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映画狂のロシア人、その1

 何故だろう、涼しい夏のモスクワはちょっと焦げた臭いがしたな、近くで何か燃やしてたのかな。ちなみにシェレメーチェヴォ国際空港から俺とカザミにはKGBのミハエル・アレンスキーという大男が通訳兼案内人として同行した。カザミがソ連で世話になってたレコード会社のお偉いさんが賄賂を使って手配したのだ。


 ところで玲子、オマエ、ソ連って知ってる? KGBは? ……そうか知らんか。

 ううむ、どう話そう。

 あのな、今、北にある大国ロシアって昔ソ連と呼ばれていてとても不幸な国でな、国民は言いたいことも自由に言えず、見たいものも自由に見れない時代があったのだ。解りやすく言うと当時、ソ連という国は、国家元首の悪口言うと、KGBという秘密警察に捕まって、シベリアで強制労働させられるような国だったのだ。


 無口なミハエルは俺らがソ連に来た事情を全て知っていた。

 

 まずミハエルは俺とカザミをポンコツ車に乗せてモスクワから離れ延々と悪路を走り始めた。

 カザミは後部座席の俺の隣で決意を固めるように車外の走り去る景色を見つめていたな、ちょっと無理してるようだった。

 ミハエルは何も喋らず、煙草を吸いながら運転に集中していた。KGBメンバーが俺らと行動を共にするということの意味。つまり身の安全は保証されたが不審な行動を取れば即刻逮捕される、ということだ。もしかすると逮捕された場合、極秘の処刑所で誰にも知られないまま、ソ連政府に殺されるかもしれない。

 当時、ソ連での行動は細心の注意が必要だった。

 

 田舎町、山の峠道、森の中、俺ら三人は三日三晩ポンコツ車で走り続け、深夜過ぎだったな、ある巨大工場に着いた。

 この巨大工場をデザインした奴はおそらく建築設計や産業構造の知識の他に哲学の勉強もしていたに違いない、そんな雰囲気の佇まいが目の前にあった。

 だが、俺とカザミはヘトヘトに疲れていた。

 

 宇宙の存在を身近に感じる暗闇に包まれ、山の中にある巨大工場の前に停めた車の中で、ミハエルは口を開いた。頑強な肉体が喋るロシア語訛りの日本語が少し可愛く感じる。

 この巨大工場に世界で最もたくさんの映画を観たロシア人が住んでいるという。

 しかしその後、ミハエルが話したことは血液が沸騰するような驚くべき事実だった。

諸事情により前回の『あの映画を探せ!』のラストを一部訂正し加筆しました。お詫びします、失礼しました。

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