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朝の光 サトと安奈  作者: sakurazaki
8/20

陸上部発足

いよいよ、陸上部が発足する。

美奈香のいる部活はうまくいくのか?

     8


陸上部の顧問は、須田先生が引き受けてくれると言うので正式に部活が認められる事になった。

部室は体育館に近い使われていない教室になった。

サトが部長になり、安奈が副部長。

「えぇ~~、部員が美奈香一人ってこと~~?そりゃあんまりだよぅ~」

熊五郎に向かって突進してくると、熊のお腹に美奈香が頭突きした。

「いてぇな!しゃぁないだろう」


陽介が笑いながら

「部員を集めればいいって事じゃないのかな?簡単でしょ?」

メガネの奥の瞳がきらりと光る。


緑色の胸のところにドクロの刺繍のポロシャツを着た高松翔が、ケタケタ笑った。

「お前の顔の広さで部員集めてくりゃいいんじゃね?」

「だめだよ~安奈ちゃんは人見知り激しいんだかんね!」

美奈香の言葉にみんな意外な表情で頷く。

「ほぅ~」

「なる」

「はぁ」

熊五郎が美奈香の顔をじっと見て、眉をひそめる。

「おまえ、なんか企んでるな?」


その言葉に、熊五郎に頭突きしていた美奈香はパッと離れて自分の鞄の中からチョコを取り出した。

「このチョコ、外国のお土産にもらったんだよ。めっちゃ美味しいんだよ~~」


「誰か、外国に行ってきたやつ、いたか?」

箱からチョコを取り出した美奈香から、熊五郎が上から一つ取り上げて口に入れる。

鼻からいい香りが抜けていく。

「なんだこれ、オレンジの味がするぞ」

美奈香が何か言おうとして手元から箱がひっくり返り、チョコが机の上にバラバラと転がった。

「ほんと、うまいんじゃん」

翔も手を出すと、陽介も一つつまんで口に入れながら首をかしげる。

「フランス、のお菓子かな、確か、伊集院 学くんのおじいさんがフランス人だった気が」

美奈香がかき集めて、大切そうに一つ口の中へ入れる。

「フランスの味がするぅ~~ジュテ~ム」

「なんでおまえが伊集院からお土産もらうんだ?」

熊の問いに

「なんでかって、友だちだからだよ~~。あ、それとさっきの話だけど陸上部、学くん入ってもいいって言ってたんだっけ。わっすれてたわ」

「ほんとかよ!」

翔がびっくりした顔をしながら、端に転がっていたチョコをつまんで素早く口の中へ入れた。

「だめだよぅ~貴重な品なんだからね~味わって食べないと!」

生徒会室にチョコの甘い香りが漂って、優雅な空気を醸し出していた。

「部員は二人、になるな」

美奈香のチョコを頬張った顔を見降ろして、熊五郎が言った。

外国の空気が流れているような気分さえしてくる生徒会室だった。



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