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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

すぐ死ぬヘタレなボクの姉は傀儡使いで妹はネクロマンサー。二人に体も心も支配されています。

超短編投下します!

「ここが冒険者ギルドね」

「お兄ちゃん、早く早くう。やっと一緒に冒険者登録できるんだから」

「おいこら、そんなに引っ張るな。レイ」

「ハクお兄ちゃんが遅いんだも。ね、ユズお姉ちゃん」

「そうね。あんまりゆっくりしてるとハクちゃんのことを『操っちゃう』わよ」

「やめてくれっ!行くよ!行くから!」


ボクは手をワキワキと動かすユズねえ操られる前に・・・・・・冒険者ギルドの中に入っていった。


「(ぼそっ)」

「お兄ちゃん、声ちっちゃ!」

「すみません…冒険者登録を(小声)」

「こう言うの!『すみませんっ!道場破りに来ましたっ!』って!」

「ここは道場じゃないぞ」

「道場破りの時に声出せるようになったんだから同じだよお」

「誰が好き好んで道場破りなんかするかってんだ」

「まあまあ、二人とも。それよりあそこが窓口みたいよ」


ボクたちがユズ姉が指し示した窓口に行こうとすると、ふいに何者かが目の前に立ちはだかった。


「ちょっと待ちな、お兄ちゃん」

「ヒャッハー。可愛い女の子二人も連れて冒険者ごっこかい?」

「その二人を置いて失せな。ボクたちが一緒に冒険してやるからさ」

「「「ひゃーっはっはっはっは!」」」


見るからに凶悪そうな人相の冒険者たち…まるで盗賊っぽい奴らがボクにすごんできた。


「は、はわわっ」

「お兄ちゃん、落ち着いて。吸って吸って吐いてー」

「ヒッヒッフー。うん、落ち着いたよ」

「何だコイツ、だらしねーぞ?」

「ヒョロヒョロして女っぽいしな。とりあえず、失せろや」

「とりゃ!」


バキ


「ぎゃあああああっ!」


その頭への一撃でボクはあっという間にやられ、享年15歳。

この世に別れを告げたのだった。




「は?おい、大丈夫か?」

「アニキ、やり過ぎだぜ?」

「いや、思いっきり手加減したぞ?」

「ああああっレイの大切なハクお兄ちゃんを殺したなっ!」

「やっぱり死んでるのかよ?!」

「だって、お兄ちゃん虚弱体質だもん。HP3だよ」

「低っ!転んだら死ぬレベルだろ?!」


大人なら300くらいの体力があるのが常識なんだよね。

まったく、ボクは何度死ねば(・・・・・)いいんだろうか?


「あらあら、ハクちゃんったらまた・・死んじゃったのね。でも、大丈夫だから」


ああっ!まただ!

ユズ姉、あれ・・をする気だ!


「えい!」


ユズ姉がボクに対して両手を向けてからその手をぐわっと動かすと、死んでいるボクは突然立ち上がる。


…あっ、ちなみにボクの魂は今ここで様子を見守っています。

レイ以外・・・・には見えないけどね。


「何だコイツ?!」

「立ち上がっただと?!」

「いや待て。焦点が定まって無いぞ?!」


当然だよね。死んでるんだから。


死んでいるボクを動かしているのはユズ姉の『傀儡使い』の能力。


「『傀儡強化』!さあ、行くわよっ!」


ユズ姉の手の動きに合わせてボクの体はあり得ないほど機敏な動きを見せる。


「この野郎っ!うごっ!」


ボクの右手がヒャッハー1号の顎を打ち抜いて昏倒させる!


「一撃だと?!うがっ?!」


さらに回し蹴りでヒャッハー2号のこめかみを蹴り抜いてギルドの端まで吹っ飛ばす!


「このやろおおっ!」


がしっ


「なっ?俺様の拳を受け止めただと?!」


普段のボクがそんなことしたなら複雑骨折するけど、『傀儡強化』されたボクはその程度の攻撃など楽勝で受け止めてしまう。


「くそっ、うがっ?!」


ヒャッハー3号もあっという間にボクの一撃で沈黙した。


「さっすがハクお兄ちゃん!」

「さすがハクちゃんね!」


ボク、何もしてないんだけどね…。


「じゃあ、蘇生させるね。ねくろまんまんしー!ハクお兄ちゃん、かんばーっく!」


アホっぽいレイの呪文と共にボクの意識はボクの体に吸い込まれていく…


「ただいま」

「おかえりなさい、ハクちゃん!」

「ハクお兄ちゃん、おかえりなさい!」


そう言って両側からボクに抱きついてくる17歳の姉と13歳の妹。


ボクを好き勝手に操っておいて、何がお帰りなさいだよ!


ぎゅむうううう

むちいいいいい



はうううっ、妹の胸がっ!姉の太ももがっ!押し付けられて天国が見えるっ!


姉弟(兄妹)なんだから、そんなことしたらだめだよお。


「はうはう…はうっ?!」


ボクは本当に天国に逝った。





「あらあら。ハクったらまた来たのね?」

「お母さん、また来ちゃいました」

「まったく、今度は何をやって死んだのかしら?」

「ユズ姉とレイに抱きつかれたショックで死にました」

「またなの?」

「だってあんな恥ずかしいことされたら死んじゃうよお!」

「それならここで慣れていきなさい」


ぎゅむううううううううっ



お母さんはそう言うと娘二人をはるかに上回る破壊力を持つ双丘にボクの顔を埋もれさせた。


「ふごふごっ」

「ふふっ、血はつながっていなくても親子なんだから恥ずかしくないわよ。さあ、もっとお母さんに身を任せなさい」

「ふご…あっ…」


ボクの体が薄くなっていく。


「もうレイが蘇生させたのね。まったく、もう少しゆっくりさせてくれればいいのに」

「10分過ぎると生き返られなくなるからだよ」

「じゃあ、また来てね」

「もう来たくないですっ!」


そう言いつつ、ボクの魂は体へと戻っていった。


「ただいま」

「ハクお兄ちゃん!抱きつかれたくらいで死なないでよ!」

「だって、あまりに恥ずかしくって」

「それよりほら、早く冒険者登録しましょう」


ユズ姉に言われるままに窓口に行く。


「冒険者になりたいんですけど」

「さっきみたいにすぐ死ぬんですよね?大丈夫ですか?」


ほら、受付嬢さんも心配してるじゃないか。


「ハクお兄ちゃんなら死んでも私が生き返らせるから大丈夫だよ!」

「それにすごく弱そうですけど…」

「私がハクちゃんを動かして戦わせるから大丈夫ですわ!」

「そ、そうですか…。とりあえずFランクからで受け付けますね」


受付嬢さんが困ってる。

だよねー。普通そうだよねー。


ボクみたいなもやしっ子が冒険者とかありえないし。


「これでダンジョンに潜れるね!」

「レベルを上げて、ハクちゃんに強くなってもらわないと!」

「強くなれるかなあ?」


転んだだけで死ぬようにならないなら頑張るけど。





まず武器屋さんに行って装備を揃えることにした。




「おもーい」

「えっ?ショートソードどころか短剣も使えないの?」

「短剣なら持てるけど振り回せないよ。ごめんね、弱いお兄ちゃんで」

「ううん、そういう虚弱なところもステキだよ!ハクお兄ちゃん!」


そうやってレイは笑顔で慰めてくれるけど、やっぱりもっと強くなりたいよな。


冒険者レベルが上がったら強くなれるかな?






ダンジョンにて。


ボクは短剣を腰に差して軽い皮鎧を身に着けた格好でダンジョンに潜っていた。


ユズ姉はチャイナ服という東方の国の戦闘服を身にまとって、拳に凶悪そうな籠手を装着している。


「たあっ!」


そして足技・・であっさりとゴブリンたちを葬っていくユズ姉。


「なんで武器の付いていない足で攻撃するんだよ?」

「だってそのほうが私の太ももをハクに見てもらえるでしょう?」

「見せなくていいから!」


ユズ姉の太ももって白くてすべすべで、膝枕してもらうとそのまま昇天(比喩じゃなくて本当に死ぬ)くらい気持ちいいし。


そんなもの見せつけられたら戦闘にならないって!


「私も行くよ!ねくろぶらすたー!」


ネクロマンシーのレイはユズ姉に殺されたゴブリンの魂を集めてエネルギー砲として撃っている。

さらにそれで死んだゴブリンの魂を使って攻撃を繰り返している


「相変わらず凶悪だなあ」

「そんなことないよー。魂に貴賤ってないからどんなものでも純粋なエネルギー攻撃にできるし」

「ボクの魂は使わないでね」

「大丈夫大丈夫」


本当に大丈夫かなあ?


かつん


「あっ」


すてん


ボクは躓いて転んで…死んだ。


「ねくろぶらすたー!」


やめてえええええっ!ボクの魂が吸い寄せられてるよっ!


「レイ!ハクちゃん死んでるわよ!」

「え?あっ、危うくエネルギーにして撃っちゃうところだった!ねくろまんまんしー!」


ボクは自分の体に舞い戻る。


「ごめんね、ハクお兄ちゃん」

「ねえ、もしあのままエネルギーにされたらどうなっちゃうの?」

「飛び散ったエネルギーを集め3日3晩儀式をしないと魂が再生できないんだよ」

「そうなの?!」

「すると体に10分以上魂が戻ってないということで本当に死んじゃうんだ」

「ひえええええっ…はうっ」


あまりの恐ろしさにショック死しました。


「ねくろまんまんしー!ハクお兄ちゃん!リアクションで死なないで!」

「だって、そんな恐ろしいこと言われたら死ぬって!」

「ほらほら、二人とも。次の敵が来たわよ」


あれってゴブリンメイジ?

あっ、火の玉撃ってきた!


どーん!


近くで爆発したショックで死ぬボク。


「ハクちゃん?!丁度いいわ。お姉ちゃんに体貸してね!」


え?また?!


「『傀儡強化』!さあ、行くわよ!」


ユズ姉の操るままに動き回り、両手に持った剣を振り回しているボク。


それってさっきのゴブリンたちが持っていた錆びた剣?!


すごい勢いでゴブリンメイジたちが駆逐されていく!


やっぱりユズ姉の操るボクってすごいなあ。

ボク自身があのくらい戦えればいいのに…。





そして1階のボスであるホブゴブリンたちとの戦闘になった。


もちろん開始10秒でボクは死んだよ!


「『傀儡強化』!さあ!行きなさい!」


すごい勢いでホブゴブリンの戦士に飛びかかっていったボク(傀儡)は相手を圧倒して切り伏せる!

ボクは魂になって見ていることしかできない。


しかし、まだ10体ものホブゴブリンが居て、周りを囲んでいる!


「ハクお兄ちゃん!今度は強敵だから魂も使わせてね!」


え?え?何するの?!


「死んだホブゴブリンに『素体治癒』!そして『魂降臨』!」


うわあああああっ…


「ホブウ?」


あれ?ボクの魂がさっき殺されたホブゴブリンに入った?!


「さあ、ハクお兄ちゃん!やっちゃって!制限時間は5分だよ!それ以上その中に居ると、ホブゴブリンの体に魂が定着するからね!」

「ホブブウウウウ!(いやだあああっ!)」


ボクは無我夢中で武器を振り回して、ユズ姉に操られているボクの援護に回る。


そこでホブゴブリンと相打ちになったボクは新たな死体に魂を入れ替えられて戦い続け、ついにはホブゴブリンたちを全滅させた。


「やったよ!お兄ちゃん!」

「やったわね!ハクちゃん!」

「ホブウ!(それより早くともに戻せ!)」


ボクは自分の体に戻って気づいた。


「レベルが上がってる?!」

「うそ?!」

「やったわね!」


さっそくボクはステータスを見たが…。


レベル1→2

HP3→3.01

以下略


なんだよこれっ!

パラメーターに小数点とかあるのっ?!


「ハクお兄ちゃん!レベル10000まで上げればHPが100増えるよ!」

「それでも子供以下じゃないか!」

「じゃあレベル100000まで上げようよ!」

「無理っ!絶対無理っ!」


こうしてボクの冒険者生活は1日でとん挫したのだった。


ちゃんちゃん

お読み下さりありがとうございました!

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