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黒の国:1

森で生活するようになって3年が経っていたらしい。時計もカレンダーも無い森では日時を気にしたことも無かったけど、ある日黒の国から黎さんが迎えに来た。


ボクが各国へ行く順番や日時は一年に数日神樹の森の中心にある神山の頂きで開催される守護獣会議で決まっているのだそうだ。ボクには決定権も拒否権も無しだって。


3歳の時は黒の国と金の国の二か所で守護の儀で守護を貰う。前世の七五三みたいな感じだけど厄年とかの年齢は気を付けた方が良い歳で体調を崩しやすかったり病気になりやすかったりする年齢でもあるらしい。ようは気を付ける年齢ってことだね。子供の七五三や十三参りも無事の成長を祝ってとかみたいだし似たような年齢になるのかもしれない。この守護の儀は子供が住んでいる地元の神殿でお守りを貰うってだけみたいで戸籍登録でもあるみたい。そして精霊を視認できる守護獣か次代でなければ判断できないので精霊遣いとしての才能を見出す場でもある。


お守りが身分証になるから普通は3歳の守護の儀を受けて終わるんだけどボクの場合は各国の守護獣が直接会いたいと希望したのと普通とは違う子供なのでお守りは多い方が良いだろうって親切心でもあるみたい。


直接会いたいなら守護獣会議に呼んでくれたら行くのに守護獣以外は神山の頂きへは入れないらしい。全てのお守りが揃えば許可証となるので入れるんだってデーターベース情報で知った。神樹の森へ会いに来てくれても良いのにとも思ったけど守護獣は基本神殿に居ないと神山からの守護の強化が出来ないので特別な日にしか神殿を空けられないらしい。神殿を空けている短期間だけ次代が神殿を預かる。


知らないうちに3歳になっていたけど自分の事は自分で出来るしお喋りも随分出来るようになったので普通の人とも意思の疎通はできるんじゃないかな?帰ってきたらお爺ちゃんにお話しできるように色々体験して来ようっと。


時々遊びに来てくれていた紅さんや黎さんは約束通り無理に森から引き離そうとはしなかった。今回の3歳の守護の儀もちゃんと説明してくれたし滞在期間は一応一カ月だけど森へ帰りたくなったら送ってくれる約束もしてくれている。


滞在期間が一カ月なのは人に慣れる為でもあるみたいで保育園とかの一時保育みたいだ。滞在中の食事や着替えも神殿でというより闇守様が嬉々として準備しているらしい。


黎さんの背中に乗せて貰っての移動で森から出る時は頭からマントを被って髪や瞳の色が見えないようにして人型の黎さんに抱っこされて神殿入りをする。


背中に乗っての移動も時々遊びに来てくれた時に練習したので大丈夫。本当にいっぱいモフモフさせて貰っててお腹の上でお昼寝もさせて貰ったこともある。紅さんといつも一緒なので人型バージョンの時は妄想に萌えていた。


同じ時期に神山から珠を頂いて生まれた次代で守護獣同士も隣り合った国で仲も良く人でいう幼馴染のようなものなんだって聞いて妄想が暴走しちゃった。きっと可愛い幼少期だったんだろうなって想像に難くない。ショタ萌えぇ~くぅ~堪らん!



「環ここからは大勢の人が居ますから窮屈かもしれませんが神殿に入るまでは大人しくしていて下さいね」


もうすぐ森を出るという時に黎さんは人型となりボクにマントを頭から被せ抱き上げながら注意事項を告げてくれた。


「あい(はい)」


初めての森の外に緊張はするけど玉も琥珀も一緒だし黎さんがいるので大丈夫。それにお爺ちゃんから貰った神樹の森の妖精達からの贈り物のチョーカーがボクを守ってくれる。

黎さんも驚く最高傑作らしいけどボクにはどう凄いのか判らない。ただ皆の優しい思いが伝わってくるので大切にしたい。お爺ちゃんの説明によるとボクの色をありふれた色として見せる事ができるんだって。

ボク的には猫の首輪みたいにも感じるんだけど、このチョーカーには琥珀が模様のように巻きついていて見た目はかなりお洒落だったりする。7ヵ所丸い穴が空いてて、そこにお守りを入れられるようにつくられている。


お守りって丸いのかな?って調べたら身分証変わりだから普通はカード状になっているけど形は希望すれば自由に変えられるので装飾品とする人もいるみたい。常に身につけるのには装飾品が便利だよね。盗まれないか心配だけど個人認証されているから他の人は使えないみたい。


普通は指輪や腕輪にするみたいだけどボクの場合は各国で貰うからってあれ?何故7ヵ所?6カ国で6ヵ所が正解だと思うんだけどお爺ちゃん対間違えた?予備かな??


あれあれって考えている間にも黎さんはスルスル人込みを掻き分けて神殿へ向かう。神殿は森から最も遠い場所にあるけど高い建物なので間違うことなく目指す事が出来る。まぁ~黎さんの住まう場所だから間違うこともないだろうけどね。


人の足で森から神殿まで10日程の距離があり、かなり遠いので途中どこかで宿泊するのかと思ったら暗くなってきても歩き続け人が少なくなったら駆けだした。守護獣には寝食が必要無く疲れる事もあまりないのでボクへの食事等の休憩をとる以外は腕の中で眠ってて良いと言われその通りにした。


普段は守護獣姿に目くらましを自身へ施して短時間で神殿からお爺ちゃんの所まで来ていたらしい。今はボクが一緒なので負担をかけないように数時間かけての移動なので夜には着きますよと教えてくれた。10日の距離を数時間…さすが守護獣の次代。


神殿の周囲には神殿に仕える人達の住まいや黒の国は闇の精霊が多く居るので闇の属性を持つ精霊遣いのタマゴ達が精霊術を学ぶ学び舎や下宿が多くあり、神殿への守護の儀の為に訪れる人々の宿泊場所やその人々での商売目的のお店が軒を連ねていて面白い。


滞在期間は1カ月を予定しているのでお店を覗きに行く時間もあるだろうから今から楽しみだ。

神殿に着いたら最初に闇守様へのご挨拶をして部屋へ案内されることになっている。ボクの世話役も付くそうだけど玉や琥珀もいるので必要ないとは伝えてるんだけどどうなるだろう?


黎さんは神殿へ着いてもボクを抱っこしたまま神殿奥へと向かう。神殿に仕える人々は黎さんの顔を知っているからか黎さんに礼をとって声をかける事もなく動かない。


「環ここが闇守様の御座おわすお部屋です。今からご挨拶することになりますが大丈夫ですか?」


森から神殿までを一気に移動したので少し疲れているけど大丈夫。面倒はさっさと済ませないと気になって休めない。


「あい。ごあいしゃちゅちましゅ(はい。ご挨拶します)」


黎さんの腕から下りてマントを脱ぎ準備します。ご挨拶するのにマントを着たままは失礼だから脱ぐけどチョーカーはどうしよう?本来の姿でご挨拶しないとのも失礼だよね?髪や瞳の色はどうなっているのかお爺ちゃんのチョーカーは付けているけど使い方を知らない。まぁ~いっか。


不安になって黎さんを仰ぎ見れば笑顔で大丈夫って言われたので大丈夫だろう。色については既に聞いてるはずだし他にも色々伝わっているだろうから大丈夫だよね?不安は尽きないけど当たって砕けろだ!男は度胸だ。うん。大丈夫一人じゃないもんね。


「闇守様、只今帰還致しました。環をご紹介したいのですが入室のご許可をお願い致します」


ノックをして口上を述べる黎さんにお入りなさいと許可の声が届く。落ち着いた女性の声だ。


「失礼いたします。さぁ~環も入って下さい」


扉を開けて中へ入れてもらう。日夜鍛えているので2足歩行も危なげなく出来るし躓きそうになれば玉や琥珀がフォローしてくれる。くぅ~ドキドキする。


「ち…ちちゅれいちましゅ(し…失礼します)」

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