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朝の光 サトと安奈  作者: sakurazaki
7/20

波乱のはじまり?

部活申請にやって来た。

      7


「はろ~くまちゃ~ん。あたし陸上部に入ってあげる事にしたんだ~」

美奈香は生徒会室で、今日は綿菓子の袋を手にピンク色の綿みたいな塊を頬にくっつけて笑った。


「おっまえ、ちびっ子か!」

翔が近づかないように、回り込んで奥の席に向かうと

「ショウにもあげようか~?」

ベタベタの手で袋を翔に向けて笑う。

相変わらず八重歯が牙のようで吸血鬼のようだ。


「これで拭きなさい」

陽介が絞ったタオルを持ってくると美奈香の前の机に置いた。

「わぁ陽ちゃん、気がきくぅ~~」

タオルでベタベタの手と顔を拭いている美奈香に


「で、なんで陸上部?」

熊が聞いた。

「だってぇ~三人いないと部活申請できないんでしょう?」

「ま、そりゃそうだけどな。おまえ、陸上とかやるの?」

「なにいってんの~~あたしの足の速いの知らないなぁ~そして誰よりも早く誰よりも高く飛べるって事を、さぁ~~!」

自信満々の表情でポケットからキャンディーを出すと口の中に放り込んだ。

「まだ、食うか!」

翔が呆れ顔になる。


それからしばらくして、サトが部活申請書をもって生徒会室にやって来た。

「そこにいる人が入ってくれるって言うので、部活申請できるんですよね?」

相変わらずの仏頂面で、にこりともせず記入してある用紙を陽介に差し出した。


「了解、受け付けますよ。顧問の先生とかを相談するのでしばらく待っていてもらいますが」

陽介は生徒会室の開け放たれたドアの方に向かって、声をかけた。


カタンと音がして、開けたドアの向こうに安奈が顔を出して頷く。

小さくて華奢な女の子。

柔らかい髪を揺らせて小さく笑顔を作って頷く。


「別に申請用紙出すだけだから、安奈は来なくてもいいってば!」

入ってこようとする安奈に向かってサトが声を上げる。


「べっつに、オレ達取って食おうって訳じゃないだろ。入って来いよ」

熊が半開きのドアを開けて小さな安奈を部屋へ通す。


「はい、よろしくお願いいたします」

安奈が頭を下げながら小さいけれど、聞き取れる声で話した。

「わぁ~い、部員同士なかよくやろうねぇ~」

美奈香が安奈の手を取って踊ろうとした。


「まだ、正式に決まってないんだから安奈に触んないでよ!」

美奈香の身体を押しのけるサト。

「いいじゃ~ん、へるもんじゃないし~~」

サトの脇から安奈の手を握って引っ張る。

「嫌がってるじゃないの!」

背の高いサトを見上げて

「背がでかくたって怖くないんだからね、いつも熊ちゃん見てんだから!」

ひるまない美奈香。


「なによ!ドラキュラ!」

サトの言葉に一瞬固まった美奈香だが、すぐに復活する。

「背が高い案山子みたいじゃん、アンタだって」

「はぁ~?怖いよ、その牙!」

「棒みたいな手足よりいいでしょうが!」

「なんだってー!」

サトが美奈香の肩を掴みかかり、美奈香がサトの腕を握ったところで

「やめてぇ!!!」

安奈の大きな声が響いた。


すでに熊がサトと美奈香の手を持ち上げて、二人を引きはがしていた。

「大きな声でるんじゃね?」

「いい声だね」

翔と陽介も二人の間に入った。


「と、とりあえず。申請はしたからね」

サトはそう言うとニコリともせずに、安奈の手を掴むと引きずるように生徒会室を後に、速足で去って行った。


なんであんなに警戒してるのか?

やっぱり熊五郎は不思議に思う。


「おまえ、本当に部活やるの?」

見たことのない顔を作っていた美奈香に向かって熊五郎が聞いた。

「やる、って言ったらやるんだから!武士に二言はないんだってばぁ」


「部員と仲良くやって下さいよ。もめないように」

陽介が首を振った。

「顔合わせたら喧嘩するんじゃね?平気かね」

翔が呆れた顔になっている。

「うるさぁ~い、や~る~の~!喧嘩とかしないの~~」

頬っぺたを膨らませてブリブリしている美奈香に

「っしゃぁ、今日はラーメン行くか!」


熊の一言で

「わぁ~~い!行く行く!ラーメン!ラーメン!」

美奈香が歌を歌い出した。

「ゲンキンな奴!でも、いいね」

翔も一緒に(ラーメン、ラーメン)とハモる。

「いいね。行きましょう」

ニッコニコの美奈香を連れて三人は疲れた表情で生徒会室を後にした。



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