わかんにゃい・・・」

馬車がテンポよく走っている。

ティアの頭の中もテンポよく混乱している。

この馬車はエルファネットの町まで通じている。

ティアは馬車の中で一人うなっていた。

「少し黙れ、違う人も乗ってるんだ」

ゼフィドが眼鏡をはずすと本を膝の上に置いた。

ティアは周りをみると同乗している人が白い目で見ている。

「はぁーい・・・」

ティアは小さく舌をだして首をひっこめる。

左に座っていた黒いドレス着た義姉に聞く。

「マシュリねぇちゃん、これどこいくんだっけ?」

「エルファネットよ。一回そこに降りて森を越えたらハルディア様がいらっしゃるファブニフォールに着くわ」

ティアは目を上にむけながら考える。

「ハルディア様は「白銀のハルディア」といって、トゥルーミレニアム戦争で聖騎士とともに戦ったっていう生きた英雄さんでしょ?」

ゼフィドはふとティアを見る。

「メモリーの少ない頭でよくできたほうだ」

ティアはほっぺを膨らます。

「なにそれ?阿呆扱いしないでよ」

ゼフィドは一息ためいきつくと

「悪かった。阿呆じゃなくてバカだったな」

周りのひとがクスクスと笑い出す。

「このゼフィ・・・ん?」

馬がいきなり大きく鳴きだす。

なにがあったのかと、ティア達は焦りだした。

すると馬車はいきなり上下左右に激しく動き出す。

馬車は一度大きく左へ傾き、その反動で乗車していた人が中から飛び出していく。

ゼフィは勢いで馬車から飛び出すが軽い身のこなしで一回転すると見事に着地する。

ティアは見事に転げ落ちる。

馬が横に倒れてるすぐそばから人の陰が数人見えた。

「くくく、いい物持ってそうじゃないか」

緑や赤やのジャケットを着ていて、顔は悪人顔がいっぱいだった。

ゼフィはあれは盗賊だといった。

ティアは盗賊というものを初めてみるのだ。

「わるい人達?」

「そうだ、わるい人達」

マシュリは乗車していた人達を避難させている。

ゼフィは安全を確認し、腰からレイピアを引き抜く。

「おまえら雑魚など造作もないわ」

その挑発に盗賊達は怒りを露にする。

盗賊達は持っている武器を構えると襲いかかってくる。

槍、斧、弓矢、短剣・・・

「ティア、これは稽古じゃない。ルールなどない。きをぬくな」

ティアはこくりとうなずいた。

ゼフィドは槍を持っている盗賊に近づくと軽やかな手さばきで、槍の先をへし折る。

盗賊は顔面蒼白。

「遅すぎる」

ゼフィドはすでに槍をもっていた盗賊の後ろにいて心臓の場所を一撃で貫いた後だった。

ティアは剣を構えながらゼフィドの妙技にきをとられていた。

(すごい・・・)

ゼフィドはティアをみると

「常に警戒しろ!バカ!」

ティアの後ろに敵はすでに覆いかぶさるように斧を降り下ろしてくる!

危機一髪で横に前転するとラヴィスは敵の横腹をたたきつける。

敵はあまりの痛みにそのまま失神し前かがみに倒れた。

「あ、あぶな・・・」

ティアの心臓は音は早い。

これなら早めに決着をつけれるかとおもいきや・・・

ゼフィドがティアのところにかけつくと、

「殺気はたしかに大きかったがここまでおおきいとは」

ゼフィドが倒した6人の盗賊が横たわっている。

その回りからその倍の数の盗賊が現れた。

皆ニヤニヤした顔をしながらティア達をみる。

「きゃーー!」

倒れた馬車の方向から悲鳴が聞こえてくる。

ちがう盗賊が乗客のひとりにナイフをつきつけた。

「さて・・・おとなしく捕まえることだな・・・貧しい俺達に恵んでくれるんだよな?うひぃ」

盗賊達は気味のわるい声で笑い出す。

「ゼフィド・・・」

ティアは背をあわせるかようにゼフィドにつぶやく。

「とりあえず、冷静になれ。焦りは禁物だ」

ゼフィドはとても冷静だが、やはりマシュリと乗客達がきになる。

盗賊達はいっせいに襲いかかってきた。

大勢で二人に襲いかかるともう目にみえたようなもの。

腕の立つゼフィドだとさえ、数にはさすがに勝てないはず。

すると、上空のほうから太陽の光でその一つの影は舞い降りてくる。

その影は盗賊たちとティアたちの間に舞い降りる。

その影の人間はゆっくりと立ち上がり、周りをゆっくりと見据える。

仮面をかぶっていた。

紺色の鎧と赤いマント、そして腰には二本の剣を携えていた。

少しあらわにしている部分の顔からみると40代だろうか、少し皺があり茶色い髪の毛には白髪が少し見えた。

男だ。その男はティアをみると

「これごときで・・・てこずるとは」

仮面の男は腰から剣をぬくと、力をこめて大地へと突き刺す。

「魔陣剣!!」

男と剣から赤い気が発すると、その風圧で盗賊達が次々と吹き飛び出した。

大地が揺らいだ。たった一本の剣だけでここまでできるとは・・・

ゼフィドはその風圧に耐えながら、眉をひそめる。

さっきの風圧でマシュリたちを襲っていた盗賊も吹き飛んでいた。

「ティア、だいじょぶか」

ふと横をみると呼んだ本人がいない。

ゼフィドは驚きをあらわすと、男のほうにふりぬく。

するとその男はティアを抱えて、今からでも飛び出そうとしていた。

「待て!!ティアをどこにつれていくきだ!」

仮面の男は何も返答せずにティアを抱きかかえながら、飛躍した。

その後を追おうとするが時はすでに遅し。

ゼフィドが去ったあとの向こうをみながら冷や汗をながした。

(パラディンテイカーか・・・!?やばいぞ・・・早く探さねば。しかし、さっき技、見覚えが)

マシュリがゼフィドの横にくると

「早く追いましょ!」

ティアの姉だけにゼフィドより怒りの顔が隠し切れない。

ゼフィドはこくりとうなずくと倒れている盗賊を避けながら走り出した。


「放してよ!」

ティアは仮面の男に抵抗しようとしてもびくともしない。

ただ男は黙ったまま、ティアを抱え道を、崖を走り抜ける。

さっきの馬車の所からだいぶ離れただろうか・・・

(ゼフィド・・・マシュ姉・・・私どうなっちゃうんだろ)

ティアはよくわからぬまま仮面の男に捕まり、今どこにいこうとしてるのさえもわからない。

盗賊から助けてもらってありがたいのはわかるけどなぜまた私を?

すると男がいきなりティアを突き飛ばした。

突然のことに、ティアはよろめきながら大地に倒れる。

誰もいない道、横には崖がありさきには森が見えた。

仮面の男はティア睨み付けると、腰に携えている剣を左のほうだけぬいた。

「剣を取れ」

なにいってんだこいつ?

「なによ・・・いきなり」

ティアはラヴィスの柄を握りながら疑問を投げつける。

「助けてもらったのはありがたいけど・・・いきなり何?しかも剣を取れって・・・あなた一体何者?」

男は口を閉ざしたままだった。

仮面の奥にある少し隠れた瞳はなぜか少し寂しそうにも見えた。

男はゆっくりと目を閉じると静かにもう一言。

「俺に勝てば教えてやる」

ラヴィスを握り締めなおすと戦闘態勢に入った。

(勝てば教えてやる・・・か。いい度胸じゃない)

男はティアの構えを見てからゆっくりと微笑んだ。

そしてこういった。



「聖騎士とは一体なにか自分で問うたことはあるか?」



ティアはその一言に心の奥で痛恨の一撃を食らった。

目を大きく見開くと冷や汗が止まらない・・・

(なんで・・・なんで私のことを知ってるの?!)

そう、ゼフィドやマシュリ以外にはわからないはず。

パラディンテイカーにより、この世界には聖騎士はティア以外いない。

そしてそれは極一部しか知らない。

なぜ、この男が知っているのか?

ティアは怒りの一撃は男のほうへと繰り出す!

男は自分の剣でその一撃なんなく流すと、ティアに斬りかかった。

その攻撃は隼のように早くその攻撃をもろに体で受けた。

鮮血が飛び散る。

ティアは自分の斬られた場所を触ると手に赤色が染まった。

血・・・痛い・・・

「あああ・・・ぅぅ!」

たった一撃。そのたった一撃で・・・

体に電撃が走った。

男はまた態勢をとると

「剣にヴォルトーラの精霊剣がかかっている。少々電撃が走るぞ」

世界の精霊のひとつ、雷の精霊ヴォルトーラ。

精霊魔法を使うには、精霊との契約なくしては魔法は使えない。

その男は戦士でありながらも魔法もつかえるというのか?

ティアはよろめきながらも剣をもつとまたも襲いかかった。

怒りと痛みのなかでの剣撃は本能で攻撃してるかのように速い。

しかし、男は顔色ひとつ変えずその攻撃をかわす。

(なぜあたらない・・・!?なぜ!?)

男はそのティアの顔を見抜いたかのように

「おぬしは剣に頼りすぎだ」

ティアは目を開かせる。

3歩さがると、ティアはまたも態勢を整え構えだした。

(ゼフィドと同じことを言ってる・・・)

ゼフィドが私をみてきづいたことを、まだ自分さえ気づいてないことをこの男は数分できづいたのだ。

ティアは眉間に皺を寄せる。

(剣に頼るなってことは・・・)

仮面の男は迅速に走りだすとすでにティアの前に剣を振りかざそうとしていた。

「こんな聖騎士など世界どころか人一人守れんぞ!」

(聖騎士・・・私は!!)

ラヴィスが光りだした。

そのラヴィスは光の中で剣から違う形へと変化していく。

ラヴィスは次第に剣ではなく槍の形へと変化していった。

その槍は長く、純白のまた不思議な形をしていた。

ティアは槍に変化したラヴィスを仮面の男へと体の中心めがけて貫く。

男は幸い鎧に守られ、その場から吹っ飛ぶと大地へと倒れこんだ。

ティアはあることにきづいた。

さっき盗賊達が色々な武器を持っていた。

剣、短剣や槍、斧・・・

通常の戦士ではできないことがティアにはできる。

変化する不思議な剣、ラヴィスカリバー。

ゼフィドはそのことにすでにきづいていた。

そしてティア自身いままできづいていなかったのだ。

男は起き上がると、剣を腰に納めると後ろに振り向いた。

「待ちなさい!まだ戦いはおわってないわ!」

ティアは槍を構えている。

「いまのお前では俺には勝てない。まだ5%も力をだしていないのだから」

男のマントが風で揺らぐ。

腰に2本・・・そして背中にもう2本剣があった。

そう、もとからその男は本気を出すきなどなかったのだ。

「一体なんでこんなこと・・・?わからない・・・」

ティアは構えを解くと槍は次第に光のなかで元の姿にもどっていく。

男は森と反対の方向へと歩き出した。

こう一言言い残して

「俺は名はソラ・・・強くなれ、若すぎる聖騎士よ」


第3話終わり

第4話 聖騎士だけじゃない・・・護ることは誰にでもできるへ続く

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