次の話へ
"この500年間、私を襲撃にきた者は数え切れないほどいた。
だが、今回の襲撃者たちは奴らに似ていた。
恐らく子孫であろう。
だからこそ、この子らに自分に関する事を話そうと思った。''
「私が語ったことは真実。人だった私の名はエリザベート。皆からはエリーと呼ばれていた。まぁ、信じるないもお前たち次第だが・・・。」
若者たちは黙ってしまった。
しばらくの沈黙の後、1人の少女が吸血鬼にこう質問をした。
「その後、冒険者や名のある武人を殺めて力を奪って行き、この様なゾンビやアンデットが蔓延る生き地獄を作ったのはお前か?」
「・・・。」
しかし吸血鬼は黙っていた。
すると獣人の少年が叫んだ。
「この500年間、どれだけ俺達の一族が苦しんできたのかお前に、わかるか?お前が奪った先祖の力・・・ルマニア様のスキルを今、返してもらうぞ!」
「まぁ、落ち着け、ハート・レオンよ。結果としてはそうなのかもしれんが、その辺りの話もするか。話が長くなるな・・・。ほれ、紅茶だ。」
そう言って紅茶と砂糖を何処からか出した。
「まず、私の固有スキルは、いくつかあってな。
そのうちの1つに記憶の書庫と言うものがある。
お前が言っているスキルを奪うというのは、この固有スキルだと思う。
ただし、制約もあってな。相手の同意と契約が必要でスキルだけでは無くその者の意思や記憶も魂ごと引き受ける。大体は契約を果たして解放している。」
吸血鬼はそう言ったが、皆信じていない様子だった。
「そうだな。契約もあるし見せた方が早いな。
固有スキル:記憶の書庫、ルマニア・レオン!」
吸血鬼がそう叫ぶと大柄なライオンヘッドの男が出てきた。
「時が来たのだな。リクシンの娘よ。」
「はい、ルマニア・レオン様。」
「フッ、昔の様にルマニアおじ様でいいんだぞ?」
吸血鬼とライオンヘッドの2人は親戚のおじさんと子供みたいであった。
ルマニアは少し悲しそうな顔をしてこう言った。
「契約は万が一にも子孫に俺の最後が伝わっていない時に真実を教える事。呼び出されたという事はそういう事か・・・。」
「ええ。そうなりますね。私がおじ様を殺した事になっていますし。」
彼らが教えられた歴史ではルマニアという男は最後の吸血鬼に殺され力を、つまりスキルを奪われたという事になっている。
「では、彼の最後を語ろう。それは・・・」