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朝の光 サトと安奈  作者: sakurazaki
15/20

音楽祭

沢山の人でごった返す駅前。音楽祭というお祭りに出かけた安奈とサト、学と美奈香。

     15


音楽祭は、たくさんの人が見に来るらしく、駅前に向かう道はいつもより人通りがおおい。


「はやくはやく!」

安奈がサトのゆっくり歩いてくる姿ををみて、声を大きくした。

音楽祭は昼過ぎに始まる。

駅前で待ち合わせた時間には、もうギリギリだ。

いつも待ち合わせの時間より十分早く行って待っているサトにしては珍しい事だ。

「もう、みんな来てるよ!」

軽快に話す安奈、ゆっくり動くサト。いつもと反対の行動。

変わったな、安奈。すごく素敵な女の子になったな。

サトの中で、小さなヒヨコが大きな鳥になって羽ばたいている姿が浮かんできた。

駅の前には学と美奈香が、もうすでに待っていた。

音楽祭の会場は駅の向こう側で、駅から延びる道路はそのイベントに付随する店舗や出店が並んでいて小さな子どもには風船を配っている。たくさんの人が楽しそうだ。

「お祭りみたい」

安奈がはしゃいでいる。

「美奈香、なんか食べよう~~~」

少し時間に余裕を持たせて、お昼の代わりに何か食べてもいいね、と話していた。

「サトちゃん、何か食べる?」

学が神妙な表情のサトに向かって、人懐っこい笑顔を向ける。

学は誰に対しても優しいんだな、いいやつだ。

サトは学の端正な顔を見つめながら思った。


「サトちゃん、聞いてる?何か食べようって」

何も言わないサトに安奈が声をかけた。

「あ、じゃ、あれ」

今川焼の餡子の代わりにツナマヨネーズの入った物を買った。

「サトちゃん、甘い物好きじゃないんだ」

学がサトに聞いた。

「まあ、どっちかっていうと。うん」

サトの答えに嬉しそうに反応する。

「ぼくも、甘いものそんなに得意じゃないんだ本当は。気が合うね」

「え、あ、そう」

学はサトと同じものを買って美味しそうに頬張った。

安奈と美奈香はクリームが入った今川焼。

美奈香は皆が嫌な顔をするのを面白がるようにキムチ納豆の入った今川焼を再び買って糸を引きながら美味しそうにかぶりついた。

「みんなも食べてみれば、ファンになるのに~~ぜったい~~」


背後から馴染みのある低い声が聞こえる。

「いつにも増して不気味なもの食ってんなぁ」

糸を引いた口を大きく開けて美奈香が嬉しそうに

「くまちゃ~~ん、来たの~~?」

「はい、口拭いて!」

陽介がハンカチを美奈香に渡す。

「おっまえ、くっせぇよ~」

翔が美奈香の手にガムを渡した。

「でも、本当においしいんだってぇ~~」

「どうしても食べたきゃ、帰りに買って帰るのが一番じゃね?」

翔が自分の口にガムを放り込むと呆れた顔になった。

「だってぇ~お腹すいちゃったの~~みなか~」

それでも翔にもらったガムを口に押し込んで頬を膨らませてモグモグする。

「お、タコ焼き食わねぇ?」

背の高い熊五郎からは遠くの方に出ている屋台が見えるようだ。

「いいね」

「行こう行こう」

その三人にくっついて美奈香が走る。

「待ってよ~~美奈香もいく~~たべる~~~」

イベントを楽しむ人たちで溢れかえった大通りは、歩行者天国になっておりたくさんの人たちが店を覗いていた。

その中に混じってサトは浮かない表情でみんなの後をついて行った。




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