獅子頭と少女2
家族を失ってから半年が経ち、私を引き取ってくれた(半ば強制的に押し付けられていたような気がする)獅子頭のおじ様に稽古をつけて欲しいと頼んだ。
その日は真剣な顔をして考えさせてくれとだけ返事をされた。
次の日
おじ様は王立の訓練場に行くから付いて来いと言った。
約束通り稽古をつけてもらうことになったようだ。
「女の子だからといって手加減する事はない。それだけはわかってくれ。」
「はい。」
私は頷いた。
どうしても強くならなきゃ。
お父様やお母様、それにセバス達や村のみんなの敵討ちがしたい。
私の大切な人達を奪った奴が憎い。
ソイツヲコロシタイノカ?
そう思っていたら何かに語りかけられて意識がなくなった。
実子であるライオは戦闘に興味がないので教えた事がない。果たして俺はあの娘にしっかりと教えてあげられるのだろうか?
ふと、空を見上げながらそう考えた。
まず、剣の使い方を少し教えたら彼女は直ぐに覚えた。
遠距離も必要なので次に弓を教えてみた。
精度は高くないが初日で的に半分当たればいい方だろう。
まぁ、俺はどちらも本職ではないが王立の騎士団養成学校の教本くらいなら教えられる自信はある。
さて、今日はこれくらいにしておくか。
そう思い、エリーに声をかけようとすると
「憎い・・・。」
彼女はそう呟いた。
「エリー?どうしたんだ?」
「コロス、ムラヲホロボシタヤツ、」
エリーの様子がおかしい。
エリーの目は虚ろになっており
「ニクイ、ニクイ、コロス、コロス!」
と叫んでいる。
「エリー!」
俺が叫んで手を伸ばすとエリーから黒い何かが溢れ出して彼女を包んでいく。
彼女を包んでいた黒いものがなくなり彼女が姿を現した。
彼女には先ほどまでなかった八重歯が生えており、背中か黒い翼が生えていた。
黒かった瞳は赤色に黒かった髪は銀色になっていた。
その特徴はそう、吸血鬼。
吸血鬼だと!?