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朝の光 サトと安奈  作者: sakurazaki
2/20

幼なじみ

小さい頃から一緒に育ってきたサトと安奈。

何かが変わっていく予感がサトの胸に芽生える。

     2


「ねえ、安奈。変な奴にはついて行っちゃいけないよ!もう、どんだけ心配したと思ってるの?」

サトが前を歩きながら振り向いて安奈の顔を覗き込む。

身長差があるので、大人が子供に話をするようだ。

「連れて行かれた訳、じゃないよ」

恥ずかしそうにうつむいて、覗かれたサトの顔から眼をそらす。

「何言ってるの?あの、生徒会長?あいつが来てからなんだか学校中がいつもと違う感じで、ちょっと不安なんだよね、あたし」

安奈の横を歩きながら、サトはため息まじりに言う。

「前はさ、注意してヤな奴から安奈の事守っていればそれで良かったけどさ。なんだか、誰もかれも、調子に乗ってるっていうか、行動的になってるっていうか。とにかく、あたしは怖いんだよ!わかるでしょ?」

ざわつく胸の鼓動は、生徒会長とその取り巻きの姿を想像すると苦しくなる。

「走ろう!」

安奈がくっきりとした口調で前をむくと、足を速める。

小走りになると地面を蹴って走り出す。

「お!競争ね、負けないよ!」

サトも安奈の後ろ姿を追って、走り出す。

この道はサトと安奈の団地に向かう公園のある道。真っ直ぐな直線が長く続く。

小さい頃からサトと安奈はこの真っ直ぐな道を競争してきた。

走るのが早い二人は、運動会でもリレーに選ばれては競争するのが常だった。

木々がざわめき、緑が駆け抜け風が髪を揺らす。


さっきまでのざわついた胸のどこかが、落ち着いて楽しくなる。

「ゴール、同着」

サトが息を切らせて笑う。安奈も肩で息をしながら笑顔を作りサトを見つめる。

「気持ちいい」

「だよね~」

サトが長い手足を伸ばして空を向いて汗をふく。

「うん」

安奈も空を仰ぎ見る。

どこかで子どもの笑う声が聞こえている。

空は少しずつ夕焼けの色に変わって、今日一日が終わるのを知らせているようだ。

「じゃ、また明日、朝迎えに行くよ!」

「うん」

手を振り二人は団地の一角に入って別れる。

サトは胸が幸せでいっぱいになる気がして、振り向いて安奈の姿を探す。

いた、今日も安奈は可愛い。そして、今日も安奈の笑顔で別れる事ができた。

良かった。明日も安奈を守って行こう。

サトはほほ笑みながら家に向かう階段を上って行った。



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