獅子頭との出会い
ルマニア・レオン
500年前、獅子頭の獣人の一族で獣人達を束ねていた男。
ある時期から歴史に名前が残っておらず、最後の吸血鬼に力を奪われて殺害されたと記録されている。
国王の前に12人の騎士が集まっていた。
「王よ、今何と?」
獅子頭の男が吼えた。
「ルマニアよ、我が後継が見つかったと言ったのだ。」
ルマニアを含め10人は動揺していた。
王は独り身でありその様な浮いた話は若い時から無かった筈。なのに後継ぎがいるとはどう言った事なのだろうか?
「落ち着け!私から詳しく話そう。先日の村の一件だが、その後継は唯一の生存者だ。未来が僅かながらに視える子供がいてな。その子の家族が命がけで守った。それ故に我が王はその子を孫娘とする事にした。」
女性が席を立ち上がりこう言った。
「どうして、ハナお姉様はその子供が未来予知を持ってることを知っているんですか?」
「長期休暇中で偶然村にいてな。管理を任せていた屋敷に戻ったのだよ。その時にステータスを見る様に頼まれたのでな。マイド、これで納得してくれるか?」
信じられないという表情のマイドという女性に対して眼鏡をかけた男性がこう言い放った。
「私のスキルの前では如何なる些細な嘘も吐く事は出来ません。納得がいかないのは同意ですがハナ殿は嘘をついていない。」
「ジャッジの前では私も嘘をつく事は出来ないのは知っているであろう?」
マイドとジャッジは黙って席に着いた。
「異論はないな。」
王のこの一言に皆うなづいた。
会議が終わるとハナが、ルマニアを呼んだ。
「獅子頭、ちょっとこっちに来てくれ。話したい事がある。」
「何だ?ハナ殿。」
ルマニアはハナの方へ向かった。
「実は村の生き残りは未来予知の子の他に2人いる。」
「その事は王に・・・」
「王には報告してある。1人はハオウの爺さんに預けた。もう1人は暫くお前に預けようと思ってる。」
ルマニアはキョトンとしてしまった。
「何で俺なんだよ!マイド辺りなら喜んで引き受けてくれそうだぞ?」
「まぁ、そう言うな。リクシンの忘れ形見だ。」
「・・・生き残ったのは3人共リクシンの娘か?」
「あぁ、そうだ。上2人は死亡扱いになってる。勿論、私や王がそうした訳ではない。じゃ、宜しく〜。」
そう言ってハナはどこかへ行ってしまった。
「ちょっと待て!俺は顔が怖いから人族の子供に泣かれるんだぞ!」
そう、何を隠そう彼は子供に泣かれてしまうので子供の前に行くのは苦手なのだ。
「おじ様、今日からお世話になります。エリザベートです。」
「ルマニア・レオンだ宜しく。」
これが、この2人の出会いであった。