プロローグ
プロローグ
拳に宿るは破壊の力。無限の魔力とそれに見合わぬ器。人を神へと惑わす淀。そして、世界は交錯を繰り返す――。
――★★★――
パラレルワールド。平行世界。
それは自分の生きている世界とよく似た、全く同じようで全く異なった世界。己の存在の意味や常識という概念の姿、それらが少しずつ変わってしまっている。しかしながら、決して全く別のモノというわけでもない。
ともすれば、些細な変化の積み重ねは全く異なった様相を映すかもしれないが――それでもそれは、ある一定の基準において同じ世界から派生した、『平行する世界である』という立ち位置を崩すことはない。
具体的な例を挙げよう。
たとえば、ある世界においては科学ではなく魔法が発達してしまったとする。その場合、『変化』としてあげられるのは『科学』から『魔法』へのシフトのみ。しかしたったそれだけの差異が、住人たちの生活から考え方に至るまでの全てにおいて、とても大きな変化をもたらす。
科学的な思考は息を潜め――『科学』はある場所における『御伽噺』として現実には存在しないものとされ――魔法的な思考が常識を支配する。その世界においては、殆ど一切の科学的概念は通用しない。
しかし、それだけ。
世界で優位を占めるのは人型の動物であり、魔物や魔族と言った特例があるかもしれないが、それでも人語を解するモノ――殆どの場合人間が、その世界の中心を担っている。それぞれの個体に能力的な違いがあったとしても、彼らは衣食住を求め、自らの遺伝子を残すために生きる。喜怒哀楽の感情を有し、ある程度の生命を全うした段階で――死ぬ。その固定概念を成し遂げるために利害関係が生じ、より生きやすい環境を作るために、ある一定のコミュニティを形成する。
世界の住人の表面的な形は変われど、根本の部分は平行世界において変化することはない。逆に言えば、もしその根本が変化していたとすれば、どれだけ姿形が似た住人が存在していようと、それは平行世界とは呼べず、ただの別世界と呼称する他ないのだ。
さて今回舞台となるのは、混沌と概念が渦巻き、その様を鑑みた誰かが『バースト』と名付けた平行世界。
そして、それを取り巻くいくつかの世界と、そこで繰り広げられるいくつかの話。
はたして住人たちは、変わってしまった常識の中で、どのように足掻き、どのような生き様を見せるのか。
答えは神のみが――いや、神すらもその混沌の中に生きる住人でしかないのであれば、その様相を見届ける者はどこにも存在しないのかもしれない。




