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始まりの悪夢 3

その時だった―風が吹いたのは。 秋の冷たい風が頬をかすめた時、耳鳴りの様な風の音が私の心をくすぐった。 ぞくっ、とした。        「悠!止まって!止まって!」

叫んででいた。

まわりの人達は皆こっちを見てるけどそんな事知ったことじゃない。     気付いたんだ。 夢が、悪夢が、悪魔の―予言が。止めなくちゃ。何でかわかんないけど、悠を止めなくちゃ。悠が、危ない! 「悠ーー!!!」

悠はなんだよ、とぼやきながら振り向いたその瞬間、悠の背後の数メートルで、爆音がした。 遊園地に居た人達は悲鳴を上げている。 悠は口をポカンと開けて首だけそっちに向けて立ち尽くしていた。



(一つ目のキーワードは時計。そして爆音…)     「時限爆弾…?!」

思わず声にしていた。 けれど、人々の悲鳴で声はかき消されていた。

「何事だぁ…?」

悠は珍しく顔色を悪くしている。相当驚いたのだろう。私だって、驚いた。 けど、まわりの悲鳴をあげている人間が滑稽に見えたし、うっとうしくも感じた。 「悠ぅ、私、警察呼んでくるわぁ。」

いつもより落ち着いて、ゆったりとした喋り方で言うと私は悲鳴で声がかき消されない程度の場所まで行き、爆発が起きたことを、携帯で警察に説明し、電話を切って小さく息を吸って心の‘奴’に訊いてみた。 「何事?アンタ、知ってるんだろう?教えてよ。」

‘奴’は答えない。 「予言者悪魔、何が起きたか教えて頂きたい。」 …爆弾。犯人。悪戯。… ‘奴’は単語単語で言葉を発する。 「どういう事?単語じゃ意味わかんないんだけど。」

…オ前。未熟。我、オ前。…

「なるほど、私が未熟だからあんたも単語でしか話せない、と…はぁ…。」

心を切り替えジャンパーのポケットに手を突っ込んで少し足取りを早め悠の元へ。

悲鳴は消えていた。

従業員達は客達に落ち着いて下さい、もうすぐ警察の方が来られますので。 なんて口にしてた。 爆発したのは自動販売機。ジュースがあちこちに飛び散ってコンクリートが濃く染まって、その上には自動販売機が粉々になったものが。悠の身体は埃と粉々になったものの破片。 「悠、大丈夫?」

「あ、あぁ…警察、来るって?」

「うん、もうすぐ。」

悠はいつものように頭を掻いて不敵に笑みを浮かべ 「逃げるか。」

「へっ?」

「俺さぁ、警察苦手なんだよなぁ、ははは。」

次の瞬間悠は私の手をひいて走り出した。 その時肌に感じた秋の風は、冷たかったけど、どこか暖かくて、落ち着けた。

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