最後の吸血鬼の誕生 前編
俺たちは吸血鬼を討伐に来た・・・筈だった。
しかし吸血鬼に負け今、歴史を聞かせられている。
「吸血鬼になったのは500年前・・・」
〈500年前〉
セントラル王国北西部、国境付近の村にある屋敷
「リクシン・・・。お前が気を揉んでも仕方ないだろ?3人目なんだからどっしり構えな!」
「そうですけども・・・中々、慣れませんよ。ハナさん。」
「父様ちょっとは、落ち着いて下さい。」
「落ち着いて下さい。客人の前です。」
「フッ、アンタもミオとエリーを見習いな。まぁ、万が一の場合は不死の通り名で呼ばれる私が付いてんだ。大丈夫だよ。」
男は、この屋敷の主リクシン。
少女達はこの屋敷の子で双子のミオとエリー。この村の数少ない子供である。
会話をしている女性はリクシンの友人で、名はハナ。
見た目が20代だが、年齢は不詳。
「はぁ、こんなのの何処が良いんだか・・・」
とハナが呆れていると隣の部屋から
「オギャー、オギャー、」
赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。
「おめでとうございます。元気な女の子です。」
と産婆がテンプレを言う。
「母様、ミオ姉様。私の妹なのですね?」
「少しは、落ち着きなさいよ。エリー」
「ええ。あなた達の妹よ。ミオ、エリー」
母の名はソアレ。この度3人目の娘を産んだ。
「「母様名前は決めてるんですか?」」
と双子が母に尋ねた。
ソアラは頷き、
「グレイはどうかしら?」と微笑んで答えた。
「あ、ゴホン。私が呼ばれたのは、家族団欒を見るためじゃなくて産まれた子のステータスチェックだったな?」
「ええ、お願いしますわ。ハナさん。」
とソアラは顔を赤らめて言った。
ハナはグレイを凝視した。
ステータス
グレイ
性別:女
年齢:0
種族:人族
LV.1
HP8/8
MP46/46
ATK5
DEF4
INT23
LUC5
スキル
未来視
称号
未来を見据える者
・セントラル王国の王位の継承権を持つ者
とハナの目には見えている。
「リクシン、ソアラ。よく聞いて。後で、ステータスは紙に書いておくけど、この子、未来視を持ってる。」
「未来視ってことは、お義父さんの家系の力か・・・。この子はもう未来を視始めてるのかな?」
「そうかもしれないわね。私が聞いてみるわ。〈念話〉」
「ソアラの念話か。しかし、赤ん坊と話せるのか?リクシン?」
「会話は難しいが、赤ん坊の要求がイメージで伝わってくるらしい。ん?どうしたソアラ。顔が青いぞ?」
「大変・・・。この子が未来を予知したの。
村人がアンデットになって子供達に襲いかかるイメージだった・・・。」
「それは、本当か?今すぐ、村人とこの子達を避難させないと。」
ドォーーン!
「何だ?」
屋敷の中の人々はまだ知らなかった。
もう、最悪の事態が始まっていた事を・・・。